JR北海道は2023年11月15日、プレスリリースにて千歳線快速エアポートを増発すると公表した。今回はこのうち2025年3月実施のJR北海道ダイヤ改正のうち千歳線快速エアポートについて予測していく。
昼間に減便か!2025年3月JR北海道室蘭本線特急「すずらん」ダイヤ改正予測はこちら!
1. 特別快速エアポート増発で将来的な特急・急行格上げ視野か?!
前回の2024年3月16日JR北海道ダイヤ改正では、特別快速エアポートを昼間に毎時1本設定した。
特別快速エアポートは2020年3月14日JR北海道ダイヤ改正で運転を開始した新札幌~南千歳間ノンストップ列車である。この列車の目的は国土交通省による新千歳空港アクセス改善補助金の効果を建前だけでも出すために札幌~新千歳空港間を従来より4分速い最速33分で結ぶ列車として設定したものである。ただ、快速エアポートの利用者の約3分の2は北広島、恵庭、千歳など空港利用と関係のない利用者のためそれらの利用者が少ない時間帯に限定して運転していた。
ただ前回の2024年3月16日JR北海道千歳線ダイヤ改正で特別快速エアポートを昼間に7往復14本増発することとしたのだが、札幌~新千歳空港間を約36分で結ぶこととなった。正直北広島・恵庭・千歳停車の快速エアポートと所要時間がほとんど変わらない。
しかもこの2024年3月16日JR北海道ダイヤ改正では昼間の快速エアポート毎時5本のうち毎時2本を北広島~新千歳空港間各駅停車の区間快速に格下げしており、恵庭・千歳から札幌へは運転本数そのままに平均所要時間が伸びているのである。快速エアポートの旅客の7割は新千歳空港を使わないんだ、快速エアポートの方がよほど利便性が高かったんじゃないか。
そう考えると快速エアポートではなくわざわざ停車駅の少ない特別快速エアポートを昼間に設定したのは、将来的な特急・急行格上げにより料金収入を増やして増収を図ろうとしているのではないか。
札幌~新千歳空港間は46.6kmある。もっとも快速エアポートの前身空港ライナー・マリンライナーを運転開始した1988年3月13日ダイヤ改正時点では50kmに満たない特急列車なんてなかったので当然のように快速列車として設定している。いまでは定期旅客列車は北海道新幹線しかない青函トンネルですら快速海峡ばかりが運転していた時代だ、50km以内の列車は快速というのが定石だろう。
ただ、1998年以降全国各地の「ホームライナー」がより料金の徴収できる特急列車へ順次格上げ、短距離特急列車が順次誕生した。2023年現在日本のJR在来線特急で一番運転距離が短いのは中央本線特急「はちおうじ」と福北ゆたか線特急「かいおう」のともに47.7kmで、札幌~新千歳空港間の46.6kmとほとんど変わらないし、小樽~新千歳空港間の80.4kmと比べてかなり短い。
さらに空港連絡特急では南海電鉄特急「ラピート」が難波~関西空港間42.8kmを結んでおり、特急料金520円を徴収している。札幌~新千歳空港間より短い距離を特急列車が運転している例だってあるのだ。
そしてそもそも1988年3月13日一本列島ダイヤ改正で千歳空港(現南千歳)10時06分発特急「ホワイトアロー3号」札幌行きノンストップ列車の運行実績がある。千歳空港から札幌までしか行かない特急列車の運行実績がすでにあるのだ。
しかも新千歳空港利用者は観光客や出張客が多いため多少値段が高くなっても乗ってくれる。現に快速エアポートuシートは登場時300円だったのに2022年4月1日以降は840円にまで値上げしているさまである。
そうなるとJR北海道の増収目的で2023年時点で快速エアポートの基本運転区間札幌~新千歳空港間を走る特急・急行を運転してもおかしくはない。
2. 新千歳空港発着の特急列車はどのように設定するのか
では新千歳空港発着の特急列車はどのように設定するのだろうか。
そもそも昼間の特別快速エアポート毎時1本は小樽~札幌~新千歳空港間で運転している。もし特別快速エアポートをそのまま特急に格上げするのであれば、小樽~札幌~新千歳空港間の運転となる。
