JR北海道は2023年4月13日、プレスリリースにて2023年4月14日にダイヤ改正を行うと公表した( 5月20日(土)新型737系電車を室蘭線に投入します )。今回はこれについて見ていく。
1. 737系電車新登場で室蘭本線に投入でキハ143形置き換えへ!
今回の2023年5月20日JR北海道ダイヤ改正では、新型車両737系電車を投入する。
737系電車はJR北海道初のワンマン対応電車で、2両編成としている。JR北海道ではこれまで通勤電車は国鉄気動車寸法21.3m車の3両編成または3の倍数の6両編成のみを投入してきたが、今回の737系電車は利用の少ない区間での短編成かつワンマン対応電車として新たに設計した車両である。
この737系新型電車を室蘭本線に投入することにより、既存のキハ143形気動車をすべて運用から外し廃車することとしている。
ただ、キハ143形は2両編成5本しかないにもかかわらず、今回のダイヤ改正に向けJR北海道では室蘭本線用に737系2両編成を7本投入している。つまり2本多く投入している。
このため今回のダイヤ改正ではキハ143形運用3運用のほかに、H100形運用3運用を737系電車で置き換えることとなった。
これにより室蘭本線ではキハ143形気動車を廃車にするのみならず、H100形気動車運用も3両削減することになる。
なおキハ143形から737系の置き換えに際し、座席数は96席から93席にしか減らないとしている。H100形気動車が1両あたり36席しかなく、既存の期は40形の約66席より4割程度減っていることから、その配慮もあるのだろう。
2. 737系投入の室蘭本線で所要時間短縮へ!
今回の2023年5月20日JR北海道ダイヤ改正では、新型車両737系投入に合わせて所要時間を短縮する。
先述したように737系電車はキハ143形3運用とH100形3運用を置き換える。H100形気動車は2018年から投入した新型気動車なので性能が高いが、キハ143形は客車改造の気動車のため車体重量が重く加速が悪い。このため今回のダイヤ改正では737系導入に合わせ車両が高性能化することから、それに合わせた所要時間とする。
これにより苫小牧~東室蘭間で各列車3~17分所要時間を短縮し、平均所要時間を1時間10分から1時間01分に短縮する。特急「北斗」で35分~40分程度、特急「すずらん」なら40~45分程度かかる区間を各駅に停車する普通列車で平均1時間01分、最速55分で結ぶようになるともなれば、特急から普通列車に利用が移るだろう。
この所要時間短縮により設定時分が柔軟になることから、札幌・苫小牧方面特急北斗と東室蘭乗り換え東室蘭〜室蘭間普通列車の接続が1往復で大きく改善している。
また今回のダイヤ改正で室蘭から東室蘭スイッチバック伊達紋別・洞爺方面普通列車の直通列車が減少する。
さらに今回のダイヤ改正で萩野行きが消滅する。どうやら萩野駅を折り返し可能な2面3線から1面2線に縮小して維持管理を抑えるようだ。
3. H100形はどこに転属するのか
今回の2023年5月20日JR北海道ダイヤ改正では737系電車を投入しキハ143形4運用とH100形運用2運用を置き換えうこととなった。
キハ143形10両は廃車としても、2018年から投入している新型気動車H100形は廃車にするには早すぎる。このことからほかの線区への転属だろう。
苫小牧運転所の乗務範囲は室蘭本線のほか、日高本線や石勝線にも運用がある。室蘭本線岩見沢~苫小牧間と石勝線は合わせて7運用、日高本線は3運用がある。まず今回の削減分で日高本線の3運用をH100形3両で置き換えることは可能だ。
また苫小牧運転所にはH100形が18両配置しているが、2023年4月現在うち11両しか使用できず7両も予備車がある。この7両を使えば室蘭本線岩見沢~苫小牧間、石勝線の普通気動車7運用を置き換え可能だ。
そう考えると現在室蘭本線や日高本線で使用している苫小牧運転所の普通気動車のうち、老朽化しているキハ40系6両を廃車、車齢30年程度のキハ150形10両を旭川運転所などに転属させる気なのだろう。
もしキハ150形を旭川運転所に転属すればキハ150形全27両が旭川運転所に終結することになる。そうなれば旭川運転所のキハ40系を10両程度置き換えることができるだろう。
ただこのプレスリリースの時刻表を見る限り、室蘭本線岩見沢〜苫小牧間の普通列車は従来のキハ40系またはキハ150形で運転するようだ。そうなると日高本線や室蘭本線・石勝線普通列車のH100形への置き換えは必ずしも2023年5月20日に行われるとは限らない。また高性能化による所要時間短縮を図るとしてもおそらく2024年3月ダイヤ改正となるだろう。
また旭川運転所へのキハ150形10両の転属はほぼ2024年3月ダイヤ改正時で決まりだろう。宗谷本線普通列車はほとんどH100形運転だし富良野線も2023年3月18日JR北海道ダイヤ改正でH100形に統一したため、入れるとしたら石北本線の北見・網走方面が最有力だろう。
なお旭川運転所には2023年1月現在キハ40系列が31両あるが、富良野線のキハ150形10両が石北本線に転用し、今回の苫小牧運転所からのキハ150形が10両転属するだけで20両のキハ40系列が必要なくなるし、留萌本線廃止で2両、根室本線富良野〜新得間廃止で1両浮いてその分キハ40系列を浮かせられるとすると、旭川運転所のキハ40系列は8両しか残らない。そう考えると旭川運転所のキハ40系は廃止秒読みと言えるのではないだろうか。
ただ、この一連の配置転配が終わると、JR北海道管内のキハ40系列は旭川運転所の8両、苗穂運転所の13両、函館運転所の15両の合計36両しか残らない。H100形、127両導入予定のうち83両しか投入してないから計画上あと44両投入するはずなのだが、置き換えるキハ40系より多くなっているのはおかしい。そう考えるとおそらくH100形の投入計画数を削減しているのだろう。737系2両編成電車の投入によりH100形気動車の投入数が当初の予定より少なくなっていると言っていいだろう。
ちなみに今回のプレスリリース、PDFを画像に加工しそのまま掲載する某タから始まるサイト対策でPDFファイルが読み取り専用となっている。どうやらJR北海道は某タから始まるサイトにしびれを切らしているらしい。
なおJR北海道では今回投入した2両編成7本のほかにさらに737系電車2両編成6本を投入するとしている。このため今後室蘭本線のみならず函館本線などに営業区間を拡大するのだろう。
4. 結び
今回の2023年5月20日JR北海道ダイヤ改正では、新型車両737系電車投入に伴い室蘭本線普通列車でスピードアップを図ることとなった。
今後JR北海道でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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