郊外の減便も急遽変更し山田線急行削減へ! 近畿日本鉄道ダイヤ変更(2021年7月3日)

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郊外で昼間の減便も急遽変更へ! 近畿日本鉄道ダイヤ変更(2021年7月3日)

近畿日本鉄道は2021年5月12日、プレスリリースにて7月3日にダイヤ変更を行うと公表した( 2021年7月3日(土)ダイヤ変更について )。今回はこれについて見ていく。

2021年7月3日近鉄大阪線ダイヤ変更はこちら!

2021年3月ダイヤ改正まとめはこちら!

1. 昼間の減便と終電繰り上げへ

今回の2021年7月3日近畿日本鉄道ダイヤ変更では、2020年3月14日近畿日本鉄道ダイヤ変更以来約1年3か月半ぶりに近畿日本鉄道の大半の路線でダイヤ変更を行う。

例年近畿日本鉄道のダイヤ変更は概ね2年ごとに3月に行うことが多いが、今回は前回の大規模なダイヤ改正から1年3か月程度しか経っておらずしかも3月を外していることを考えると、このご時世で急遽組まざるを得なくなったのだろう。

また今回の2021年7月3日近畿日本鉄道ダイヤ変更に合わせ、特急券の発売日を乗車1か月前から2週間前に短縮する。これにより運休などの判断をより直前に行えるようになる見込みだ。

今回の近畿日本鉄道ダイヤ変更の大きな変更点は3つ。1つは昼間の郊外区間の急行・普通の削減。2つ目は大阪府を中心に22時以降の深夜の減便と終電繰り上げ。3つ目は特急の減便である。そう考えると今回の減便の効果は1日当たりの車両走行キロの減少による車両の長寿命化と乗務員行路の削減による人件費削減だろう

では今回の2021年7月3日近畿日本鉄道ダイヤ変更でどのような変更を行うのか、見ていこう。




2. 南大阪線で昼間の急行を区間急行に格下げへ

今回の2021年7月3日近畿日本鉄道ダイヤ変更では、南大阪線で減便を図る。

南大阪線では昼間の急行全毎時2本計10往復を区間急行に格下げし、古市~橿原神宮前間の普通毎時2本計10往復を廃止する。これにより駒ヶ谷~磐城間の各駅の昼間の停車本数は毎時4本から毎時2本に半減することとなった。

まあ駒ヶ谷~磐城間の各駅は若干1駅を除いて乗車人員が1,000人/日に満たないため束になっても昼間毎時1両で運びきれるし昼間毎時2本でも問題ないどころかそれでも多いと思われても致し方ないほどしか利用がない。ただ上ノ太子は乗車人員が2,000人/日を上回っている。もっともそれでも昼間毎時3両あれば十分運びきれるのでもし区間に運転する料金不要列車が毎時2本しかないのであれば毎時2本しか停車しなくても仕方ないかになるのだが、近年近鉄の急行停車駅は増えているんだし区間急行が毎時2本運転しているのだったら上ノ太子の1駅くらい増停車させたっていいじゃない。

むしろ、もし区間急行が上ノ太子に停車するようになれば昼間だけでなく平日夕ラッシュ時も急行を区間急行に格下げし古市~橿原神宮前間の普通毎時2本を削減できる。そうなれば費用削減効果はかなり高いだろう。

なお急行の区間急行への格下げは尺土で急行が抜かす普通が廃止になることから尺土~橿原神宮前間の急行通過駅救済が大きいのだろう。なお種別幕の関係で区間急行吉野行きの幕がないため、区間急行橿原神宮前行きとして運転した後普通吉野行きに種別変更を行う。

このほか御所線では昼間毎時4本から毎時2本に半減し10往復削減することとこととなったが、尺土での南大阪線大阪阿部野橋方面との対面連絡が準急及び普通から区間急行に変更したため急行及び区間急行と御所線との乗り継ぎ時間が5分程度短縮し古市・大阪阿部野橋から御所線各駅への到達時間がやや短縮することとなった。

また南大阪線では早朝の吉野5時11分発急行大阪阿部野橋行き初電を急行古市行きに短縮し、終点古市で河内長野から来る準急大阪阿部野橋行きに乗り換えさせることとした。

さらに吉野5時33分発急行大阪阿部野橋行きも急行古市行きに短縮した。また古市で長野線からの列車に乗り換えさせることになるのだが、その接続列車を河内長野6時24分発準急大阪阿部野橋行きを急行に格上げした。

