東京メトロは、2月9日、プレスリリースにて2017年3月25日に有楽町線・副都心線にてダイヤ改正を行うと公表した( http://www.tokyometro.jp/news/images_h/c2991319d057114726eaf10aaf1f5fce_1.pdf )。今回はこれについて見ていく。
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1. 副都心線新宿三丁目~池袋間で増便
今回のダイヤ改正では、新宿三丁目発着の各駅停車のうち昼間運行されている列車について池袋発着に延長した。
これにより東新宿・西早稲田・雑司ヶ谷の各駅からの昼間の乗車チャンスが毎時8本から毎時10本へと増え、渋谷・新宿三丁目~新線池袋間の昼間の有効本数も毎時8本(うち急行毎時4本、各停毎時4本)から毎時10本(うち急行毎時4本、各停毎時6本)へと増え、湘南新宿ラインも止まる武蔵小杉~池袋間の有効本数も昼間は毎時4本(東横特急・Fライナーのみ)から毎時6本(東横特急・Fライナー毎時4本、各停毎時2本)となり、利便性の向上が図られた。これにより東京メトロの枝線を除くすべての駅で昼間毎時10本の乗車チャンスを確保することができるようになった。今回は池袋までの延長となったが、副都心線専用ホームの設けられている要町・千川の両駅の場合は有楽町線も利用できること、有楽町線池袋駅が副都心線より便利なことから昼間毎時8本に据え置くということになったのだろう。
2. 昼間の増発は空気輸送の増大か
今回2017年3月25日ダイヤ改正で昼間は新宿三丁目~池袋間で毎時2本の増発を行ったものの、朝ラッシュ時や夕ラッシュ時は据え置きとなっている。これは車両運用数が平日朝ラッシュ≧平日夕ラッシュ>昼間となっており、昼間に増発する分にはラッシュ時にしか運用しない列車を1運用昼間にも運行するようにすれば比較的簡単にできる。しかしラッシュ時に増発しようとすると車両を新規製造しなければならない。地下鉄車両の場合1両当たり1億円では済まないので、10両編成の場合編成単位で15億円程度かかるとみていい。ラッシュ時の増発にはそれだけ費用がかかるのだ。また今回のダイヤ改正で設定された西武鉄道40000系を用いたS-TRAINの運行距離調整もふまえているとすると、今回の昼間だけ増発はあながち納得はいく。
とはいえ、今回の増発は必要な増発だったのであろうか?そこで当サイトで使用している指標である昼夕輸送力比(適正値60〜78%)で確認していく。
昼間は渋谷〜池袋間で毎時14本(うち10両編成は急行毎時4本)、平日夕ラッシュは渋谷〜新宿三丁目間が毎時16本(うち10両編成は通勤急行毎時4本と各停毎時2本)、新宿三丁目〜池袋間が毎時13本(うち10両編成は通勤急行毎時4本と各停毎時2本)であり、10両編成以外の列車は8両編成で運行される。そのため渋谷〜新宿三丁目間は昼夕輸送力比が120/140=85.7%、新宿三丁目〜池袋間は120/116=103.4%となり、ともに適切とは言えない。
乗車判断した限り、昼間は急行でも空席があり、各停は東新宿で退避する東横急行が新宿三丁目以北で空気輸送となっている。ダイヤ改正前の東新宿で退避しない東横各停はちょうど席が埋まる程度だ。つまり、昼間の空気輸送が増えたということになる。これはもはや昼間の池袋発着の各停を渋谷発着にし東横線内完結列車として運行しても差し支えない程度であり(特に2016年3月26日ダイヤ改正により急行が明治神宮前に停車するようになってからは尚更)、地下鉄に入ると乗客が減ることがうかがい知れる。JR湘南新宿ラインとの競合を考えたとしても、今回の昼間を中心とした運転区間の延長は、ただ電気を浪費しているだけではなかろうか?
3. 結び
今回2017年3月25日ダイヤ改正では、西武鉄道S-TRAIN運行開始により土休日に副都心線でも運行を開始したが、副都心線自体も各駅毎時10本を確保することになった。しかしその実態は空気輸送の増大であり、銀座線01系を省エネの1000系に全て置き換えたり、千代田線6000系を環境によい16000系に置き換えたりしたところでその節約分をパーにしてしまいかねない。15分サイクルを基にした毎時10本と毎時8本ではあまり利便性が変わらないので、自己満足を満たすために環境を犠牲にするのはやめてほしいと思う。
今後東京メトロ有楽町線や副都心線でどのようなダイヤ改正を行うのか期待したい。
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