JR西日本岡山支社は2021年12月17日、プレスリリースにて2022年3月12日にダイヤ改正を行うと公表した( 2022年3月ダイヤ改正について )。今回はこのうち伯備線特急「やくも」について見ていく。
1. 特急「やくも」実質復便へ!
今回の2022年3月12日JR西日本岡山支社・米子支社ダイヤ改正では、伯備線特急「やくも」を見直す。
前回の2021年3月13日ダイヤ改正ではプレスリリース上では伯備線特急「やくも」は1日15往復の定期列車を据え置いたとしているが、実態は15往復中岡山発出雲市行き最終を含む7往復を事実上臨時列車化、前回のダイヤ改正以降今回の2022年3月12日ダイヤ改正までの364日間で15往復全てを運転したのは12月10日~2月26日までの79日間にとどまり、残りの日は約半数の1日8往復しか運行がない。なお山陰本線鳥取~米子間では1日17往復の特急列車を運転していることから、伯備線特急の運転本数が山陰本線特急「スーパーおき」「スーパーまつかぜ」にすら負けていることになる。
なお智頭急行線特急「スーパーはくと」も前回のダイヤ改正から今回のダイヤ改正までの364日間で定期列車全7往復を全て運転した日は81日間しかなく、残りの日は1日6往復の運転にとどまってる。
今回のダイヤ改正で15往復中3往復を臨時化し金曜~日曜を中心に運転するとしているが、この3往復は岡山発出雲市行き最終「やくも29号」を含む2021年3月13日より実質臨時列車化した7往復中3往復である。
ただ、JR西日本では2022年3月12日ダイヤ改正以降、特急「やくも」の長期運休列車を7往復から今回臨時化した3往復のみに縮小する。逆を言えば4往復は実質臨時列車から毎日運転の定期列車に戻すこととしたのだ。ただこの3往復については当初のプレスリリースでの記述のような金曜~日曜の運転も行わず、当分の間全運休となっている。
岡山21時40分発特急「やくも29号」出雲市行き最終を岡山21時20分発に20分繰り上げる。これにより東海道山陽新幹線からの最終連絡は東京18時09分発「のぞみ57号」博多行きから東京17時51分発「のぞみ99号」広島行きに18分繰り上がることになる。が、そもそも両列車とも年間100日も運転しない臨時列車状態で実質前回の2021年3月13日ダイヤ改正で東京16時30分発「のぞみ49号」が最終連絡となっていたため、臨時増発がない限りは最終連絡列車に変わりはないようだ。
この最終繰り上げによりもし岡山21時20分発特急「やくも29号」出雲市行き最終を運転したとしても営業時間を20分短縮できるようになったほか、月曜~木曜の夜間は基本的にこの列車を運転しないことが決まったため保守間合い時間が1時間35分拡大することとなった。
2. 新車置き換えも両数抑制へ
伯備線特急「やくも」では、2024年3月より新型車両による運転を行うとしている。
そもそも伯備線では1982年に電化し、新型特急型車両として381系を投入した。ただもう投入から40年経過しつつありチケットレス特急券も利用できるようになったにもかかわらず車両の置き換えがなかなか進まず、ついに最後の国鉄型電車特急となってしまっていた。
今回投入するのは273系で、制御付き自然振子式車体傾斜装置を搭載している。2024年春に営業運転を介すするとしているが、おそらく2024年3月ダイヤ改正にて一斉置き換えだろう。
投入本数は4両編成11本の計44両となっており、現行の381系62両よりはるかに少ない。
これは381系は定期運用のある4両編成10本のほか、増結用の3両編成6本と中間増結用の2両編成2本も持っているためで、多客時に4両編成では輸送力が足りないことから6両や7両、最大9両編成にして輸送してきた。
ただこのご時世で通常の4両編成で十分どころか、2021年度はほとんどの日で運転本数を半減してきた。そんなところで今後の利用を見積もってもせいぜい4両編成毎時1本で運べてしまうわけで、増結用の3両編成や2両編成は不要だと判断したのだろう。
また273系は近年JR西日本が新製投入した287系や改造した289系の状況を見るに、4両中グリーン車は半室0.5両のみ、残る3.5両を普通車とする見込みだ。
3. 結び
今回の2022年3月12日JR西日本岡山支社・米子支社ダイヤ改正では、伯備線特急「やくも」のうち4往復が事実上復便する。
一方増結運転はほぼ放棄する結果となり、2024年3月ダイヤ改正で投入する273系は4両固定編成のみの投入となっている。
今後伯備線特急「やくも」でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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