JR北海道は2022年7月13日、プレスリリースにて2022年10月にキハ281系を引退すると公表した( キハ281系車両ラストラン )。今回はこれについてみていく。
2022年11月のキハ183系ノースレインボーエクスプレス車両の臨時特急についてはこちら!
1. キハ261系投入完了へ!
今回の2022年10月1日のJR北海道運用変更では、キハ261系を室蘭本線特急「北斗」にさらに投入する。
今回の投入でJR北海道が予定していたキハ261系の投入が完了し、全ての函館~札幌間特急「北斗」をキハ261系運転とする。
JR北海道では老朽化した気動車車両の置き換えを実施しており、特急型気動車は順次汎用特急型車両キハ261系に追い替えている。函館~札幌間運転の特急「北斗」では2016年3月26日の北海道新幹線開業い伴うダイヤ改正で新幹線連絡特急として特急「北斗」3往復を増発するためにキハ261系を投入したのを皮切りに、概ね2~3年おきに順次投入しキハ183系やキハ281系を置き換えてきた。今回の運用変更では特急「北斗」の全列車を運用できるキハ261系を確保できることとなったことから、キハ281系の定期運用を廃止することとなった。
ただ投入が完了するため全ての道内気動車特急がキハ261系による運転になるかと思いきや、キハ281系より古いキハ183系が石北本線特急「オホーツク」「大雪」に未だに運転がある。つまりキハ281系はキハ183系より短命で終わることとなったのだ。
これにより五稜郭車両所は配置する車両がなくなることから、廃止する見込みだ。
2. キハ281系による「スーパー北斗」復活へ!
今回の2022年10月1日JR北海道運用変更では、特急「北斗」を全て汎用特急車両キハ261系による運転とする。
そもそもなぜ特急「北斗」にキハ281系がいたかというと、函館~札幌間の特急「北斗」はJR北海道のフラッグシップ列車で、長距離故に所要時間の短縮を試みられた。もっとも既存のキハ183系も最高速度110km/hから120km/hに引き上げた新造車を投入したが、さらに早く到達できる車両として設計したのが振り子式車体傾斜装置付きで130km/h運転に対応したキハ281系であった。
この新型車両キハ281系による特急列車は特急「スーパー北斗」と名付けられ1994年3月1日から運転を開始したほか、最盛期には11往復中8往復をキハ281系で運転した。
もっとも1994年3月1日に長万部~札幌間の経路特定区間が廃止となり、運賃や料金を最短経路の山線(倶知安経由)から走行経路の海線(東室蘭経由)で運転することとなったため、運賃・料金の値上げを行っている(函館~札幌間で運賃算定用営業キロが286.3kmから318.7kmに延長)。が、既存の特急「北斗」が3時間40分程度で結んでいた函館~札幌間を、キハ281系特急「スーパー北斗」は概ね3時間20分程度で、最速で2時間59分で結ぶこととなったのである。
そんな道内特急のフラッグシップ列車だった特急「北斗」および「スーパー北斗」が今回の運用変更でに統一することになった。
ただ、これだけでは終わらないのがJR北海道。今回の運用変更意地をはるかのように2022年10月22日・10月23日に途中東室蘭にしか停車しない特急「スーパー北斗」を試作車も含め8両編成で運転することとしたのである!
今回設定するのは、函館8時35分発特急「スーパー北斗」札幌行きおよび札幌12時38分発特急「スーパー北斗」函館行きのとなっており、1日で1往復を運転する。途中停車駅は東室蘭のみであり、北海道新幹線の停車する新函館北斗は通過する。全車指定席での運転となる。
ただ所要時間は函館発札幌行きは3時間41分、札幌発函館行きは3時間59分となっている。おいおい、これでは汎用特急型車両キハ261系特急「北斗」とほぼ同じ所要時間だし、最盛期と比べたら1時間も遅いではないか。
これは、臨時列車を増発する枠を予め設けておらず隙間を縫って運転するからだけが理由ではない。確かに1994年当初キハ281系は130km/h運転を開始し車体傾斜装置使用に伴いカーブの減速を抑えて高速化した。が、2010年代にJR北海道の特急列車で様々なトラブルが発生したため、結果的に車体傾斜装置は停止、最高速度も120km/hに引き下げることとしたのだ。
これにより2013年11月1日JR北海道ダイヤ改正から特急「スーパー北斗」の最速所要時間が3時間00分から3時間26分に大きく所要時間を延ばし、平均到達時間も3時間30分に延ばすこととなった。
さらに、2016年3月26日JR北海道ダイヤ改正で北海道新幹線が開業したことに伴い、北海道新幹線新函館北斗駅に特急「スーパー北斗」「北斗」全列車が停車することとなった。これにより停車時間の確保が必要になったほか、藤城線経由での運転ができなくなったため所要時間が延び、3時間40分~4時間程度の運転にまで伸びてしまった。
まあ車体傾斜装置と高い最高速度という2つのウリを奪われてしまったキハ281系が、その車両性能を存分に発揮できるはずもない。このためメンテナンスが少なくて済む汎用特急型車両キハ261系への置き換えが決まったし、今回の臨時特急「スーパー北斗」もほかの特急「北斗」と変わらない3時間40分超での運転となったのである。
もっとも130km/h運転や振り子機能の作動はしないが、極力特急「スーパー北斗」らしさを演出すべく、途中は東室蘭のみ停車、試作車のキハ281-901を連結した8両編成での運転としているのだろう。
ただ、2031年には北海道新幹線が札幌まで延伸する見込みだ。もし北海道新幹線が開業すれば、予定通り320km/h運転を行う場合新函館北斗~札幌間を最速で59分で結ぶ見込みだ。もっとも最速列車は新函館北斗~札幌間ノンストップだろうが、もし各駅に停車するとしても1時間20分程度で到達できる。また函館駅から快速はこだてライナーで連絡しても、1時間20分~1時間50分程度で到達することが可能だ。そうなると2022年現在の特急「北斗」の3時間40分運転はおろか、キハ261系による特急「スーパー北斗」よりも1時間以上速く到達することができるようになる。
そう考えると、速達性を求めるのは9年後にできる北海道新幹線に任せればよいのであって、在来線特急「北斗」は極力メンテナンスを削減し今後は最小限の投資とするのは致し方なかろう。
3. 結び
今回の2022年10月1日のJR北海道運用変更では、特急「北斗」から振り子式車体傾斜装置を搭載したキハ281系を撤退させ、全列車を汎用特急車両キハ261系で運転することとなった。
2031年には北海道新幹線札幌延伸することで函館~札幌間の輸送は特急「北斗」から北海道新幹線「はやぶさ」にとって代わられる見込みだが、JR北海道でどのような車両繰りを行うのか、見守ってゆきたい。
コメント