さらに御所線では土休日の近鉄御所5時55分発準急大阪阿部野橋行きが普通古市行きに短縮となり、終点古市で長野線からの準急に乗り換えることとなった。これにより土休日は御所線で準急が全廃し、普通のみの運転となる。

このほかプレスリリースでは南大阪線で平日深夜時間帯の区間急行を急行に変更するとしているが、実態は大阪阿部野橋22時14分発準急河内長野行きと大阪阿部野橋22時20分発区間急行橿原神宮前行き(橿原神宮前から普通吉野行き)を入れ替え、大阪阿部野橋22時14分発準急吉野行きと大阪阿部野橋22時20分発急行河内長野行きにするだけである。つまり区間急行から急行に変更するのは長野線に区間急行がないために急行にあたかも上がったかのように見えただけである。




3. 恐れていた!山田線急行の減便宣言!

今回の2021年7月3日近畿日本鉄道ダイヤ変更では、山田線でも減便を図る。

今回減便するのは松阪以南でも運転する山田線急行昼間の毎時2本のうち大阪上本町発着の毎時1本の6往復で、山田線内でのみの減便となっている。これにより昼間の大阪線急行は伊勢中川までの運転となり山田線と直通運転をしなくなる

救済として名古屋線から山田線松阪以南へ直通する急行の運転時刻を見直し大阪線急行から山田線方面へ連絡できる列車を山田線直通に変更した。これにより大阪線急行と山田線急行は伊勢中川で10~15分程度で乗り換えられるようになる。

これにより山田線松阪~五十鈴川間では昼間の料金不要列車が主に6両の急行毎時2本と2両ワンマンの普通毎時2本の合計毎時4本から急行毎時1本と普通毎時2本の合計毎時3本に減る。ただ名古屋線に直通する急行の運転時刻が昼間のみ変わったため近鉄名古屋市発松阪行きとなった急行から松阪で2両ワンマン普通に乗り換えられるようになった。これにより松阪乗り換えを含め近鉄名古屋~五十鈴川間の料金不要の先着列車は上り(近鉄名古屋方面)は毎時2本のまま変わらないし下り(五十鈴川方面)は毎時2本から毎時3本に拡大するのである




ただこの山田線急行の減便はプレスリリース掲載時には記載はなく、6月18日の時刻表公表で明らかになったことである。おそらく当初は山田線急行を減便する予定はなかったのかもしれないが、何らかの都合で大阪線名張~青山町間の普通列車を当初の計画通り減便できなくなり減らせるはずだった1運用をどこか別の場所で減便せざるを得なくなったことで、山田線急行の減便で1運用浮かせようということになったのではないだろうか。

このほか名古屋線では塩浜~津新町間の昼間の普通を毎時3本から毎時2本に減便し6往復を運転区間短縮としたほか、志摩線では昼間の普通を毎時2本から毎時1本に減便し6往復削減した(鳥羽線・山田線普通に変わりないので、伊勢中川~賢島間運転の普通昼間毎時2本中1本が伊勢中川~鳥羽間に短縮した)。

またプレスリリースには記載はないが、鈴鹿線では平日夕ラッシュ時17時台~19時台の各毎時1往復計3往復を廃止し、平日夕ラッシュ時は毎時4本から毎時3本に減便する。伊勢若松で連絡を受ける名古屋線急行は平日夕ラッシュ時は毎時4本の運転で概ね15分間隔で来るのだが、これにできるだけ合わせられるように毎時3本を16~27分間隔で配置することとした。なお土休日の運転本数の変化はない。




