のぞみ昼間にスピードアップで2時間27分運転実施へ! 東海道新幹線ダイヤ改正(2018年3月17日)

 507回閲覧

JR東海は12月15日、プレスリリースにて2018年3月17日にダイヤ改正を行うと公表した( 平成30年3月ダイヤ改正について )。今回はこのうち、東海道新幹線「のぞみ」号の所要時間短縮ついて見ていく。

12月15日公表!2018年3月17日全国一斉ダイヤ改正まとめについてはこちら!

1. 東海道新幹線「のぞみ」、昼間も2時間30分を切る

今回の2018年3月17日JR東海ダイヤ改正では、東海道新幹線「のぞみ」号の昼間の所要時間短縮が行われる。JR東海のプレスリリースによれば所要時間短縮が行われるのは全て東京発の下り列車で、博多行き3本、広島行き2本、新大阪行き7本(うち号数からして1本は臨時列車)の合計12本が東京→新大阪間で3分短縮される。こう書かれると一見法則性がなさそうに見えるが、実は今回所要時間が短縮されると公表されている定期「のぞみ」は、7、8、18、19時台の東京毎時10分、20分、40分発の列車4×3=12本である。しかもこのうち東京毎時10分発は昼間としては過去最速となる東京→新大阪間2時間27分運転を実施することとなり、1993年3月18日の「のぞみ」昼間運行開始に伴うダイヤ改正の東京~新大阪間昼間の最速2時間30分運転(ただし当時は品川未開業・新横浜通過)を25年ぶりに更新することとなった。

ではなぜパターンダイヤを組む7時台~20時台の14時間のうち一部の4時間でのみ、しかも下り列車だけ「のぞみ」の所要時間を短縮することとなったのか。JR東海ではパターンダイヤ時間帯のうち一部を所要時間短縮させた例はあり、2012年3月17日ダイヤ改正と2013年3月16日ダイヤ改正で米原停車新大阪行き下り「ひかり」にN700系を順次投入し投入した列車から新大阪までの所要時間を短縮し余裕を持たせることにより、米原停車の「ひかり」にN700系を入れた時間帯のみ「のぞみ」を毎時10本運転が可能になった。その後2014年3月15日ダイヤ改正にて全ての米原停車「ひかり」毎時1本がN700系運用に固定されたことに伴い、新大阪駅27番線の供用が始まったことも相俟ってパターンダイヤ時間帯全てにおいて「のぞみ」が毎時10本運転をできるようになった。

この時を振り返ると、2013年3月16日ダイヤ改正時点でN700系化され素養時間が短縮されていた「ひかり」は、東京7、8、17、18、19時台発だったのである。つまり今回の「のぞみ」の所要時間短縮と比べて東京17時台発が減っているだけで、他は同じ時間帯で所要時間短縮を図ったということになる。ともなれば、700系が残り少なくなる2019年3月ダイヤ改正で残りの時間帯も「のぞみ」の所要時間短縮を図る可能性があるのではないだろうか。




だがなぜ一部の「のぞみ」、しかも下り列車のみ所要時間を短縮したのだろうか。少なくとも東京毎時10分発の山陽直通「のぞみ」は、定期列車ゆえ全てN700系で運転されている。そもそもこの「のぞみ」は2015年3月14日ダイヤ改正で東海道新幹線の最高速度が285km/hとなったことで所要時間を短縮し2時間30分運転となった列車であり、今回2018年3月17日ダイヤ改正で3年前と同じ285km/h運転が増えるという理由でこの「のぞみ」がさらに所要時間を短縮するというのもおかしな話なのだが、もし「のぞみ」側の車種の都合で所要時間短縮ができるのであれば、東京毎時10分発・東京毎時33分着「のぞみ」を全て2時間27分運転にしても良いはずである。しかしそれが成されないということは、「のぞみ」以外のところに原因があるのだろう。

