JR西日本は11月30日、プレスリリースにて2019年春よりJR神戸線に特急「らくラクはりま」を設定すると公表した( JR神戸線に通勤特急がデビューします! )。今回はこれについて見ていく。
2019年3月16日全国一斉ダイヤ改正まとめについてはこちら!
1. JR神戸線に昼行電車特急へ
今回の2019年3月JR西日本ダイヤ改正予測では、JR神戸線に平日のみ運転の特急「らくラクはりま」を導入する。
そもそもプレスリリースの「通勤特急」という表記が、競合する阪急の料金不要で利用できる通勤特急を彷彿してしまうことで、B特急料金の必要な特急「らくラクはりま」がボッタクリ感があるような感じがする。
朝は姫路→大阪、夜は大阪→姫路の1往復のみの運転となっており、JR京都線・琵琶湖線を走る特急「びわこエクスプレス」のJR神戸線版ととらえた方が無難そうだ。
昼行電車特急のJR神戸線運転は、1997年3月22日ダイヤ改正で神戸乗り入れを廃止した特急「雷鳥」以来であるものと思われる。なぜあまり運転されてこなかったかというと、姫路から分岐する播但線は現在でも寺前~和田山間に非電化区間が残っており播但線特急「はまかぜ」が電車化できないこと、琵琶湖線やJR宝塚線、阪和線などではホームライナーが設定されていた一方でJR神戸線には設定されていなかったことでホームライナーから特急に格上げていた経営方針がそもそもホームライナーのないJR神戸線に適用されなかったこと、大阪から京都方面に走る東海道新幹線が他社のJR東海なのに対し大阪から神戸方面に走る山陽新幹線は同じJR西日本が運営していることからJR京都線と比べ積極的に在来線特急を走らせて置く必要があまりないこと、国鉄時代に設定された大阪から姫路以遠の乗車券が新大阪乗り換え山陽新幹線経由でも利用可能なことなどもあり、姫路に急ぎたいのであれば山陽新幹線を使うだろう、とJR西日本側が30年間考えていたことなどが挙げられる。
しかしたまたま山陰・北近畿方面に運転するための特急「はまかぜ5号」や特急「スーパーはくと13号」がJR神戸線内利用利用が多く、かつ2015年12月5日南海電鉄・泉北高速鉄道ダイヤ改正で設定された特急「泉北ライナー」や、2017年8月20日京阪電鉄ダイヤ改正で設定された京阪特急プレミアムカーが成功しており、新たな増収策として見込めるからと判断したからではないだろうか。
停車駅は姫路、加古川、西明石、明石、神戸、三ノ宮、大阪となっており、三ノ宮~大阪間はノンストップながらも三ノ宮~姫路間は新快速停車駅と全く同一となっている。
使用車両は289系電車6両編成となっており、おそらく阪和線特急「くろしお」用に使用される車両を使うことになるものと思われる。特急「らくラクはりま」に使用される289系が683系北陸本線特急「しらさぎ」を改造した列車だというのが、新快速にとって宿敵の気配を感じるのは気のせいだろうか。
1号車は半室グリーン車指定席・普通車指定席、2・3号車は普通車自由席、4~6号車は普通車指定席として設定される。琵琶湖線特急「びわこエクスプレス」が9両中自由席6両、または3両中自由席2両であることを考えると、自由席を少なく、指定席を多くしているように感じる。
今回のJR神戸線特急「らくラクはりま」導入と同じ2019年3月ダイヤ改正では新快速のAシート連結も始まることから、二重投資な気がしなくもない。しかし、新快速用223系の更新工事兼Aシート改造工事を進めるならば、その分新快速の運用を減らしたいところだ。停車駅が三ノ宮以西で新快速と同一というのも、オフピークの新快速運用または223系外側線快速運用を1本減らして代わりに運転するためではないだろうか。
2013年3月16日ダイヤ改正では平日朝ラッシュ時の快速と普通列車を1本ずつ減便し、新快速と快速合わせて毎時15本から毎時14本に、普通電車も毎時15本から毎時14本に削減しJR京都線から205系を再び転属させたことがある。ともなると快速列車を減便させる可能性はある。
また、今回の2019年3月ダイヤ改正で特急「はまかぜ5号」や特急「スーパーはくと13号」で停車駅が増加する可能性があるほか、琵琶湖線特急「びわこエクスプレス」の指定席車両が拡大する可能性がある。
2. 朝のダイヤはどうなる
では朝の姫路発大阪行きJR神戸線特急「らくラクはりま」の運転時間帯はどうなるのだろうか。
そもそも特急「らくラクはりま」に使用される289系車両は特急「くろしお」用に使用されている編成を一部の時間帯に間合い運用的に使用するほかない。
特急「くろしお」の一番列車は新大阪7時33分発「くろしお1号」新宮行きで、283系(「オーシャンアロー」型車両で運転)となっており、紀勢本線内を振り子式車体傾斜装置を使用してカーブの減速もあまり受けずに走る。そのため、この運用を289系に置き換えることは不可能だ。
