19年ぶりの白いみどり復活でスピードアップ! JR九州長崎本線・佐世保線特急みどり・ハウステンボス・かささぎダイヤ改正(2022年9月23日)

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19年ぶりの白いみどり復活でスピードアップ! JR九州長崎本線・佐世保線特急みどり・ハウステンボス・かささぎダイヤ改正(2022年9月23日)

JR九州は2022年6月10日、プレスリリースにて9月23日にダイヤ改正を行うと公表した( 西九州新幹線が開業します 在来線各線区でダイヤを見直します 長崎支社版 )。またJR九州は2022年6月10日、プレスリリースにて9月23日に開業する西九州新幹線の時刻表を公表した( 西九州新幹線・特急列車時刻表 )。今回はこれらから、佐世保線特急「みどり」「ハウステンボス」および長崎本線特急「かささぎ」について見ていく。

同日実施の2022年9月23日西九州新幹線・特急リレーかもめダイヤ改正はこちら!

1. 西九州新幹線開業で特急「みどり」の車両運用も大変化!

今回の2022年9月23日JR九州ダイヤ改正では、西九州新幹線開業に伴い特急列車が再編することから、佐世保線特急「みどり」でも大きく変化する。

そもそも今回のダイヤ改正で西九州新幹線は武雄温泉~長崎間で開業するが、武雄温泉はダイヤ改正前より佐世保線特急「みどり」の停車駅である。このため西九州新幹線アクセス列車として博多~武雄温泉間で在来線特急「リレーかもめ」を運転することになったのだが、既に同区間には佐世保線特急「みどり」が運転していることから、特急「みどり」16往復中5往復を西九州新幹線と接続させ特急「みどり(リレーかもめ)」として運転することとなった。

これに合わせ車両運用も変更する。2022年6月現在佐世保線特急「みどり」は特急「ハウステンボス」連結の合わせて783系8両編成で運転する列車が5往復、一応特急「ハウステンボス」と連結するものの運休日には783系4両単独運転となる3往復、博多~佐世保間通しで783系8両編成で運転する4往復、おそらく特急「かもめ」の間合いだった787系7両編成2往復および787系6両編成1往復、多客期でない限り毎日が783系4両単独運転の1往復となっている。

今回のダイヤ改正では西九州新幹線開業に伴い在来線特急「かもめ」を特急「リレーかもめ」に置き換えることから運用を削減する。これに乗じて特急「かもめ」で使用していた885系(「白いかもめ」型車両)を特急「リレーかもめ」のみならず佐世保線特急「みどり」でも使用することとなった。

これにより特急「みどり」は1日16往復運転で変わりないものの、5往復を885系6両編成、残る11往復を既存の783系8両編成(「ハウステンボス」併結含む)で運転することになった。したがって今回のダイヤ改正で「白いみどり」が復活する




2. 白い「みどり」、復活でスピードアップ!

では885系による特急「みどり」は過去に設定したことはあるのだろうか。

885系による特急「みどり」は、過去に2002年10月21日~2003年3月14日まで毎日運転の臨時列車扱いで佐世保発博多行き一番列車「みどり101号」および博多発佐世保行き最終列車「みどり104号」にて設定があった。が、両列車を定期化した2003年3月15日ダイヤ改正で他の「みどり」同様783系による運転に変更し、885系「白いみどり」は約5か月で消滅してしまった。

つまり今回の885系運転の特急「みどり」設定は約19年6か月ぶりの復活となる

そもそも787系や783系は最大8両編成で運転するのに対し6両固定編成でしか運転できない885系のメリットは、振り子式車体傾斜装置を搭載しているためカーブでの減速を抑えられ、所要時間短縮が図れることである。このため885系はカーブの多い長崎本線特急「かもめ」や日豊本線特急「ソニック」に投入していた。

その後2002年~2003年には先述したように特急「みどり」1往復にも運用するようになったが、次のダイヤ改正で車体傾斜装置のない783系運用に戻すことも見越してか1分程度しか所要時間を短縮させなかった。




しかし今回のダイヤ改正では885系の車体傾斜装置を佐世保線内でも発揮する。これにより特急「みどり」は博多~佐世保間を最速1時間43分から1時間34分に9分短縮する

これにより博多から佐世保への最終は博多22時34分発「みどり31号」の佐世保24時18分着から博多22時35分発「みどり67号」の佐世保24時09分着に所要時間を10分短縮する。これにより武雄温泉、有田、早岐、佐世保の各駅で駅営業時間を短縮でき人件費を節減できる。なお佐賀から佐世保への最終は23時13分発から23時11分発に2分繰り上がる。

また初列車も佐世保6時21分発特急「みどり2号」博多行き(博多8時15分着)から佐世保6時07分発特急「みどり2号」博多行き(博多7時58分着)に繰り上がり、所要時間も3分短縮する。これにより新鳥栖で5分乗り換えで九州新幹線「つばめ311号」鹿児島中央行きに連絡できるようになるほか、終点博多で8時15分発山陽新幹線「のぞみ12号」東京行きに連絡できるようになることから、新大阪着時刻が11時07分から10時43分に24分繰り上がる。佐世保は長崎空港まで遠く道路渋滞にはまると路線バスでも1時間以上かかることから、この所要時間短縮効果は大きい。




3. 複線区間拡大と最高速度引き上げで所要時間短縮へ!

