韓国鉄道KORAILは2021年7月9日、プレスリリースにて8月1日にダイヤ改正を行うと公表した( 韓国鉄道KORAIL、2021年8月1日に大規模なダイヤ改正 プレスリリースリンク不可のためTwitterに挙げた画像(内容同じ)にて代用 )。今回はこれについて見ていく。
1. 新型車両KTX-イウム、KTX江陵線に投入へ!
今回の2021年8月1日韓国鉄道KORAILダイヤ改正では、新型車両KTX-イウムをKTX江陵線に投入する。
KTX-イウムは2021年1月5日韓国鉄道KORAILダイヤ改正より運転開始した新型車両で、導入開始時は6両編成10本しかなかったことからKTX中央線のみに運用していた。ただその後も車両増備を図り9本増備したことから今回のダイヤ改正でKTX江陵線の全列車を新型車両KTX-イウムで運転することとしたのである。
この車両置き換えによる運転時刻の変更はないが、特室の連結を取りやめ優等室の連結に切り替えるため、特別車料金は値下げすることとなった。この車両置き換えによりソウル駅~龍山間の短距離ではあるものの京釜線にKTX-イウムが入線することとなった。
これにより今後KTX江陵線で運用していたKTX_山川はソウル・龍山発着のKTX各線に移籍しKTX-Iの一部を置き換える見込みだ。客車は8両から6両に減車するが、そもそも2018年の平昌オリンピック期間以外は閑散とした地域を多く通るため、問題はなかろう。
このほかKTX江陵線とほぼ線路を共有する嶺東線江陵~東海間の急行格電車ヌリロ(JR西日本683系「サンダーバード」型車両の韓国版4両編成)は深夜の2往復を削減することとなった。
2. 慶全線でムグンファ号大幅再編へ!
今回の2021年8月1日韓国鉄道KORAILダイヤ改正では、慶全線で急行格列車ムグンファ号を大きく再編する。
そこで今回のダイヤ改正でどのように変化するのか、見ていこう。
2.1. 系統分割で東海線との直通中止へ
まずは東海線浦項~釜田~慶全線順天間運転のムグンファ号全1往復。
今回のダイヤ改正で釜山市街地に近い慶全線・東海線の釜山市内のターミナル駅釜田で系統分割することとなり、東海線浦項~釜田間のムグンファ号と釜田~慶全線順天間のムグンファ号に分割することとなった。なお東海線浦項~釜田間のムグンファ号は時刻は変えず、釜田~慶全線順天間のムグンファ号を数分運転時刻を変更することにより釜田で相互接続を取れるようにする。これにより一部近距離区間での運賃値上げはあるが、大きく利便性を損なうことはないだろう。
2.2. 京釜線乗り入れ列車縮小へ
次にソウル~東大邱~晋州間運転のムグンファ号客車全1往復。
今回のダイヤ改正より京釜線内ソウル~東大邱間で運休し、東大邱~晋州間みの運転する。これにより慶全線ムグンファ号の京釜線乗り入れは東大邱までに縮小することとなったほか、当該列車はRDC気動車による運転に置き換わった。
なお昌原・馬山・晋州などからソウルへは特急格電車ITX-セマウル2往復の運転もあるため、値上げはするものの慶全線からソウルへの在来線直通列車が無くなるわけではない。
2.3. 湖南線との直通縮小へ
最期に龍山~西大田~湖南線長城経由~西光州~順天間を運転するムグンファ号全1往復。
今回のダイヤ改正で廃止し、救済として慶全線内では光州松汀~順天間にムグンファ号を1往復運転する。これにより西光州~順天間の列車は4往復のまま据え置きとなる。
ただ、これまで慶全線から湖南線経由龍山まで運転する列車は光州市内は短絡線として北松汀三角線を経由していた。しかし今回のダイヤ改正で湖南線と慶全線は光州松汀での乗り換えが必須となったため、0.6km距離が伸びることになる。
ただし運賃面では湖南線と慶全線を光州松汀で乗り継いだ場合、既存の通しの運賃と同額になるように連絡乗車券制度を導入する。これによりこれまでと同額で行くことができる。
ただし湖南線全てで慶全線との乗り入れを廃止するわけではない。慶全線唯一の全線運転列車であるムグンファ号1往復は釜田~順天~光州松汀~湖南線木浦間を運転している。もっとも慶全線走破だけが目的であれば釜田~順天~光州松汀間のみの運転に短縮してもよさそうだが、今回は行わなかった。
これは慶全線宝城~湖南線任城里(隣駅の湖南線木浦まで直通)間に慶全線支線を建設しており、ゆくゆくは慶全線新ルート経由の列車とするため直通列車を残す必要があると考えたからだろう。
ただし2004年時点では宝城~木浦間を結ぶ列車は急行格列車ムグンファ号2往復のほか通勤列車2往復もあったが、2021年現在はムグンファ号1往復しかない。そうなるとたった1往復しか旅客列車がないのに新線を開業させるという話になりかねない、そんな話甘すぎやしないか?