ともなると、新大阪9時03分発「くろしお3号」白浜行きの送り込みに特急「らくラクはりま」を使用すればいいのではないだろうか。
そうなると、大阪駅に遅くとも8時30分までに、できれば8時20分ごろまでに到着している必要がありそうだ。時間帯的には平日朝ラッシュ時ど真ん中なので、通勤時間帯の特急列車としてはもってこいだ。琵琶湖線特急「びわこエクスプレス」が大阪7時31分着であることを考えると、特急「サンダーバード」の間合い運用で時刻が多少繰り上がっているとしても特急「らくラクはりま」も7時半頃に大阪駅に到着していると良いのではないか。
現在JR神戸線は、大阪平日7時59分~8時58分到着において新快速と快速が毎時7本ずつ、全て223系または225系の130km/h対応の12両編成で運転され、神戸→大阪間は外側線を駆けている。大阪7時59分着の快速のみ垂水などにも停車するため兵庫まで緩行線を運転しているものと思われるが、それ以外の快速は全て西明石から急行線を駆けている。そのためこの時間帯は外側線を平均4分17秒間隔で列車が運転しており、しかも昼間や平日夕ラッシュ時と違い元町や住吉、西ノ宮などにも追加停車する快速も運転されていることから、現状ではこの時間帯の特急列車の設定は難しい。そのため、運転されるとしたら快速が内側線を走る時間帯がねらい目となりそうだ。
そう考えると、外側線快速運転開始より前の大阪7時47分発の快速は内側線走行の221系運用となっていることから、この時間帯の外側線は空いていそうだ。逆に外側線快速の運転が終わるのは大阪9時13分着で、それ以降に特急「らくラクはりま」を設定するとすると、大阪9時20分着になってしまう。東京都市圏なら需要はあるかもしれないが、大阪では遅いし、特急「くろしお」の運用に間に合わなくなってしまう。
ともなると、特急「らくラクはりま」は大阪7時48分頃着で設定される可能性が高いのではないだろうか。
また所要時間について考えていくと、特急「らくラクはりま」は三ノ宮~大阪間ノンストップであることから芦屋で新快速を抜かしてもいいのだが、現在のところ芦屋で新快速を抜かす特急列車はない。もし外側線快速運転時間帯に特急「らくラクはりま」を運転するのであれば芦屋で快速を抜かす可能性はあるが、外側線快速運転時間外では芦屋で外側線列車を抜かすことはないだろう。
そうなると、大阪を7時48分に到着すると仮定すると、姫路を6時40分頃に出発すれば良いのではないだろうか。
3. 夜のダイヤはどうなる
では、夜の大阪発姫路行き特急「らくラクはりま」の時刻はどのように設定されるのだろうか。
下り(大阪発姫路行き)は大阪18時04分発「はまかぜ5号」鳥取行きと大阪を20時06分に出発する京都始発の「スーパーはくと13号」鳥取行きの間に運転され、各特急で約1時間間隔で運転するようだ。ともなると、19時台前半、19時04分発頃の運転となるのではないだろうか。
ただ、このスジに阪和線特急「くろしお」新大阪行きからの送り込みをしようとすると、2018年3月17日ダイヤ改正時点の運用ではうまく289系運用が捕まらない。今回の2019年3月ダイヤ改正を前に全ての289系「くろしお」で1号車の全室グリーン車から半室グリーン車への改造を終えていることから、新造した287系と運用を交換することが容易になるものと思われる。ともなると、今回の2019年3月ダイヤ改正で阪和線特急「くろしお」の運用変更が行われるのは間違いなさそうだ。
ただ、289系を平日に姫路(から回送で網干もありうるが)まで送り込むと、JR神戸線特急「らくラクはりま」が大阪に戻るまでの時間帯は特急「くろしお」を1運用減らす必要がありそうだ。ともなると、2018年3月17日ダイヤ改正で阪和線快速の新大阪乗り入れ廃止の代替として設定された和歌山5時14分発「くろしお2号」新大阪行きと新大阪22時50分発「くろしお35号」和歌山行きが利用者が少ないという理由で廃止されるのではないだろうか。
4. 結び
今回の2019年3月JR西日本ダイヤ改正予測では、新快速にAシートを導入するほか、JR神戸線特急「らくラクはりま」を導入し、通勤時間帯の着席サービスの拡充を図ろうとしている。
ただ、特急「らくラクはりま」を運転させるにあたり、JR神戸線内ではダイヤの調整が必要なほか、阪和線特急「くろしお」の減便の可能性がある。
2019年3月にJR西日本でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守って行きたい。
コメント