4. 橿原線・田原本線で昼間のみならず平日朝夕ラッシュ時も減便へ

今回の2021年7月3日近畿日本鉄道ダイヤ変更では、橿原線や田原本線でも減便を図る。

ほかの各線では原則昼間のみの減便だったが、橿原線と田原本線では平日朝夕ラッシュ時も減便を行う。

田原本線では昼間毎時3本から毎時2本に削減し、輸送力を33.3%低下することとなった。

しかも田原本線では平日朝夕ラッシュ時も1本減便し最大毎時4本から毎時3本に減便した。これにより終日に渡り1運用削減しているのである。

これにより田原本線では11往復を削減することとなった。

次に橿原線。概ね終日に渡り毎時1本の大和西大寺~天理線天理間を運転する普通列車を運転しているが、これを天理線内のみの運転とし大和西大寺~平端間で減便する。これにより大和西大寺~平端間では昼間の普通は毎時4本から毎時3本に、平日夕ラッシュ時の普通は毎時5本から毎時4本に減便する。また天理線も朝夕は急行京都行きが大和西大寺に行く列車が大幅に減ることから運転本数は若干の減少で済んでも利便性が低下しそうだ。

また橿原線でも平日朝ラッシュ時に普通列車の減便を図っていることから、終日に渡り1運用削減している。

なお平日朝夕の普通列車削減に伴う西ノ京の急行停車時間帯の拡大は行わない。

ただこれらの減便を見ると、天理線でワンマン運転をするのではないかとも思えなくもない。というのは天理線は通常であれば昼間は毎時6両あれば運べるので3両編成毎時3本で十分運べること、田原本線の運用削減により昼間は3両編成2本が余ること、多くの時間帯で平端~天理間の折り返し運転となったことで運行形態が完全ではないものの独立し始めていることなどがある。もっとも京都からの急行があるので全列車がワンマン化することはまず考えられないのでワンマン化するとしたら普通列車のみだろうが、それでも十分な効果はある。

ただし天理教関連行事(このご時世で縮小開催のため多客期臨時列車は出していない)開催時に3両編成で捌ききれるかという問題はありそうだ。

このほか京都線でも平日朝ラッシュ時の大和西大寺6時29分発普通京都行き廃止したほか、新田辺8時10分発準急京都行きを廃止しいている。これにより京都線で1運用削減している。

このほか京都線では平日17時台の京都~新田辺間の準急1往復を廃止し減便する。

あとはプレスリリースに記載はないが、生駒線では平日に10時台と16時台に各1往復ずつ計2往復、土休日は8時台・19時台・20時台・22時台に各1往復ずつ計4往復を減便している。

また奈良線では平日朝大和西大寺8時26分発準急大阪上本町行きと近鉄奈良8時55分発快速急行大阪難波行きを廃止する。さらに大阪難波6時20分発準急奈良行きと大阪難波6時31分発準急奈良行きの2本を大阪難波6時22分発快速急行大和西大寺行きに統合するほか、大阪難波9時27分発普通大和西大寺行きと大阪難波10時05分発急行奈良行きを廃止する。これにより奈良線では1~2運用削減する見込みだ。

まあこれらの減便で最古参の8000系は一部廃車になるのだが、それにしても製造後50年以上経過する車両が100両以上あるのだが。近鉄では料金不要列車用車両を2008年を以て取りやめているが、もうそろそろ8両固定編成ないし6両固定編成で置き換え用新型車両を投入すべきなのだとは思うが(もっとも運転台の削減により定員が増えるので平日朝夕ラッシュ時の減便を行うことができ、更なる運用合理化が目指せるのだが)。

これらの状況を見る限り、これまで準急以上の速達列車が走る路線では、各駅に停まる列車の運転区間短縮と引き換えに速達列車の各駅停車区間を拡大することにより昼間の各駅に停まる列車の本数を据え置いてきたが、今回のダイヤ変更では速達列車が走っていても各駅に停まる列車の削減に踏み切った。そこまでしないといけないほど余裕がないのだろう。




5. 終電繰り上げと深夜の減便へ

今回の2021年7月3日近畿日本鉄道ダイヤ変更では、終電繰り上げのほか22時台以降の深夜の減便を行う。

終電繰り上げは保守時間の拡大や駅営業時間の短縮が図れるため効果的だし、22時以降は深夜労働で賃金割増となるため減便すれば昼間より効果的となる。

まずは深夜の減便から。奈良線では2021年1月30日より運休となっている大阪難波22時57分発区間準急大和西大寺行きを廃止する。救済として大阪難波23時05分発急行近鉄奈良行きを準急に格下げする。

このほか田原本線では新王寺23時29分発西田原本行き最終を新王寺23時28分発に1分繰り上げたほか、西田原本24時34分発新王寺行き最終を24時30分発に4分繰り上げた。