そもそも小樽築港・南小樽・小樽の3駅を合わせて1日乗車人員は14,000人/日程度で、降車人員を合わせても28,000人/日となる。もしそのすべてが手稲方面に行くと仮定しても昼間毎時1両で4,000人/日・往復運べることから、昼間毎時7両あれば十分運びきれる。2024年3月16日ダイヤ改正で昼間毎時4本から毎時3本に減便したのもうなずけるし、それでもなおガラガラなのである。
2024年3月16日JR北海道函館本線ダイヤ改正以降、ほしみ~小樽間は昼間は通過運転を行う6両特別快速毎時1本と各駅に停車する6両快速毎時1本、3両普通毎時1本の毎時3本運転となっている。このうち特別快速毎時1本を特急ないし急行化しても料金不要の快速と普通だけで運びきれてしまう。
この場合特別快速エアポートは4号車uシートは運賃のほか840円の料金が必要だが、ほかの車両は運賃のみで乗車できるところ、特急・急行は自由席でも料金を徴収することができるほか、uシートは自由席特急または急行料金の530円増しまたは840円増しとなるためuシートも値上げできる。
もし急行化した場合札幌~新千歳空港間は急行料金560円、小樽~新千歳空港間は急行料金760円になるだろうし、特急化した場合は札幌~新千歳空港間の自由席特急料金630円、小樽~新千歳空港間の特急料金1,150円となる見込みだ。
ただ、函館本線小樽発着の快速エアポート、昼間は手稲~小樽間で各駅に停車するようになったものの朝夕はこれまで通り通過運転を行っているのである。であれば、昼間は快速と区間快速毎時1本ずつの運転とし快速は終日手稲~小樽間通過運転、区間快速を手稲~小樽間全駅停車にした方が停車駅案内としてわかりやすくないか?
そう考えると特別快速エアポートから格上げする特急列車が小樽発着である必要はない。札幌発着に短縮してもいいがそれ以外にいい行先はないだろうか。
3. 新千歳空港~旭川直通特急列車の復活か!
では新千歳空港発着の特急列車の行先はどうなるのだろうか。
かつて新千歳空港発着列車には昼間に毎時1本特急型車両による旭川行きを運転していた。
1992年7月1日から2016年3月25日まで、快速エアポート昼間毎時4本のうち毎時1本は特急型車両781系4両編成、のちに785系5両編成で運転し、札幌から先旭川まで特急「スーパーホワイトアロー」として運転していた。これはかつて室蘭~札幌~旭川間運転の特急「ライラック」を札幌で系統分割した救済措置および新千歳空港から岩見沢・旭川方面への利便性確保目的だったが、千歳線内での混雑が激しかったことから特急型車両から733系通勤型車両に置き換えることとなり2016年3月26日JR北海道ダイヤ改正にて札幌で系統分割している。
ただ2020年3月12日JR北海道ダイヤ改正より特別快速エアポートを運転し、2024年3月16日JR北海道ダイヤ改正より昼間に毎時1本運転している。この列車は千歳線内途中新札幌と南千歳に停車するものの千歳線主要駅である北広島、恵庭、千歳を通過するため快速エアポートの利用者の3分の2を占める千歳線沿線住民とあまり旅客が混ざらない。つまり利用者数が他列車より少ないため特別快速エアポートにドア数が少ない特急型車両を当てても問題はない。
しかも旭川方面特急の新千歳空港乗り入れは1運用だけ増やせばできるし、昼間は1時間に1本しか運転しなくなった今運用を増やさなくても新千歳空港乗り入れができてしまう。
しかもJR北海道では北海道新幹線札幌延伸に合わせ札幌~旭川間および札幌~新千歳空港間で所要時間を大きく短縮、170km/h運転を見込んでいる。両列車を共通設計にして直通運転してしまえば車両運用が効率よくなる。
そうなると、実は特別快速エアポートの昼間毎時1本運転は将来的な新千歳空港~旭川間直通列車の運転再開を目論んでいるのではないだろうか。
そうなれば特急「カムイ」「ライラック」が全区間特急列車として新千歳空港に乗り入れ、旭川までの直通運転を数年ぶりに復活するということになるのだろう。
また併せて旭川方面特急列車「カムイ」「ライラック」を含め全特急列車が全車指定席化する可能性がある。そうなれば札幌~新千歳空港間で快速uシートより特急自由席の方が安くなることはなくなるので、より特別快速エアポートの特急化を図りやすいだろう。
