JR東海は2020年6月24日、プレスリリースにて2020年7月~2020年8月に運転する夏の臨時列車について公表した( 東海道新幹線 7月・8月の運転計画について )。またJR西日本は2020年6月24日、プレスリリースにて2020年7月~2020年8月に運転する夏の臨時列車について公表した( 【山陽新幹線】臨時列車の運転について )。今回は2020年7月~2020年8月に運転される東海道・山陽・九州の各新幹線の臨時列車について見ていく。
1. 東海道新幹線で大幅減便へ
JRグループ各社では例年に引き続き多客期を中心に新幹線では臨時列車の増発、在来線特急では増結を中心に行われる。ただ今季は新型コロナウイルス感染拡大防止により利用状況が読めないことから、本来5月18日~24日の金曜日に行うはずだった臨時列車公表が遅れているほか、JR北海道・JR東日本を除いて本来同時公表している9月分の公表を見送っている。今回は東海道・山陽・九州の各新幹線の2020年夏の臨時列車について前年と比べながら見ていく。
まずはJR東海のプレスリリースによると、今回の2020年7月~8月東海道新幹線夏の臨時列車運転における定期列車も含めた総運転本数は22,944本(前年比989本減、4.1%減)となっている。
定期列車の本数は平日314本、土曜日303本、休日296本であることから臨時列車の運転本数だけに絞って計算すると、7月に運転する東海道新幹線の臨時列車の本数は1,287本(前年比553本減、30.1%減)、8月に運転する東海道新幹線の臨時列車の本数は2,474本(前年比424本減、14.6%減)となっている。臨時列車だけでもほぼ純増の東北新幹線とは大違いである。
またJTB時刻表6月号やJR時刻表6月号で臨時列車の掲載を見合わせたことから、プレスリリースの時刻表がもはやJR時刻表が要らないんじゃないかと言うレベルで全列車の時刻表をプレスリリースに書いてしまっている。ただでさえ毎年10%程度ずつ売り上げが減っているというのに、自らの手で潰そうというのだろうか。
なお今回2020年7月~8月運転分の臨時列車を公表したことで、一応8月までの運転計画が確定したことになる。これによりN700S導入に伴いダイヤ改正として所要時間短縮に反映するのは2020年9月以降となった。もっとも当初は山陽新幹線内で九州新幹線からの直通列車の停車時間を延ばして「のぞみ」が3分時刻変更してもいいように組まれておりダイヤ改正フラグが立つほどやる気満々だったのだが、このご時世では人を集めたくないのでイベントなんてできないし、関連グッズの売れ行きも落ち込みそうなので2021年以降に持ち込む可能性が高くなっているような気はするが。
2. 山陽新幹線内完結「のぞみ」復活へ!
またJR西日本のプレスリリースによると、今回の2020年7月~8月山陽新幹線夏の臨時列車運転期間では期間中「のぞみ」は762本、「さくら」84本、「ひかり」90本となっている。山陽新幹線でも7月の臨時列車の設定は行うが、7月に臨時列車が運転するのはスポーツの日・海の日4連休及び前日の7月22日~7月26日のみとなっている。
今回の臨時列車運転では、山陽新幹線内新大阪~博多間のみを走る「のぞみ」が約9年4か月ぶりに復活することとなった。
なぜこれらの山陽新幹線しか走らない臨時「のぞみ」が発生したのだろうか。そもそも国鉄時代からある「ひかり」や「こだま」は国鉄分割民営化後JR東海とJR西日本双方で商標登録を行ったが、1992年3月14日ダイヤ改正で登場した「のぞみ」はJR東海しか商標登録を行っていない。その後新大阪~博多間で1往復~2往復の山陽新幹線内完結「のぞみ」を運転してきたが、本来はJR東海管内を運転しない「のぞみ」は設定してはならず、特例としてJR東海から許可されていたのだろう。
しかし2011年3月12日ダイヤ改正で九州新幹線の博多乗り入れ開始・山陽新幹線直通運転開始が始まると、早朝・深夜のみ運転の新大阪~博多間「のぞみ」は鹿児島中央発着の「みずほ」に置き換えられ、廃止した。
しかしそれでも山陽新幹線内完結「のぞみ」を廃止したのは、当初は東京発着で運転を計画していた臨時「のぞみ」がJR東海の都合で東海道新幹線内を運休としたが、山陽新幹線内では混雑緩和のために設定不可欠な列車だったために新大阪~博多間だけ運転することにしたのだろう。なお博多15時26分発「のぞみ676号」新大阪行きが岡山→新大阪間で遅くなっているのはおそらく本来と異なるのりばを使うため新大阪の入線待ちのために行っているものと思われ、1本だけ残っている700系16両編成を使用することはないだろう。
しかし、7月26日はなぜ博多15時26分発「のぞみ168号」東京行きをわざわざ新大阪で系統分割して乗継させないようにしたのだろう…
このほか、山陽新幹線では全車指定席の「ひかり」を運転する。使用車両にはN700系8両編成(「みずほ」「さくら」型車両)や700系8両編成(「ひかりレールスター」型車両)、N700系16両編成を使用するなどまちまちであるが、少なくとも言えるのはN700系8両編成や700系8両編成の1号車~3号車は乗り損車両だということだろう。
ちなみに7月1日からJR神戸線特急「らくラクはりま」が全車指定席として運転し、自由席を廃止する。なんだか2023年3月の北陸新幹線敦賀延伸でJR東日本管内大宮~高崎間の最高速度引き上げに合わせて北陸新幹線が全車指定席になるのに合わせ、特急「サンダーバード」などJR西日本管内主要特急でも全車指定化を図り、ついでに山陽新幹線も全車指定席化を図ろうとしているようで怖い。
3. 九州新幹線は臨時列車削減へ
またJR九州のプレスリリースによると、今回の2020年7月~8月九州新幹線夏の臨時列車運転期間では期間中「さくら」は126本、そのうち博多発着の九州新幹線内完結「さくら」が42本となっている。
今回の臨時列車運転では東海道・山陽新幹線で実施している7月の臨時列車運転は全て取りやめ8月7日~18日のみに絞ったほか、「みずほ」の臨時増発は見送ることとなった。
4. 結び
今回の2020年東海道・山陽・九州新幹線夏の臨時列車運転では、前年よりも大幅に臨時列車を削減しているほか、山陽新幹線内のみ運転の「のぞみ」を運転することとなった。
今後東海道・山陽・九州新幹線でどのような臨時列車を運転するのか、見守ってゆきたい。
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