上越新幹線も東北新幹線直通列車設定へ 東北・上越・北陸・北海道新幹線臨時列車運転(2017年7月~9月夏期間)

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JR東日本は5月19日、プレスリリースにて2017年夏の臨時列車を公表した( http://www.jreast.co.jp/press/2017/20170510.pdf )。またJR東日本新潟支社は団体臨時列車として、E5系を使用した列車を新潟~八戸間で運行すると公表した( http://www.jrniigata.co.jp/press/20170516touhoku35syunen.pdf )。今回はこの他、東北・上越・北陸の各新幹線の2017年夏の臨時列車運転について見ていく。

2017年7月より史上初めて運行される大宮発着の東北新幹線「はやぶさ」についてはこちら!

1. 北陸新幹線の次は、上越新幹線が東北新幹線と直通

今回の臨時列車運転では、旅行商品専用団体臨時列車として7月9日に新潟→八戸間で、7月10日に八戸→新潟間で東北新幹線開業35周年記念号を運行する。車両には東北新幹線E5系10両編成が用いられ、上越新幹線にE5系が入線する珍しいケースとなりそうだ。東北新幹線の開業1982年から35周年ということは、上越新幹線も11月で35周年を迎えつということであるから、Shinkansen yearに合わせて運行されるに至ったのであろう。

2016年11月には東北新幹線と北陸新幹線で旅行商品専用団体臨時列車として仙台~金沢間でE7系12両編成を用いて運行したこともあり( https://jr-sendai.com/upload-images/2016/09/20160909.pdf )、当時は史上初の直通運転として大きく報道された。北陸新幹線は周波数の関係でE7系とW7系、過去には一部のE2系しか直通できないため運用が限られていたが、閑散期には昼間に限ると車両の半分を持て余している状態であること、また当時は北陸でデスティネーションキャンペーンを行っていたことからも、このような柔軟な運用を組むに至ったのだと思われる。

このように報道されれば大きく取り扱われる新幹線の通常では行わない直通運転の実施であるが、現実としてはプレミアを付けた旅行商品のセットでなければ採算が取れないのではないだろうか。まず第一の問題として、もし定期運行して採算がとれるのか。仙台~新潟間には高速バス(宮城交通・新潟交通)が運行されているが、たったの1日8往復。中国地方最大の都市広島と人口密度の一番小さい県の県庁所在地松江間の高速バス(広電バス・一畑バス)ですら1日18往復である。しかも行程の半分程度しか高速道路がなっかた時代でさえ1日12往復確保されていたという強者である。それなのに磐越道ですいすい行ける仙台~新潟間がたった8往復しかないのかと言われると、所要時間が4時間20分もかかり(広島~松江間は2時間50分程度)、東北・上越新幹線を使えば大宮で昼間だと30分程度乗り換え時間があったとしても3時間20分程度で到着できるからなのだろう。

ならば直通列車を設定した方がいいのかと言われるとそれも違う。直通列車を設定すると、大宮駅でお客さんに座席を転換してもらわなくなくてはならなくなる。秋田新幹線では秋田~大曲間で座席の向きと進行方向が逆になるが、短時間であるから許容されているのであって1時間も2時間も辛抱してもらうわけにはいかない。また対東京発着と比べると明らかに輸送量が小さく、仙台~新潟間の鉄道による旅客輸送量は仙台の場合は0.7%、新潟の場合は0.8%しかなく、バスの輸送量もその倍程度しかない。しかも直通列車を定期的に設定しようとすると、大宮を境に運行会社が分かれているわけでもないので特急料金計算を通しで行わなくてはならない可能性もあり、東北新幹線ですら超繁忙期に毎時8本しか運行しないというのに、たった1%に満たない需要のために直通列車を設定しようというのは難しいのではないだろうか。




2. 北陸新幹線「かがやき」の定期チャーター便は新高岡停車の1往復のみに

JR長野支社の公表によれば、昨年2016年は北陸でデスティネーションキャンペーンを行ったため先述のような東北新幹線直通列車を設けた北陸新幹線であるが、本年2017年は沿線の長野県で信州デスティネーションキャンペーンを行うにもかかわらず減便の様相となった。
具体的には、東京都長野・北陸を最速達で結ぶ「かがやき」の臨時列車のうち、毎日運転の列車が2017年春までの臨時列車運転では4本設定されていたにもかかわらず、今回の臨時列車運転では新高岡停車の1往復2本のみとなってしまい、臨時列車の運行本数も774本(昨年比29本減)となってしまった。また「はくたか」も32本(昨年比21本減)、「あさま」も360本(昨年比66本減)となり、全体的に運行本数抑制となった。




3. 東北・北海道新幹線は横ばいながらも「はやぶさ」「こまち」誘導へ

JR盛岡支社の公表によれば、東北・北海道新幹線は612本(10本増)の臨時列車の運行となり、史上初の運行となる大宮発着「はやぶさ69号」「はやぶさ68号」合計4本と2017年春より運行され始めた仙台始発新函館北斗行き臨時「はやぶさ289号」の運行2本を差し置いても微増となる。その他、秋田新幹線では265本(昨年比97本増)の臨時列車を運行し、その分従来盛岡発着で運行していた臨時「はやぶさ」の新青森発着での運転日も大幅に増えた。
JR仙台支社の公表ではその他事細かに記載されており、「はやぶさ」(「こまち」併結含む)は335本(昨年比66本増)、「はやて」は142本(昨年比52本減)、「つばさ」(「やまびこ」併結含む)は362本(昨年比46本減)、「やまびこ」は194本(昨年比55本減)となった。JR盛岡支社の公表では10本増となっていた東北・北海道新幹線の臨時列車であるが、仙台支社の公表では「はやぶさ」「はやて」「やまびこ」合計で31本減しているということは、仙台発着の「やまびこ」を49本削減したということなのだろう。その分の輸送力減少分は97本増発した「こまち」編成の7両増結で補い、東京~仙台間でより多くの旅客を速くて料金の取れる「はやぶさ」「こまち」で輸送しようということなのだろう。




4. 上越新幹線は全体減だがお盆のみ増加

JR新潟支社の公表によれば、上越新幹線は397本の運行(昨年比44本減)で北陸新幹線同様減便の様相となったが、お盆期間の運行本数(2017年は8日間、昨年2016年は9日間で指定)は125本の運行(昨年比6本増)となり、設定期間が1日縮まったにも関わらず運行本数が増加した(ちなみに他線区では1日減少したがために見かけ上の運行本数が減っている)。2018年からE4系を置き換えてE7系を導入する予定だが、今回の臨時列車運行では特段E4系を優先的に使用しようという意図は見受けられなかった。


5. 結び

今回2017年の夏の臨時列車運行では、比較的短距離の上越・北陸新幹線及び東北新幹線「やまびこ」では減便、速度重視の遠距離列車である「はやぶさ」「こまち」は増便となり、昨年2016年の夏の臨時列車と比べても効率的に、かついかに料金をとるかを目標としてより戦略的になっているものと思われる。今回は史上初の試みとして大宮発着の「はやぶさ」を運行しているが、今後どのような臨時列車の運行を辿るのか見守ってゆきたい。

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