JR西日本金沢支社は2020年12月18日、プレスリリースにて2021年3月13日にダイヤ改正を行うと公表した( 2021年3月ダイヤ改正について )。今回はこのうち在来線について見ていく。
1. 特急「サンダーバード」減便でほぼ終日毎時1本化へ
今回の2021年3月13日JR西日本金沢支社ダイヤ改正では、湖西線特急「サンダーバード」を減便する。
今回のプレスリリースでは特急「サンダーバード」25往復中4往復を金曜・土曜・日曜の週3日運転とし臨時化するとしていた。ただこのご時世による旅客利用が大幅に抑制・落ち込んでいることから、今回臨時化した4往復を全日運休したほか、毎日運転の定期列車7往復も全日運休とした。これにより2021年1月まで定期列車が毎日25往復運転していた特急「サンダーバード」は4カ月以上も毎日運転の列車が1日14往復しかなくなってしまったのである。おいおい、もはや1日15往復運転の予讃線特急「しおかぜ」よりも少ないではないか(まあ特急「しおかぜ」は15往復中9往復で「いしづち」との併結を取りやめ全区間5両での運転に減車しているが)。
JR西日本からすれば今回の減便で683系の走行距離を減らすことができ車両寿命が延びることから2024年3月の北陸新幹線敦賀延伸以降に281系(「はるか」型車両)及び283系(旧「オーシャンアロー」型車両)の置き換えとしての転属かつ287系への形式変更後も長期にわたり運転できるのでいいのかもしれない。
ただこのご時世で利用が伸び悩むのは分かるのだが、にしてもここまで需要が落ち込むと建設途中の敦賀延伸はまだしも北陸新幹線の新大阪延伸をする必要があるのか疑問に思わざるを得なくなってしまう。
しかも2021年5月10日から北陸本線特急「しらさぎ」でも米原始発終着のうち2往復が月曜~木曜を運休し週3日運転となっている。そもそも毎時1本しか運転がない特急「しらさぎ」でも減便となると特急「サンダーバード」の全定期列車の長期的な運転再開は当分見込めなさそうだ。
2. 特急「ダイナスター」減便で北陸新幹線の延伸ダイヤに影響か
今回の2021年3月13日JR西日本金沢支社ダイヤ改正では、北陸本線特急「ダイナスター」を減便する。
今回のダイヤ改正では福井6時00分発特急「ダイナスター1号」金沢行きと金沢23時30分発特急「ダイナスター6号」福井行きの1往復2本を廃止する。
まあ特急が1往復廃止になっても福井5時27分発普通金沢行きを利用すればこれまで通り金沢7時01分発「かがやき502号」東京行きに連絡できるが、東京20時12分発「はくたか577号」金沢行きからは福井まで行けたものが小松までしか行けなくなってしまった。
これだけ見ると早朝深夜の特急列車の利用が少なかったから減便したんでしょうとだけ思う人もいるだろう。しかしこの特急「ダイナスター」は北陸新幹線敦賀延伸の際に金沢始発終着の列車を福井ないし敦賀始発終着に延長するために前もって設定している列車である。そう考えると2024年3月予定の北陸新幹線敦賀延伸時に本来福井始発及び福井行き最終として設定するはずだった列車の設定を取りやめる可能性が出てきたのだ。
しかも福井県は47都道府県の中で5番目に人口が少なく、北陸新幹線が敦賀まで延伸すれば新幹線が通る都道府県の中でもっとの人口が少ない県になる。そうなれば他の場所より需要が少ないのは当たり前で、運転時間帯も金沢や富山と比べて縮小する可能性がありそうだ。
3. 七尾線で新車521系に置き換えへ!
また今回の2021年3月13日JR西日本金沢支社ダイヤ改正では、七尾線で全ての普通電車を521系100番台に置き換え413系と415系のそれぞれJR西日本車の運用を終了することとなった。
521系100番台にはICOCA読み取り機を設置していることから七尾線は普通電車の停まる全駅でICOCAエリアになった。ただこれまで最長6両で運転していた七尾線普通電車は最大4両での運転に短縮することとなり、IRいしかわ鉄道線内でも最長4両の運転となった。
もっとも6両運転だった列車は4両運転に短縮したわけだが、一部の3両運転の列車を4両運転に増結したため平日はダイヤ改正前は27往復中6往復しか6両運転がなく残りは原則3両運転だったがダイヤ改正後は27往復中21往復が4両運転となっている。そんなに4両運転をするなら全て4両運転にして導入する521系も4両固定編成にした方が製造費や維持費を下げることができたと思うのだが。
ただ今回のダイヤ改正でJR西日本管内の多くの地域で土休日運休列車を設けるようになった関係で、七尾線でも朝夕の前後に30分以内に列車が来る列車計2往復を土休日のみ運休することとなった。
このほか北陸本線でも413系の運用が終了したほか、521系を3本つなげた6両運転を含め全ての普通列車の6両運転を取りやめ最大4両での運転となった。
また七尾線特急「能登かがり火」は一部6両での運転があったが今回のダイヤ改正より通常は全列車3両での運転となる。多客期は6両編成での運転に置き換える可能性もあるとしているが、当分の間は3両での運転に固定するはずなので七尾線の最長編成は普通電車の4両となりそうだ。
4. 高山本線で減車も増発へ!
