東京メトロは2022年7月7日、プレスリリースにて2022年8月27日に全線でダイヤ改正を行うと公表した( 銀座線、丸ノ内線、東西線、千代田線 2022年8月ダイヤ改正のお知らせ )。今回はこれについて見ていく。
1. 銀座線、昼間にさらに減便で5分間隔化へ
今回の2022年8月27日東京メトロダイヤ改正では、2022年3月12日東京メトロダイヤ改正以来約5か月半ぶりに東京メトロ銀座線・丸ノ内線・東西線・千代田線ダイヤ改正でダイヤ改正を行う。
もっとも他社と直通運転を行わない地下鉄銀座線や地下鉄丸ノ内線では3月の全国一斉ダイヤ改正と合わせずに独自日程で行うことが多いが、今回のダイヤ改正ではJR東日本と直通運転を行う地下鉄東西線や地下鉄千代田線でもダイヤ改正を行うこととなった。
まずは地下鉄銀座線。平日朝ラッシュ時は2分間隔(毎時30本)から約2分20秒間隔(毎時26本)に減便し、輸送力が13.3%減少する。
これにより銀座線は36運用から31運用に5運用削減する見込みだ。おいおい、銀座線ではホームドア設置による停車時間増加による全線所要時間増加に伴い1000系を2本追加投入し40本体制としていたが、これでは予備車が9本もあるではないか。
また地下鉄銀座線では昼間は約3分20秒間隔(毎時18本)から約5分間隔(毎時12本)に減便し、輸送力を33.3%も削減する。これにより銀座線から半蔵門線までの7路線が昼間5分間隔(毎時12本)に統一することになった、のだがそれは違うだろう東京メトロ。
そもそも地下鉄銀座線では前回の2022年3月12日東京メトロダイヤ改正で昼間を3分間隔(毎時20本)から3分20秒間隔(毎時18本)に減便し、70年以上維持してきた昼間3分間隔運転の伝統をついこの前に破ったばかりである。3分間隔から5分間隔に減便するなんて長崎電気軌道1号線と同様ではないか。3分間隔で待たずに乗れる銀座線が5分間隔になるなんて信じられない。
なお平日夕ラッシュ時は約2分13秒間隔(毎時27本)から約2分24秒間隔(毎時25本)に減便し、輸送力が7.4%減少する。これにより昼夕輸送力比(日本の基準で適正値60〜78%/推奨値66%~75%)は66.7%から48.0%に大きく下がることとなった。なお平日19時台は3分間隔運転を維持することとなった。
地下鉄銀座線では2012年~2017年にかけて新型車両1000系に全て置き換えて、2020年1月3日の渋谷駅移設を以て全駅にホームドアを設置したのだから先にワンマン運転を開始しないのか東京メトロ。
しかも悪質なのが、このプレスリリース公表を7月7日の七夕に行ったことである。おいおい、どんなに願いを潰す気なんだ東京メトロ。なんだかもう銀座線であって銀座線ではなくなってしまうようだ。
(2023.3.29 追記)銀座線、昼間5分間隔で混雑しすぎなのだが。丸ノ内線の昼間5分間隔はまだわかるが、銀座線は昼間3分間隔にまで戻す必要はないが、せめて昼間4分間隔に戻す必要はあるだろう。
2. 丸ノ内線、3両廃止で6両に統一と日本最短1分50秒間隔運転中止へ
今回の2022年8月27日東京メトロダイヤ改正では、地下鉄丸ノ内線でもダイヤ改正を行う。
まずは平日朝ラッシュ時。池袋→新宿間では日本最短の1分55秒間隔運転を行い毎時31本で運転していたが、今回のダイヤ改正で約2分10秒間隔(毎時28本)にまで減便することとなった。この減便により6両編成を3運用、分岐線折返し運用を1運用削減する見込みだ。
そもそも地下鉄丸ノ内線の平日朝ラッシュ時1分50秒間隔運転は複線では日本どころかアジア最短運転間隔であったが、2018年12月に上海地下鉄9号線で、その後2019年には上海地下鉄10号線で平日朝ラッシュ時に1分50秒間隔運転を実施したことに伴い、世界同率タイにとなっている。そんな1分50秒間隔運転を地下鉄丸ノ内線は手放すこととしたのである。
また昼間は新宿~中野坂上間では昼間毎時13本から毎時12本に、中野坂上~荻窪間では昼間毎時11本から毎時10本に減便する。ただ、そもそも新宿~中野坂上間は2019年7月5日東京メトロ丸ノ内線ダイヤ改正まで昼間は平均5分間隔(毎時12本)の運転だったし、新宿~中野坂上~荻窪間は2015年12月19日東京メトロ丸ノ内線ダイヤ改正まで昼間は平均6分間隔(毎時10本)の運転だったことを考えると、3~7年前の水準に戻っただけである。
そして平日夕ラッシュ時は2分24秒間隔(毎時25本)から2分30秒間隔(毎時24本)に減便し輸送力を4.0%減少することとなった。これにより池袋~新宿間の昼夕輸送力比(日本の基準で適正値60〜78%/推奨値66%~75%)は52.0%から50.0%に変化した。なお方南町行きは4本に1本のまま変わりない。