今回の2022年9月23日JR九州ダイヤ改正では、佐世保線で行った設備増強を時刻に反映し、所要時間を短縮する。

全線単線だった佐世保線では2022年2月27日に大町~高橋間を複線化した。これは本来は西九州新幹線直通のフリーゲージトレインの運行円滑化が目的だったが、フリーゲージトレインが事実上計画凍結となった後でも2022年9月23日開業の西九州新幹線開業に伴い列車本数が増えることから走行中に行き違いを行えるようにすることで所要時間短縮が図れることから、予定通り複線化したものである。

また佐世保線は全線で最高速度が95km/hであるが、今回のダイヤ改正に合わせ、特急「リレーつばめ」も走行する江北(肥前山口)~武雄温泉間の最高速度を130km/に引き上げることとした。これにより江北(肥前山口)~武雄温泉間の特急列車の所要時間は既存の783系でも15~16分程度から10~11分程度に5分程度短縮している

これらの複線化と高速化も相まって、博多~佐世保間の特急「みどり」の平均所要時間は1時間54分から1時間52分に2分短縮することとなった。先述した885系「白いみどり」の所要時間短縮9分のうち、車体傾斜に関するものは4分だけで残り5分は江北(肥前山口)~武雄温泉間の部分複線化と最高速度引き上げによるものだろう。

今回の885系運用開始と車体傾斜装置の佐世保線内での使用開始と複線拡大と最高速度引き上げに合わせ所要時間を大きく短縮した特急「みどり」であるが、長崎新聞によると武雄温泉~佐世保間の所要時間は平均で2分延びたとしている。が、そもそも特急「みどり」は博多~佐世保間通しや利用の多い博多~佐賀間で所要時間を短縮することで効果を最大限に発揮できるのであって利用の少ない武雄温泉~佐世保間という枝葉だけ所要時間が延びていても大きな問題ではない。

強いて言えば今後西九州新幹線が博多までつながった際に佐世保方面へは武雄温泉~佐世保間のリレー特急を設定すると考えているのかもしれないが、783系でも40~45分程度で到達できてしまうこと、路線配置的にほぼ末端区間であること、そもそも今回の最高速度引き上げ区間から漏れていることから、特急ではなくリレー快速での運転となる公算が強い。

そもそも西九州新幹線が博多まで開通するかあやしいところではあるが、もし全通した暁には特急「みどり」は線区間廃止で、武雄温泉~佐世保間は料金不要のリレー快速で救済するのだろう。




4. 特急「ハウステンボス」、早岐での増解結維持へ!

今回の2022年9月23日JR九州ダイヤ改正では、特急「ハウステンボス」の佐世保線特急「みどり」への併結を維持する。

したがって特急「ハウステンボス」は引き続き783系での運転となるほか、特急「ハウステンボス」のうち毎日運転列車は1日5往復のまま変わらない。

ただし佐世保線特急「みどり」が「ハウステンボス」編成含め783系は終日8両運転となる。このため特急「ハウステンボス」のうち土休日を中心に運転する3往復は原則「みどり」8両中4両を行先・列車名変更して対応する見込みだ。




5. 特急「かささぎ」新設へ!

今回の2022年9月23日JR九州ダイヤ改正では、長崎本線に新たなる特急列車特急「かささぎ」を設定する。

特急「かささぎ」は今回のダイヤ改正にて新設する特急列車で、鹿児島本線博多~長崎本線佐賀・肥前鹿島間を結ぶ特急列車となっている。

ただ、この経路は全区間においてダイヤ改正前の在来線特急「かもめ」と重複している。つまり特急「かささぎ」は西九州新幹線開業前の長崎本線特急「かもめ」の運転区間の中で長崎県内に乗り入れない列車を分離するものと言った方が良いのだろう。

これもあって、特急「かささぎ」に使用する車両は783系8両編成(「みどり」型車両)、787系8両編成(「リレーかもめ」型車両)、787系6両編成、885系6両編成(「白いかもめ」改め「白いみどり」型車両)での運転と、寄せ集め状態となっている。

もうやっていることが885系(「白いかささぎ」型車両)と2011年3月12日の九州新幹線開業以降は汎用特急型車両と化した2車種を使用しているに過ぎないと言われればそれまでだが、そもそも特急「かささぎ」の前身である佐賀始発終着「かもめ」が寄せ集め車両で運転していることから、致し方ない。

ただ、ダイヤ改正前は博多~佐賀間の特急「かもめ」は5本、肥前鹿島→佐賀→博多間に1本の朝と深夜の合計6本しか佐賀県内始発終着の「かもめ」の設定はないが、今回のダイヤ改正で設定する特急「かささぎ」は1日17本の運転となっている。これは、増発した11本中10本が長崎始発終着だった特急「かもめ」を短縮して運転するもので、特急「リレーかもめ」が長崎始発終着の特急「かもめ」と比べ10本少なくなってしまっているのもこのためである。しかも残る1本も平日のみ運転の佐賀7時37分発「かもめ104号」博多方面吉塚行き1本の全日運転化なだけなので(毎日運転化に合わせ肥前鹿島始発に延長している)、平日は増発すらしていない。

これにより朝の佐賀始発の特急「かもめ」博多方面列車が平日は3本から1本に、土休日は3本から2本に削減したことにより、特急列車を使っても佐賀から座って通勤できる保証がなくなってしまった。これは一種の指定席誘導が考えられ、通常期530円の座席指定料金を徴収したいのだろう。


6. 結び

今回の2022年9月23日西九州新幹線開業に伴うJR九州ダイヤ改正では、特急列車の運行再編に伴い長崎本線・佐世保線でも大きくダイヤ改正を行うこととなった。

今後JR九州でどのようなダイヤ改正を行うのか、見守ってゆきたい。

同日実施の2022年9月23日西九州新幹線・特急リレーかもめダイヤ改正はこちら!

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