また先程2012年~2014年のダイヤ改正で米原停車「ひかり」に順次N700系が投入された事について触れたが、この際も後続の僅少・定期「のぞみ」毎時2本が東京→新大阪間で所要時間を3分短縮している。つまり、「ひかり」にN700系を投入し所要時間短縮を図った際に周辺の「のぞみ」も所要時間を短縮できるということが裏付けられている。同様の事例は2017年3月4日ダイヤ改正でも行われ、定期「のぞみ」および臨時を含む山陽直通「のぞみ」は東京6時50分発「のぞみ7号」を除いて全て2時間33分以内での運転となった。しかし東海道新幹線「ひかり」に関しては2017年3月4日ダイヤ改正を以て全てN700系化されてしまっている。米原停車「ひかり」に関しては最高速度270km/h時代のスジのまま運行されているので多少所要時間短縮の余地はあるが、東京~新大阪間で1分短縮できるのがせいぜいで今回の「のぞみ」の所要時間短縮に絡んでいるとは言い難い。

ともなれば、残る原因は「こだま」と臨時「のぞみ」しかない。そこでここからはその2つに絞って見ていく。




まず、「こだま」要因から見ていく。東海道新幹線の定期列車で今日では唯一700系が使用されている「こだま」であるが、少しずつN700系化している。2016年3月26日ダイヤ改正では、初終電「こだま」の一部をN700系専用運用とすることで、1〜4分の所要時間短縮を実現した。しかしパターンダイヤ時間帯にはまだまだ700系「こだま」が残っており、スピードアップを図ることができない。

そこで今回のケースを見ていくと、名古屋10時までに到着・新大阪11時までに到着する下り「こだま」は全てN700系による運転となっている。つまりこれらの「こだま」は所要時間短縮を図ることが可能だ。ともなれば今回2018年3月17日ダイヤ改正ではこれらの「こだま」の所要時間を短縮することにより、後続の「のぞみ」の所要時間短縮につなげようとしているのではないだろうか。

「こだま」にN700系を投入すると効果はどうなるのか。「のぞみ」の場合には車体傾斜装置によるカーブによる減速区間の減少と緩和、および最高速度引き上げにより所要時間短縮が図られているが、「こだま」は停車駅が多いため最高速度を引き上げてもほとんど意味がない。しかしN700系は起動加速度も高いため、270km/hになるまで180秒しかかからず、700系の285秒より立ち上がりが早い。これにより停車するごとに1分ずつ所要時間を短縮することが理論上可能だ。




1.1. 東京毎時10分発山陽直通定期「のぞみ」はいかにして2時間27分運転を実現するか

そこで次に考えるのは、いかにして「のぞみ」の所要時間短縮を図るのかだ。現在のパターンダイヤ時間帯の退避については2017年3月4日ダイヤ改正記事で上げた通りで、東京毎時10分発下り山陽直通定期「のぞみ」は三島、浜松、岐阜羽島で「こだま」を抜かす。「こだま」は700系でも運転できるスジであるが、このうち岐阜羽島で抜かされる「こだま」をN700系でも運転可能なダイヤを組むとすると、この直前の退避を行った豊橋から西側で所要時間短縮を行うことができる。先述の通り1駅停車するごとに1分短縮できるとするならば、理論上岐阜羽島までに3分、新大阪までに6分所要時間を短縮することができる。また「のぞみ」も285km/h運転の場合、名古屋→新大阪間を最速47分で運転することができる(「のぞみ1号」)。現状東京毎時10分発下り山陽直通定期「のぞみ」は50分で運転しているが、浜松で名古屋行き「こだま」を抜かした後は岐阜羽島で抜かすN700系専用ダイヤ「こだま」まで抜かす列車がないので、ここでもN700系の性能的にも「のぞみ」も3分短縮させることは可能だ。この最大3分短縮を使えば、東京毎時10分発下り山陽直通定期「のぞみ」を現状よりさらに3分短縮できそうだ。

