JR北海道はプレスリリースにて令和4年度の事業計画を公表した( JR北海道令和4年度事業計画 )。またJR北海道は2022年6月3日、プレスリリースにて経営改善の取り組みを公表した( JR北海道グループ経営改善に関する取り組み )。さらにJR北海道は2022年7月13日、プレスリリースにて2022年度内にキハ183系を引退すると公表した( キハ183系の運行終了 )。さらにJR北海道は2022年9月14日、プレスリリースにて2022年度内よりH100形気動車の観光列車改造を行うと公表した( 国と北海道による支援を受けたH100形車両がデビューします )。今回はこれらと近年の車両動向から2023年3月実施予定のJR北海道ダイヤ改正について予測していく。
1. 特急「オホーツク」、キハ283系で運転へ!
今回の2023年3月実施予定のJR北海道ダイヤ改正では、石北本線特急「オホーツク」「大雪」で車両の置き換えを行う。
特急「オホーツク」は札幌~旭川~網走間を約5時間30分かけて結ぶ特急列車であるが、その所要時間の長さゆえ丘珠・新千歳~女満別間のJALやANAの航空便に多くの需要が流れており、車両もJR北海道の所有する車両の中で最古参級の車両を常に使用し、老朽化したら置置き換えられるうちで最も古い型を積極的に投入してきた。
これにより石北本線特急「オホーツク」用車両はキハ183系初期型車を晩年まで使用したほか、老朽化した後は室蘭本線特急「北斗」用に1990年頃に投入したキハ183系で置き換えた。つまり特急「オホーツク」はJR北海道が発足した1987年からの30年間、キハ183系でしか運行がなかった(というか冬季車両不足の場合はキハ183系から改造したノースレインボーエクスプレスなどの各種観光列車で代走したほか、それでも足りない場合は特急の運転を取りやめキハ40系やキハ54形の快速列車で代走した)。
少し風向きが変わったのは2020年。キハ261系5000番台はまなす編成投入により、時よりキハ261系が石北本線特急「オホーツク」に代走ではなく運用変更として一時的に投入されるようになった。この際は時期に分けて室蘭本線特急「北斗」や宗谷本線特急「宗谷」「サロベツ」などでも運用しており、あくまでキハ261系5000番台はまなす編成を全道で走らせるアピールとなっていた。
そしてキハ183系が老朽化したことから、特急「オホーツク」の車両置き換えを行うこととなった。この置き換え用車両として前回2022年3月12日JR北海道ダイヤ改正で運用を離れた特急「おおぞら」用キハ283系を使用することとした。これにより今回の2023年3月ダイヤ改正で特急「オホーツク」をキハ183系からキハ283系(旧「スーパーおおぞら」型車両)に置き換えることとした。
特急「オホーツク」がキハ183系からキハ283系に置き換わることで、函館本線内札幌〜旭川間の最高速度を110km/hから120km/hに引き上げる可能性が高い。JR北海道では2020年3月14日より営業運転を開始している新型車両H100形おいて積極的に所要時間短縮を図っていることからも可能性は十分考えられるだろう。もし引き上げれば特急「宗谷」と同等の所要時間にまで短縮できるため、所要時間を5分程度短縮できそうだ。
なおキハ283系は車体傾斜のための振り子装置を搭載しているため、整備に時間がかかる。このため車両寿命が国鉄型特急車両より10年程度短くなっている。にもかかわらず特急「オホーツク」「大雪」に汎用特急型車両のキハ261系ではなくキハ283系を投入したのは、キハ261系の新規投入よりも安上がりなためだろう。
というのも、2031年3月に北海道新幹線が札幌まで延伸した際に、特急「北斗」の運転区間が函館~札幌間から長万部~札幌間に短縮するのは間違いないし、多客期に最大10両での運転を行ているが函館~札幌間の都市間輸送を北海道新幹線が担うことになり特急「北斗」利用者は苫小牧や室蘭などに限られること、電車特急「すずらん」が通年5両編成であることを考えると、多客期増結も6両程度もあれば十分運べてしまう。
そう考えると北海道新幹線札幌延伸時に特急「北斗」用キハ261系に余剰車が30両~40両程度出る見込みだ。しかも特急「北斗」い投入したキハ261系は2016年~2022年にかけて投入していることから、北海道新幹線札幌延伸時の時点でも製造から長くても15年程度しか経過していない。
その際に1997年より営業運転を開始したキハ283系や1999年に宗谷本線特急「スーパー宗谷」向け車両として投入したキハ261系や1997年より投入したキハ283系を、を特急「北斗」にて余剰となったキハ261系で置き換えることができるのではないだろうか。
またキハ281系が2022年9月30日に定期運行を終了したことから、今回のダイヤ改正で特急「オホーツク」に投入するキハ283系はJR北海道の特急型車両で最古参の車両となる。そう考えるとそもそも特急「オホーツク」に投入する車両はJR北海道の特急型最古参車両であることに変わりないし、石北本線特急「オホーツク」「大雪」へのキハ283系投入は、北海道新幹線札幌延伸による特急再編までのつなぎだろう。
2. H100形4両を観光列車改造へ!
今回の2023年3月実施予定のJR北海道ダイヤ改正までに、H100形4両を観光列車に改造する。
今回投入するのは釧網本線、花咲線、石北本線、富良野線の4種類となっている。
立ち位置はキハ261系のはまなす編成やラベンダー編成というより、通常時より定期列車にも使用するキハ40系列森の恵みシリーズだろう。このキハ40系列森の恵みシリーズが4種類各1両計4両であることを考えると、キハ40系列の置き換え目的で投入したH100形が森の恵みシリーズまたはそのマイナーチェンジ版として引き継ぐのだろう。
が、このほかにH100形を8両新製投入することを考えると、わざわざ改造するより新製時より観光列車として投入した方が良さそうな気はするが。実際キハ261系のはまなす編成やラベンダー編成ではそうしているわけだし。
なお2023年度にはさらに4両のH100形を観光列車改造し、室蘭本線、日高本線、根室本線、宗谷本線向けの4種類を投入するとしている。
このほかJR北海道では、留萌本線石狩沼田~留萌間を2023年3月31日をもって廃止とするほか、日高本線浜田浦駅を2023年3月31日の営業をもって廃止するとしている。
3. 結び
今回の2023年3月実施予定のJR北海道ダイヤ改正では、キハ183系及びキハ281系の定期運用を取りやめる可能性が高いほか、JR北海道管内で電車でもワンマン運転を行う見込みだ。
今後JR北海道でどのようなダイヤ改正を行うのか、見守ってゆきたい。
コメント
> 函館本線内札幌〜旭川間の最高速度を110km/hから120km/hに引き上げる可能性が高い。
…無茶言わないで下さい。キハ283は石勝線脱線火災事故のA級戦犯です。
現状でも、車両としての最高速度110km/h制限、さらには車体傾斜撤去、安全対策に振る魔改造…どうあがいても120km/h運行は不可能です。
理想を言っていいなら、石勝線脱線火災事故以降もほとんど事故を起こしていないキハ261について、車体傾斜復活と最高速度130km/h化の方が現実的です。エンジン出力も大きく、道床が比較的脆弱な急坂でも登坂性能に貢献出来る事が期待されます。
それでもキハ283を充当するのは、単に、予算が限られる中でのギリギリの選択だったように思います。
速度が遅くてもいいなら、いっそH100の特急化改造という手もあります。