2023年現在、札幌~旭川間の特急料金は自由席1,830円、普通車指定席2,160円である。が、もし全車指定化し新千歳空港発着に延長するのであれば、新千歳空港~旭川間の普通車指定席利用で特急料金2,730円徴収でき、370円の増収になる。
いや新千歳空港~札幌間の快速エアポートuシートは840円もするんだから乗り換えのある2023年時点と比べて減収するだろうと思う人もいるだろうが、自由席廃止により料金不要の快速エアポート自由席利用からの特急「カムイ」「ライラック」自由席利用料金1,830円を2,730円に900円値上げできるのでかなり増収が期待できる。そして札幌~新千歳空港間だけでも特急列車に乗る人も出るだろうし。
また国土交通省には新千歳空港駅改善構想があり、新千歳空港駅から南に延伸し苫小牧・帯広方面へ列車を直通させるとしている。もしそうなれば特急「北斗」「すずらん」「おおぞら」「とかち」が新千歳空港に乗り入れることになるのは必至であるから、その布石として新千歳空港発着の特急「カムイ」「ライラック」を運転してもおかしくないだろう。
ただこの場合特急型電車の運用が昼間に1運用増えることから運用を拠出するため室蘭本線特急「すずらん」のうち昼間の3往復が廃止になる公算が高い。
なおJR北海道では2024年4月1日から2026年1月20日までに札幌圏通勤形交流電車を6両固定編成7本42両導入するとしている。これはJR北海道では6両固定編成の通勤電車は快速エアポートと共通運用にするため4号車を指定席uシートとしているのであって、昼間の快速エアポート用車両の運用が減っても一番運用数が多い朝に使われれば車両としては必要なので昼間に6両固定編成の運用が減ろうが車両投入計画に何ら変更なない。
4. 新千歳空港救済のため空席利用措置適用か?
2025年3月以降のJR北海道ダイヤ改正で千歳線特別快速エアポート昼間毎時1本が特急に格上げするとなると、新千歳空港発の料金不要列車が20分開くことになる。後続の快速エアポートが混雑しかねない。
そこで考えうるのが、新千歳空港発着特急列車の札幌~新千歳空港間の空席解放である。室蘭本線特急は2024年3月15日まで東室蘭~室蘭間は普通列車に変更することで料金不要としていたが、2024年3月16日JR北海道ダイヤ改正で全車指定席化したことに伴い室蘭まで全区間特急列車とし東室蘭~室蘭間は普通車指定席の空席を利用できるような形に舌。
これを新千歳空港発着の特急列車にも適用し、札幌~新千歳空港間のみの利用であれば普通車指定席の空席を利用できる形とすれば特別快速エアポート同様運賃のみで利用することはできる。
ただこの場合問題点がある。新千歳空港を発着する毎時6本の列車のうち毎時1本だけが指定席で予約していない席しか着席してはならないのだ。そしてどの席が指定席として売られているのかわからないし、それを外国人を含む初見利用者が多い空港駅で行うのは旅客動線上無理がある。そうなると新千歳空港発着列車で札幌~新千歳空港間は普通車指定席の空席を利用できるようにするのは難しいのではないか。
あと考えられるのは、札幌~旭川間で特急「カムイ」「ライラック」は全車指定席とするも、新千歳空港~札幌間は1号車~3号車は指定席、4号車~6号車(特急「カムイ」は5両編成のため5号車まで)を普通車自由席として座席指定予約をさせず、料金不要車両として開放することである。千歳線快速エアポートは4号車が座席指定のuシートのため一部車両は料金券がないと着席できないようにしていることから、その指定車両が変わるだけとすれば混乱は生じにくいのではないだろうか。
6. 結び
今回の2025年3月JR北海道ダイヤ改正予測では、特別快速エアポートが旭川直通の特急に格上げする可能性がある。
今後JR北海道でどのようなダイヤ改正を実施していくのか、見守ってゆきたい。
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