また今回の2021年3月13日JR西日本金沢支社ダイヤ改正では、高山本線でもダイヤ改正を行う。
これまで高山本線では朝は列車によって1両~3両での運転とバラつきがあったが、今回のダイヤ改正より朝は全列車2両での運転となる。これにより増解結の手間を減らし両数一定化により運用を合理化するのだろう。
ただ平日朝ピーク時に3両運転を2本続けて運転していたところをともに2両に減らしたら当然運びきれない。そこで救済として3両運転だった2列車の間に平日のみ増発することで(越中八尾7時15分発富山行き)輸送力を確保することとした。
この送り込みの富山6時15分発越中八尾行きは毎日運転から平日運転に運転日を減らすこととなったが、救済として富山5時51分発越中八尾行きを毎日運転で増発することにより土休日の利便性低下を少しでも防いでいる。
このほか猪谷6時04分発富山行きを越中八尾始発に短縮し、救済として越中八尾7時02分発富山行きを猪谷6時35分発富山行きに延長し新しい初列車とした。これにより猪谷→越中八尾間で初列車が31分繰り下がることとなった。
このほか猪谷7時48分発富山行きを越中八尾始発に短縮したほか、富山7時21分発猪谷行きを越中八尾行きに短縮した。
これらの合理化により高山本線は5運用のまま変わりないものの、朝は3両2運用、2両2運用、1両1運用から全て2両運転になったため、必要車両数が1両減ることとなった。
このほか高山本線では9時~11時に運転している富山~越中八尾間の1往復を平日運休とし、土休日のみの運転になった。これにより平日の朝の1往復の乗務増加分を相殺するようだ。さらに高山本線では猪谷13時43分発富山行きを廃止することとなった。
5. 初列車繰り下げ実施で運転時間縮小へ
また今回の2021年3月13日JR西日本金沢支社ダイヤ改正では、初列車の繰り下げにより運転時間帯を縮小する。
もっとも今回のダイヤ改正でもJR西日本金沢支社管内で終列車繰り上げも行っている。北陸本線では金沢23時05分発普通福井行き普通列車の最終は小松行きに短縮し小松→福井間で終電を20分繰り上げたほか、小浜線では東舞鶴20時07分発敦賀行き最終を小浜での停車時間を短縮し小浜→敦賀間で28~30分繰り上げることとなった。ただ今回のJR西日本金沢支社ダイヤ改正はそれ以上に初列車繰り下げの方が多いのである。
まずは先述した高山本線では猪谷→越中八尾間で初列車を31分繰り上げているほか、城端線でも砺波5時38分発高岡行き初列車を廃止し初列車を25分繰り下げるほか、氷見線では氷見5時30分発高岡行き初列車を廃止し初列車を36分繰り下げることとなった。これにより城端線や氷見線から新高岡から東京へ向かう初列車である北陸新幹線「はくたか552号」への連絡はできなくなった。
また九頭竜線でも越前大野5時00分発九頭竜湖行きを回送化し初列車を5時間16分繰り上げることとなった。ただ九頭竜湖への送り込み運用であることを考えると利用はほぼ無い列車のはずなので、影響は小さかろう。
このほか今回のダイヤ改正では北陸本線福井4時49分発快速敦賀行きを廃止した。この電車は敦賀で米原回りの新快速に乗り換えれば土休日は大阪に7時57分、平日は8時02分に到着できるが、北陸本線特急「しらさぎ52号」と東海道新幹線「こだま761号」を乗り継げば新大阪に7時51分に到着できるので平日はほぼ同時刻に大阪に到着できるのである(しかも特急「サンダーバード」をそのまま乗りとおすより安い)。そう考えれば一種の特急誘導と捉えてもおかしくなかろう。
なおこの北陸本線の早朝の快速減便により福井から敦賀への初列車は32分繰り下がった。また折返しの敦賀5時43分発普通金沢行きを福井始発に変更するとしているが、10分前に初電を運転していることから影響は極めて小さいだろう。
6. 結び
今回の2021年3月13日JR西日本金沢支社ダイヤ改正では、特急列車でも普通列車でも減便を図ることとなった。
今後2024年3月に予定している北陸新幹線敦賀延伸により運転本数はどのように変化するのか、また在来線の第三セクター各社への転換によりどのように普通列車を設定するのか、見守ってゆきたい。
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