JR東海2023年12月15日、プレスリリースにて2024年3月16日にダイヤ改正を行うと公表した。今回はこのうち中央線について見ていく。
1. 中央線最高速度130km/hへ引き上げへ!
今回の2024年3月16日JR東海ダイヤ改正では、中央線で営業最高速度を引き上げる。
JR東海中央線では振り子式車体傾斜装置搭載の383系特急「しなの」や、かつて運転していた着席保障列車313系8000番台「セントラルライナー」では130km/h運転を行っていた。
が、それ以外の料金不要で乗車できる快速・普通電車は国鉄時代に設計した211系での運用があったため車両性能面で110km/h運転しかできなかった。
ただJR東海では老朽化を理由に2021年7月30日より130km/h運転対応の新型車両315系を運転開始、2023年内に中央線名古屋発着の快速・普通列車のすべてを新型車両315系に置き換えた。
これにより中央線名古屋~中津川間で運転するすべての列車が130km/h対応となったことを受けて今回の2024年3月16日ダイヤ改正で中央線にて営業最高速度を110km/hから130km/hに引き上げることとした。
これにより朝夕は名古屋~多治見間で平均1分、名古屋~中津川間で平均3分の所要時間短縮を図ることとなった。
なお中央線に投入した新型車両315系は8両固定編成のロングシートである。つまりロングシートなのに130km/h運転を終日行うようだ。どこぞのつくばエクスプレスだよ、というかつくばエクスプレスですら通常時は125km/hしか出さんぞ。そしてJR東海よ、東海道線はクロスシート車の特別快速や新快速が120km/hまでしか出さないがそれでいいのか。
しかもJR東海では315系を関西線や静岡県内の東海道線にも投入するとしている。もし静岡県内の東海道線に投入して東海道線の最高速度を110km/hから120km/hに引き上げられれば旅客列車のみならず貨物列車も最高速度引き上げが可能となり、東京~大阪間の貨物輸送も向上しトラック運転手の2024年問題を解消する1つの手掛かりにもなる。今後の315系増投入によるインフラ強化も見逃せなさそうだ。
ただ、他社では最高速度上限で運転している列車を減らしたり営業最高速度の引き下げで保線管理を安曽化しようとする動きが大きいため、1990年代までよく見られた運賃のみで乗車できる列車の最高速度引き上げは今回のJR東海315系投入に関するもので最後になるだろう。
2. 昼間区間快速設定で減便へ!
今回の2024年3月16日JR東海ダイヤ改正では、中央線で減便を図る。
昼間は快速毎時3本と普通毎時5本の合計毎時8本、平均7分30秒間隔での運転となっているが、今回のダイヤ改正より名古屋~高蔵寺間の普通を毎時2本減便し計毎時6本、平均10分間隔に減便する。救済として快速毎時3本を区間快速に格下げ、新守山と神領に停車することで乗車チャンスを確保する。
もっとも昼間の毎時8本から毎時6本への減便は名古屋都市圏で2020年以降増えている減便手法で、2021年5月22日名古屋鉄道ダイヤ改正で昼間の急行毎時2本を減便した名鉄瀬戸線(その後2021年10月30日ダイヤ改正で昼間の準急毎時2本を普通に格下げし普通の身毎時6本運転化)や、2023年9月16日名古屋市交通局ダイヤ改正で平日昼間に減便した地下鉄桜通線などがある。これらの減便は列車編成を変えずに減便しており、輸送力を下げている。
一方JR東海中央線の場合、もともと平日朝は10両、昼間は6両。夕方・夜間は8両運転だったところ、新型車両315系8両固定編成導入に向けて2022年3月12日JR東海ダイヤ改正で名古屋発着の中央線を全時間帯8両編成に統一した。この際平日朝は10両から8両への減車に伴い3本増発したが、6両から8両に増車した昼間は調整せず運転本数を据え置いたため、単純計算で輸送力を33.3%増加した。
とはいえ利用客が急増するはずもなく、空席が目立っていた。そこで今回のダイヤ改正で昼間は毎時8本から毎時6本に減便することとしたが、2021年時点と比べると6両×8本=毎時48両が8両×6本=毎時48両になっているだけで毎時両数は変わっていない。いや、むしろ2021年時点では211系を中心に3両+3両や4両+2両の運転で中間乗務員室やトイレにより定員数が少なかったが、315系8両固定編成は中間車に乗務員室がないしトイレも1か所に減ったため定員が増えている。つまりJR東海中央線では減便したにもかかわらず3年前と比べて輸送力が増えているのだ!
また昼間の快速を新守山・神領増停車の区間快速に格下げし2駅増停車しているが(おそらく名鉄瀬戸線の昼間減便による準急から普通への格下げをある程度意識している)、先述した営業最高速度の110km/hから130km/h化に伴い所要時間を短縮するため2駅停車分の停車時間増加を最高速度引き上げによる所要時間短縮で確保していることから、昼間に快速から区間快速に停車駅が増えても所要時間が伸びていない。
もっともJR東海中央線の昼間の減便は終日8両運転となった2022年3月12日JR東海ダイヤ改正でできたはずだが、そこではせずに2年後の2024年3月16日ダイヤ改正での実施としたのは最高速度引き上げで利便性を向上させつつ停車駅を増やすことで多治見~中津川間の岐阜県東濃地区からの批判を受けないようにするためだろう。名古屋~多治見間も6両×5本=毎時30両から8両×4本=毎時32両に減便しても問題ないが減便せず毎時5本を維持しているくらいだし。
こんなに影響を最小限にした減便はあっただろうか。
3. 結び
今回の2024年3月16日JR東海ダイヤ改正では、中央線名古屋~中津川間への新型車両315系投入に伴いすべての営業用車両が130km/h対応となったことで営業最高速度を引き上げ、所要時間を短縮した。
一方で昼間に減便を行ってはいるが、3年前と比べ輸送力は増強しているほか利便性も大きく下がってはいない。
今後も315系4両編成の投入を関西線や静岡県内の東海道線で行うJR東海でどのようなダイヤ改正を実施するのか、楽しみにしたい。
2024年3月16日JR東海道線・身延線・飯田線ダイヤ改正はこちら!
関連情報:2024年3月ダイヤ改正について – JR東海
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