大宮発着はやぶさ継続で仙台発着はやぶさ大量発生! 東北新幹線臨時列車運転(2017年10月~11月秋期間)

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JR東日本は8月24日、プレスリリースにて2017年秋の臨時列車を公表した( 秋の増発列車のお知らせ )。今回は東北新幹線「はやぶさ」の2017年秋の臨時列車運転について見ていく。

1. 大宮発着の「はやぶさ」は継続運行

前回2017年夏の臨時列車運転にて、海の日3連休と敬老の日3連休に突如現れた大宮発着の「はやぶさ」であるが、今回2017年秋の臨時列車運転でも体育の日3連休と文化の日3連休にも設定されることとなった。夏期間では海の日3連休の利用が芳しくなかったのか、京浜東北線や埼京線沿線の各駅(山手線より北のエリアのみ)では、敬老の日3連休に向けて大宮発着の「はやぶさ」を大々的に宣伝するポスターが貼られるほどであったが、東京駅の発着枠に限りがあり増発が難しい現状では、大宮発着の「はやぶさ」を運行せざるを得ないのであろう。

大宮発着の「はやぶさ」については、夏期間(7月~9月)と時刻が全く同一であり、停車駅も前回同様下り「はやぶさ」(大宮発新青森行き)は仙台、古川、一ノ関、北上、盛岡、八戸、新青森となり、上り「はやぶさ」(新青森発大宮行き)は八戸、盛岡、北上、古川、仙台、大宮となった。




2. 時刻表に載らない仙台発着の「はやぶさ」大量発生

今回秋の臨時列車運転で一際目を引くのが、東京~仙台間を走る臨時「はやぶさ」の大量発生だ。

東京~仙台間の「はやぶさ」と言えば、2011年3月5日の「はやぶさ」運行開始時から運行されている初終電定期「はやぶさ」と、2017年3月4日ダイヤ改正により昼間の僅少「はやぶさ」のうち東京~仙台間のみを定期化した合計2往復であり、東京~仙台間の「はやぶさ」はこれ以外には臨時列車を含めても運行されない。

しかし今回2017年秋の臨時列車運行では、これまでになかった東京~仙台間運行の臨時「はやぶさ」が大量発生することとなった。具体的には昼間に運行される下り(仙台方面)がはやぶさ55号と61号、上り(東京方面)が46号と56号で、この4列車はこれまでも僅少「はやぶさ」として新青森または盛岡発着でかねてより運行されてきた。しかし今回の臨時列車増発により前回2017年夏の臨時列車運転までにはなかった運行パターンとして仙台発着が増えた。しかも、新青森・盛岡発着を合わせると10月は各便平均約週6回運行、11月は各便ほぼ毎日運行で、乗車チャンスが6倍~7倍程度上がる見込みだ。お陰様で臨時列車の運転本数は北陸新幹線はほぼ据え置き、上越新幹線も1%増にとどまったにもかかわらず、東北新幹線は73%増という大増発となっている。

実はこの仙台発着「はやぶさ」、2017年夏の臨時列車運転まで設定がなかったこともあり急遽設定されたようで、指定席連結列車のため1カ月前から掲載されるはずなのだが、原稿の締め切りに間に合わなかったのかJTB時刻表9月号やJR時刻表9月号に掲載がない。2往復の多頻度「はやぶさ」毎日運行となれば、山陽・九州新幹線の多頻度「みずほ」も同じく2往復。両方とも2017年から運行することとなり、各新幹線の需要が旺盛なのが伺える。

ではなぜ今回になって東京~仙台間の多頻度「はやぶさ」を設けることとなったのか。東北新幹線の東京~仙台間には「はやぶさ」の他に「はやて」「やまびこ」が運行されている。「はやて」は山陽新幹線でいう「ひかりレールスター」並みのレア列車であるが、「やまびこ」は東京~仙台間を運行する列車の中で1番運行本数が多い。また一口に「やまびこ」といっても、盛岡発着「やまびこ」、山形新幹線「つばさ」と併結する「やまびこ」、「なすの」を仙台まで足を延ばしたかつての「あおば」のような「やまびこ」と大別される。特に多くの「やまびこ」通過駅を補完する「なすの」型「やまびこ」と、「つばさ」用E3系の利用を分散させるために福島まで併結する「やまびこ」は、超繁忙期こそニーズが高いがそれ以外は専ら空気輸送であることが多い。JR東日本としてはせっかく列車を運行しているのであれば空席を極力埋めたいわけで、東京~仙台間の利用であれば「はやぶさ」「はやて」ではなく「やまびこ」を利用してもらう方針でいた。それゆえインターネット予約割引乗車券のえきねっとトクだ値も東京~仙台利用では仙台発着「やまびこ」しか設定を設けていない。