3. 全羅線で湖南線直通列車削減により夜行列車全滅へ
今回の2021年8月1日韓国鉄道KORAILダイヤ改正では、全羅線でも急行格列車ムグンファ号を大きく再編する。
まず廃止するのは龍山22時45分発ムグンファ号1517列車全羅線麗水エキスポ行き。この列車は終点麗水エキスポに3時58分に到着する夜行列車だったが、全区間で廃止することとなった。
代替として益山7時34分発ムグンファ号1533列車麗水エキスポ行きを運転し、西大田6時25分発ムグンファ号1461列車湖南線光州行きから益山で連絡できるようになった。これにより西大田から全羅線への在来線初列車が1時間25分繰り上がることとなった。
韓国では夜行列車の運転も行っていたのだが(ただ短距離ゆえ寝台車を連結していたのはソウル~京釜線経由~釜山間の1弗1往復のみ)、2019年12月30日韓国鉄道KORAILダイヤ改正でソウル~京釜線経由~釜山間の夜行ムグンファ号を廃止したほか、2021年1月5日韓国鉄道KORAILダイヤ改正で清凉里~中央線経由~釜田間、清凉里~中央線・太白線経由~東海間、釜田~慶北線・嶺東線経由~東海間の夜行ムグンファ号を一挙に廃止し、残る韓国の夜行列車は龍山22時45分発ムグンファ号1517列車全羅線麗水エキスポ行きのみとなっていた。しかし今回のダイヤ改正で廃止したことから、韓国から夜行列車が全廃したのである。
なお龍山21時25分発ムグンファ号1515列車全羅線麗水エキスポ行き(麗水エキスポ2時37分着)は列車番号を1513列車に改番するも存続するので、準夜行列車は残る見込みだ。
結果的に全羅線内を走るムグンファ号の運転本数には変わりないのだが、湖南線直通列車が1日9往復から7往復に減便し2往復も削減することとなった。
ただし昼間の減便分は益山で数分~最大20分程度で龍山方面湖南線ムグンファ号と連絡が取れるので、近距離では運賃が値上がりするが使えなくなるわけではなさそうだ。
これにより湖南線では先述の慶全線直通列車1往復と全羅線直通列車2往復を削減することから西大田~益山間で3往復もムグンファ号を減便することとなった。
今回のダイヤ改正による減便によりムグンファ号客車3運用を削減する見込みのほか、ソウル・龍山発着の場合6両または7両のところソウル市内乗り入れを取りやめることにより3両または4両に減車していることから、客車24両分を浮かせたようだ。
ただ今回の急行格列車ムグンファ号の減便を見てみると、全羅線直通列車を除き1日1往復しか運転のない僅少系統の廃止が目立つ。そう考えると残る1日1往復のみ運転のムグンファ号運転系統はソウル~京釜線・忠北線経由~堤川間と釜田~東海線・中央線・嶺東線経由~東海間の列車になるが、前者は2021年度に開業予定の中部内陸線と競合するため廃止する可能性がある他、後者は2022年度までに中央線・東海線の新線付け替え及び複線電化により運転区間を嶺東線内に縮小する可能性がある。そう考えると僅少系統の廃止は今後も避けられなさそうだ。
このほか今回のダイヤ改正では在来線で全国的に時刻修正を行っている。
ただ2021年7月に大邱線は全線で複線電化が完成したのだが、今回のダイヤ改正では中央線乗り入れ列車を除き時刻変更なないし電車への置き換えも行っていない。ただ2021年6月17日に河陽~永川間を14.9kmから12.0kmに短縮したことを考えると、2021年現在運転しているムグンファ号以外の列車の設定もありそうだ。
4. 結び
今回の2021年8月1日韓国鉄道KORAILダイヤ改正では、新型車両KTX-イウムの増備によりKTX江陵線の使用車両を全て一斉に置き換えたほか、急行格列車ムグンファ号を中心に合理化を図り1日1往復しか運転のない系統を積極的に廃止し運転系統を簡素化することとなった。
今後2022年度までに中央線や東海線で新線付け替えと複線電化により
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