このほか2013年11月1日東京メトロ丸ノ内線ダイヤ改正より実施していた土休日朝の4分間隔(毎時15本運転)を5分間隔(毎時12本)運転に戻す。そもそもこの2013年の土休日朝の増発は土曜日の通勤客利用者のために行っていたものであったが(よって日曜祝日は空席が増えただけであった)2013年11月1日ダイヤ改正前よりすでに新宿折り返しがなく池袋~荻窪間の通しの運転であったが、今回のダイヤ改正では2013年11月1日以前の5分間隔に戻すとはいえ昼間同様中野富士見町・方南町方面への直通を毎時3本から毎時2本に減らして継続するため、中野坂上~荻窪間は毎時12本から毎時10本に減便することとなった。
また今回のダイヤ改正では全ての方南町分岐線3両編成を6両編成に増車する。これにより02系3両編成全4本を廃車する見込みだ。
そもそも分岐線中野坂上~方南町間折返し運用は4運用あるが、2019年7月5日東京メトロ丸ノ内線ダイヤ改正で方南町駅が6両対応したことにより分岐線折返し運用は3両編成のみならず6両編成でも運用可能となった。このことからその後2021年3月13日東京メトロ丸ノ内線ダイヤ改正にて3両編成4運用のうち1運用を6両編成に置き換えた。この方南町駅ホーム延長により分岐線折返し運用の予備車共通化もできたことから2021年に3両編成を6本から4本に削減、2本を廃車にしていた。
今回のダイヤ改正では平日朝ラッシュ時に減便した6両編成を方南町分岐線運用に回ることで運用の合理化を図ることとした。
このほか6両編成は3両運用のうち2運用を受け持つ一方で池袋~荻窪間で3運用を削減する見込みであることから、49運用から48運用に削減する見込みだ。
東京メトロでは2019年より丸ノ内線用新型車両として6両編成の2000系を投入し既存の02系を順次置き換えているが、今回のダイヤ改正で減便し1運用削減する見込みであることから、現在投入中の2000系も1本削減できる。
しかも新型車両2000系は世界的な半導体不足で投入が遅れている。これを考えると投入本数を削減することで地球資源を有効に活用できるだろう、いやむしろ予備車が9本もある銀座線用1000系から部品の供与を受けてもおかしくはない。
中野坂上~方南町間では3両編成はいしによる全列車6両編成化を図る一方で、平日朝夕に大幅な減便を図る。昼間は前回の2022年3月12日ダイヤ改正以降毎時7本に減便したため、空車やが増えても維持することとした。が、前回のダイヤ改正で大幅な減便を免れた平日朝夕ラッシュ時に大規模な減便を図ることとなった。
もっともほとんどの時間帯で毎時7本以上の運転は確保されるし、増車による輸送力調整と思えば致し方なかろう。
3. 東西線・千代田線でも平日朝オフピークに減便へ
今回の2022年8月27日東京メトロダイヤ改正では、他社直通を行う地下鉄東西線・地下鉄千代田線でもダイヤ改正も行う。
浦安6時57分発各駅停車中野行きを廃止するのと合わせ、地下鉄東西線で平日朝オフピークに2往復、地下鉄千代田線でもオフピークに2往復(うち1本は北綾瀬始発)を減便する。
これにより東西線で1運用、千代田線で2運用削減する見込みだ。
なお直通運転を行うJR東日本中央総武各駅停車や常磐線各駅停車、東葉高速鉄道や小田急電鉄ではダイヤ改正の予定はない。
なお、北綾瀬~綾瀬間の区間運転列車の3両編成は今回のダイヤ改正以降も残る。
ただ、両線とも平日朝オフピーク時の線内完結運用のみの減便となっているほか、残る他社直通を行う5路線ではダイヤ改正を行っていない。これは他社との調整を図る必要があるため東京メトロ単独でダイヤ改正することができないためである。このうち地下鉄有楽町線では2022年8月6日より全線でワンマン運転を開始し、人件費の削減にいそしんでいるようだ。
ただ直通する東急電鉄では2023年3月ダイヤ改正で東急新横浜線に開業を控えており、東京メトロ南北線や副都心線からの直通する可能性が極めて高いほか、運用を共通化している有楽町線でも大規模なダイヤ改正を行う可能性がある。そう考えると他社直通を行っている7路線では2023年3月ダイヤ改正にて終日に渡る大幅な減便を行ってもおかしくはないのではないだろうか。
4. 結び
今回の2022年8月27日東京メトロダイヤ改正では、地下鉄銀座線と地下鉄丸ノ内線で昼間を5分間隔(毎時12本)にまで大減便を図ることとなったほか、平日朝夕ラッシュ時を含め終日に渡り全面的にダイヤ改正を行うことで3両編成運用が消滅する。
また他社直通運転を行う地下鉄東西線・地下鉄千代田線でもオフピークに減便を図ることとなった。
今後2023年3月にも全国一斉ダイヤ改正を控える中、他社直通を行う7路線で今後のどのようなダイヤ改正をこなうのか、見守ってゆきたい。
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