しかし今回2017年秋の臨時列車運行より東京~仙台間「はやぶさ」を増発したのはなぜだろうか。その理由として2つほど考えられる。1つは「やまびこ」より「はやぶさ」の方が客単価が上がる点。東京~仙台間で指定席でも310円加算してとれる他、「はやぶさ」には自由席がないため満席にでもならない限り指定席券が必要なため、自由席利用と比較するとさらに320円~720円とることができる。「やまびこ」と比べて28分程度早い1時間30分台で結べるのであるから、それ相応の対価をとるのは必然であろう。

またもう1つ考えられるのが、盛岡発着「やまびこ」の混雑緩和ではないだろうか。盛岡発着「やまびこ」は仙台発着「やまびこ」と比べて利用率が高く、先述したインターネット予約割引乗車券のえきねっとトクだ値の設定も東京~仙台間では盛岡発着「やまびこ」には設定されていない。対盛岡輸送では「はやぶさ」にかなわないが、多くの「はやぶさ」が通過する古川、一ノ関、北上をはじめとした各駅へのニーズは多く、10両編成では福島以南で満席になることも珍しくない。ノーズ長の関係で座席数が減ったE5系であればなおさらだ。ともなれば混雑を緩和させたいのは必然ではなかろうか。下り(仙台方面)の「はやぶさ」は東京駅を盛岡行き「やまびこ」(E5系)の8分後に出発し、仙台には20分早く着く。東北新幹線最大の輸送量を誇る対仙台輸送で増発し、旅客を「はやぶさ」に誘導できれば、客単価も上がり盛岡行き「やまびこ」の混雑緩和につなげることができる。上り(東京方面)に関しては、朝の1本は盛岡→仙台間各駅停車の定期「はやて」の直前を走ることから、この定期「はやて」の混雑緩和を目指すつもりなのであろう。




では盛岡発着「やまびこ」を夕方下りや朝上りのように仙台~盛岡間各駅停車「はやぶさ」と仙台発着「やまびこ」に分ければいいではないかと言われるかもしれないがそれも違う。先述した通り今回東京~仙台間で大量発生した多頻度「はやぶさ」は、もとは新青森または盛岡発着の僅少「はやぶさ」であり、これを日によって仙台~盛岡間各駅停車の「はやぶさ」、盛岡まで仙台のみ停車の「はやぶさ」と分けてしまうと仙台~盛岡間の各駅で昼間の列車が臨時列車だらけになってしまう。シーズンダイヤとして超繁忙期専用のダイヤを作れればいいのかもしれないが、古川~新花巻間の各駅の利便性を損なうのは間違いなく、新幹線駅から出るバスの時刻もシーズンによって変更しなくてはならないなど並々ならぬ手間と沿線住民の協力が必要であり現実的ではない。ともなれば今回のように僅少「はやぶさ」スジを利用して東京~仙台間で多頻度「はやぶさ」を運行するほかないのであろう。


3. 結び

今回2017年秋の臨時列車運転では、前回夏の臨時列車運転で史上初めて設定された大宮発着「はやぶさ」の運行継続が決まったほか、新たに東京~仙台間ほぼ毎日運転の「はやぶさ」も2往復運転されるなど、2017年3月4日ダイヤ改正にも増して大幅に運行本数を増やしている。

今後JR東日本では東北新幹線向けの新型車両を製作するべく、2019年春に向けて高速試験車ALFA-Xを製造するとしているが、試験最高速度は400km/hにとどめることからこれまでの各社新聞記事などから類推するに360km/hでの運行がせいぜいになるのではないかと思われる。現在、盛岡以北の北海道新幹線を含めた整備新幹線区間での最高速度引き上げも検討され始めており、所要時間短縮効果は大きいと思われるが、世界と比較するとフランスや韓国などでは400km/hによる営業を目指しているほか、中国ではそれに先駆けて2017年9月21日ダイヤ改正より新型車両の投入により京沪高速鉄路の最高速度を300km/hから350km/hに引き上げて鉄輪式高速鉄道の営業最高速度単独トップを再び手にした。360km/hへの引き上げも時間の問題と思われ、東北新幹線にALFA-Xの成果による新型車両を導入する頃には360km/hでの運行をしたとしても世界最高速度の座を手にすることはできないであろう。今後の東北新幹線の臨時列車運行に注目しながら、世界の高速鉄道情勢についても見守ってゆきたい。

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