また道明寺線でも平日・土休日ともに22時台と23時台で各1往復ずつ減便し、終電を20分程度繰り上げている。

さらに湯の山線では湯の山温泉23時12分発近鉄四日市行き最終を廃止し、終電を18分繰り上げ湯に山温泉22時54分発とする。なお運用上の都合で近鉄四日市22時56分発湯の山温泉行きも廃止している。

2両ワンマンで運転している支線たちはプレスリリースに書かなくてもいいのかもしれないけど、長野線は原則全列車が大阪阿部野橋発着なんだからプレスリリースに書けよと思うが。




6. 特急列車の減便実施へ

今回の2021年7月3日近畿日本鉄道ダイヤ変更では、特急列車でも減便も行う。

今回減便するのは主に大阪上本町~宇治山田間運転の特急昼間の毎時1本及び平日の京都~近鉄奈良間特急、土休日の大阪難波~近鉄奈良間及び大阪阿部野橋~吉野間の特急である。

まずは大阪上本町~宇治山田間の特急。これまでは大阪線から山田線へはともに停車駅の多い特急毎時2本を運転しているが、今回のダイヤ変更より昼間は平日・土休日とも大阪難波~鳥羽間の毎時1本のみの運転となる。通過駅救済として昼間は今回は医師になる宇治山田始発終着の特急のみが停まっていた榊原温泉口は大阪難波~鳥羽間の特急が停車することで毎時1本の停車を引き続き確保することとなった。なお布施への特急停車の救済はなく、昼間に布施に停車する特急がなくなることとなった

このほか京都~奈良間特急は観光目的利用が多いため土休日より平日の方が当然利用者は少なくなるしそれで昼間毎時2本から毎時1本に減るのは致し方ないし、毎時1本の特急で物足りないなら京都線急行に乗ればいいだけである。

また大阪難波~奈良間の特急は通勤時間帯の着席保証列車(東京都市圏でいう「○○ライナー」のようなもの)の要素が強く朝夕しか運転していないことから平日より土休日の方が利用が少なくなるのは当然で、よって土休日の減便の方が多くなるのは当然である。

このほか名古屋~伊勢志摩方面では運転本数は大差ないものの、平日昼間に鳥羽~賢島間で3往復減便し名古屋方面に向かう特急が2時間に1本程度に減便している。まあそれより驚きなのは名古屋~伊勢志摩方面の特急が伊勢志摩ライナーよりアーバンライナーの方が多いことなのだが。

さらに南大阪線特急では昼間の特急が1時間~2時間に1本程度の運転に削減するほか、平日朝夕と土休日夜間を中心に吉野発着の特急の約半数を橿原神宮前始発終着に短縮、大阪阿部野橋22時09分発特急5209列車の吉野行きから下市口行きへの短縮など大幅な合理化を行っている。これにより通常ダイヤでは1運用運用数が減る見込みだが、多客期にはダイヤ変更前と同水準の運転本数を吉野発着で運転するため車両保有数に変わりはない見込みだ。

要は今回の特急削減は毎時2本あるけれども利用の少ない列車の毎時1本化と末端区間(賢島・吉野)の特急削減である。おいおいやっていることは料金不要列車の削減手法と変わらないではないか。

ただ特急の減便はそもそも2021年5月6日より一部特急列車を運休しているし平日の特急の減便は5月6日からの一部運休列車とほぼ一致するのである。もっとも土休日はさらに運休しているため一部復便しているが、実質2か月ほど前から先行実施していたと考えれば7月での変動は小さかろう。

このほか土休日は大阪上本町9時50分発特急905列車宇治山田行きを大阪難波9時45分発特急3905列車に延長し、大和八木→伊勢市間ノンストップ化により速達化を図ることとなった(なお平日は特急905列車を減便した)。


7. 結び

今回の2021年7月3日近畿日本鉄道ダイヤ変更では、昼間を中心に特急列車や普通列車を含め郊外区間の料金不要列車を減便し合理化を図ることとなった。

またプレスリリースに記載のない各線での終電繰り上げのみならず平日朝夕ラッシュ時や深夜時間帯の減便も行っており、運用数削減も伴った大規模なダイヤ変更となっている。

ただ時刻表の公表が例年より遅れたことを考えると、まだ減便を行う余地があり今後も減便が続く可能性がある。

今後近畿日本鉄道でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。

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