東京7時10分発と8時10分発の「のぞみ」号博多行きに関してはこれで説明がつく。しかし東京17時10分発と18時10分発の「のぞみ」ではどうだろうか。この時間帯になると、もはや「こだま」号の新大阪行きは運転を終了しており、名古屋行きとして運転される。名古屋から先は静岡停車の「ひかり」が岐阜羽島と米原に停車することにより補完することとなる。しかしこの「ひかり」は新大阪行き「こだま」と比べて概ね20分程度ずれて運転するため、新大阪行き「こだま」が名古屋行きに短縮されたことで東京毎時10分発山陽直通定期「のぞみ」が岐阜羽島で抜かす列車が無くなる。つまり最後に「こだま」を抜かした浜松以西で無双状態となるのだ。そうなれば「こだま」のN700系化とも無縁に所要時間短縮を図ることができるようになる。




1.2. 東京毎時20分発新大阪行き「のぞみ」はいかにして所要時間を短縮するか

また、東京毎時20分発多頻度「のぞみ」に関しても、新富士と豊橋で「こだま」を抜かすが、豊橋から西側では「こだま」を抜かすことはない。そのためこの東京毎時20分発多頻度「のぞみ」に関しても豊橋から西側で3分の短縮が可能で、2時間33分運転から2時間30運転にできる。こちらに関しても先述の東京毎時10分発山陽直通定期「のぞみ」同様に2時間27分運転をできないのかという疑問を持つ人もいるであろうが、こちらに関しては前に東京毎時13分発山陽直通僅少「のぞみ」が700系で運転されることもあり、2時間33分運転から短縮されることはない。もし東京毎時20分発多頻度「のぞみ」が2時間27分運転をしてしまうと700系が残る今日では前の僅少「のぞみ」と衝突するか「のぞみ」が「のぞみ」を抜かす事態を生み出さないといけないため、2020年3月のN700系統一化までは不可能であると思われる。

ただ、この理論から考えると疑問点がいくつか湧き上がる。1つはなぜ全ての東京毎時20分発新大阪行き「のぞみ」が2時間30分運転を行わないのか。この「のぞみ」は多頻度運転であるが、JR東海管内で完結することからほぼN700系運転となっており、2016年3月26日ダイヤ改正では東京毎時23分発新大阪行き僅少「のぞみ」とすべての「ひかり」「こだま」を抜かす駅が一致することからこのスジを活用して2時間30分運転が行われている(全てN700系専用運用)。2017年3月4日ダイヤ改正で米原で「こだま」を抜かすことが無くなったので上記の理由からすればすべての東京毎時20分発多頻度「のぞみ」は2時間30分で運転することができるはずだ。また上り(東京行き)に関しても東京毎時23分着新大阪発定期「のぞみ」も2時間30分運転ができるはずだ。しかしこれが成されないのはおそらく、N700系に統一される2020年3月ダイヤ改正で東京毎時10分発「のぞみ」と東京毎時13分発「のぞみ」の「こだま」を米原で抜かすことを見越しているからではないだろうか。




また、今回東京7、8、18、19時台発の「のぞみ」で所要時間短縮が行われているが、N700系運用の「こだま」がやむを得ず700系を使用することがあるため全てのN700系運転の「こだま」を所要時間短縮を図ることは難しいが、先述のように新大阪行き「こだま」が名古屋止まりとなる時間帯であれば「のぞみ」の所要時間3分短縮はできるはずだ。なのになぜ20時台の「のぞみ」の所要時間短縮を行わないのだろうか。東京20時20分発新大阪行き定期「のぞみ259号」は1つ目の疑問と同じ理由になるが、東京20時10分発定期「のぞみ131号」は岡山行として運転されている。その他の時間帯同様山陽直通「のぞみ」で、終電というわけでもないので2012年3月17日ダイヤ改正のような東海道新幹線内で所要時間短縮を図ったら新大阪で山陽新幹線の終電が繰り上がった悲劇は起こらない。この「のぞみ131号」は山陽新幹線に入ると西明石で「こだま773号」(700系8両編成で運転)岡山行きを抜かすが、この「こだま773号」は西明石で7分も停車しており、もし「のぞみ131号」の運転時刻が山陽新幹線内で3分繰り上がれば新大阪→西明石で走順を変更することができ、「こだま773号」は途中無待避とすることで所要時間が5分は短縮でき、新大阪発時刻も22時37分から22時42分に繰り下げることは可能だ。また「のぞみ131号」も新大阪22時39分発とすることで岡山に23時28分に到着することができるようになる。もし成されれば岡山22時33分発山陽本線最終福山行きにギリギリで接続できるようになり、福山への最終列車が東京基準で20分、新大阪基準で13分繰り下がることになる。これにより2017年10月29日から行われている羽田~広島の航空機の最終便が増発され1時間繰り下がった分に対してある程度対抗することができる。なぜこれをしないのだろうか。

そして最後の疑問は、なぜ上りで同じく所要時間短縮をしないのか。確かに「のぞみ」10本ダイヤ移行時には2年かけてまず下り(新大阪方面)列車だけ所要時間短縮と「のぞみ」10本化が行われているが、今回の「のぞみ」の所要時間短縮は上りでもできるはずだ。上り東京行きも朝は新大阪7時53分発が「こだま」の初列車でありそれまでは夜の下り(新大阪方面)同様全ての「ひかり」が岐阜羽島や米原に停車することにより補完している。そうなれば東京9時23分着と9時33分着「のぞみ」も新大阪発時刻を3分繰り下げることで所要時間短縮を図ることができるのに、なぜ行わないのだろうか。

なお東京21時台発に関しては、東京21時10分発定期「のぞみ263号」は2時間26分運転、東京21時20分発多頻度「のぞみ431号」は2時間22分運転を行っているため、既に大きく所要時間を短縮している。




1.3. 東京毎時40分発山陽直通多頻度「のぞみ」は全N700系化ならず

最後に東京毎時40分発山陽直通多頻度「のぞみ」について。こちらに関してはN700系専用ダイヤ化も見越して事前に予測記事まで立て所要時間短縮の可能性について探っていたが、一言でいうと今回2018年3月17日ダイヤ改正ではN700系専用ダイヤ化とはならなかった。これはJR西日本の700系が未だに12編成残り、山陽直通臨時「のぞみ」毎時2本を700系でも運転可能なダイヤとして残さざるを得なかったためではないだろうか。

なお、東京毎時40分発「のぞみ」でも、今回所要時間短縮対象となったうち東京18時40分発「のぞみ251号」と19時40分発「のぞみ415号」は新大阪行きであり臨時列車として山陽新幹線に延長することはないし、東京7時40分発「のぞみ101号」は広島行きであるものの定期「のぞみ」として運転されているため既にN700系専用運転となっていることから所要時間短縮が容易に行える。しかし東京8時40分発「のぞみ211号」はプレスリリースでは新大阪行きとなっているが、臨時列車として山陽新幹線広島・博多まで延長運転することがあり、2017年現在では700系が使用されることもある。2017年現在では定期「のぞみ」はN700系だけど臨時延長運転したら臨時「のぞみ」だから700系を使用しても良いというのがあるが、この今回所要時間が短縮される「のぞみ211号」(山陽新幹線に直通すると「のぞみ159号」になるのだが)で700系に運用変更すると、東京~新大阪間で2時間30分運転をするのが困難になり、時刻変更をせざるを得なくなる。そのためこの東京8時40分発「のぞみ」は山陽新幹線に直通してもN700系専用運転となるのではないだろうか。


2. 結び

今回の2018年3月17日東海道新幹線ダイヤ改正では、パターンダイヤ時間帯の「のぞみ」においても所要時間短縮が図られ、ついに2時間30分を切る運転となった。

今後N700系化が成される2020年3月ダイヤ改正までの残り2年でどのようなダイヤ改正を行うのか、見守ってゆきたい。

コメント

コメントを投稿される方はこちらの注意事項をお読みください。コメント投稿時点でこの注意事項に同意したものとみなします。

トップページに戻る

タイトルとURLをコピーしました