北京地下鉄は2017年12月28日、プレスリリースにて12月30日にダイヤ改正を行ったと公表した( 12月30日开始北京地铁公司所辖多条线路延长运营时间 )。また北京地下鉄は2017年12月30日、プレスリリースにて12月30日にリニア方式で新線を開業したと公表した( 首都地铁路网首条磁浮线路12月30日开通试运营 )。今回はこれらについて見ていく。
1. 6路線で終電延長へ
今回の北京地下鉄ダイヤ改正は、2段階にダイヤ改正が行われる。
1回目は2017年12月30日で、6路線の終電延長のみが行われる。それ以外のダイヤ改正については2018年1月2日にダイヤ改正が行われ、双方でダイヤ改正を行う亦庄線、房山線は3日間限定のダイヤが組まれることとなる。
2017年12月30日の終電延長によるダイヤ改正を行うのは1号線、2号線、八通線、昌平線、亦庄線、房山線で、このうち1号線は11月17日より毎週金曜日のみ実施されていたものを毎日運転の定期化する。実施内容は1号線は苹果園発四恵東行き上り最終が35分繰り下がり苹果園23時30分発に、四恵東発苹果園行き下り最終が15分繰り下がり四恵東発23時30分発となる。
環状路線の2号線は内回りで終電が18分繰り下がり、中国国鉄と乗り換えられる北京駅基準で一周列車の最終が22時35分発、西直門行き最終が23時23分発に繰り下がる。
八通線は1号線の西側四恵と四恵東で接続するが、両方向で終電が18分繰り下がり、土橋行き下り最終が四恵23時40分発となる。この送り込みのため土橋発四恵行き上り最終も23時ちょうど発に繰り下がる。
昌平線は13号線西二旗や8号線朱辛荘から接続できるが、両方向とも最終が30分繰り下がり、西二旗発昌平西山口行き下り最終が23時35分発となり、送り込みとして昌平山西口発西二旗行き上り最終が22時50分発となる。また区間運転となる昌平山西口発朱辛荘行き上り最終は23時35分発に繰り下がる。
亦荘線は起点の宋家荘で5号線や10号線から接続できるが、両方向とも終電が18分繰り下がり、下りの宋家荘発次暗行き下り最終が23時20分発、その送り込みとなる次渠発宋家荘行き上り最終が22時43分発となる。
房山線は同日12月30日に南側の終点蘇荘~閻村東間を1駅2.2km延伸し、同時に終電を延長している。9号線と接続できる郭公荘発の下り最終は25分繰り下がり、23時25分発閻村東行きとなった。また蘇荘発郭公荘行き上り最終は23分繰り下がり、閻村東始発22時20分発、蘇荘22時23分発となった。
2. 新線開業により増発へ
また今回の2017年12月30日北京地下鉄ダイヤ改正では、新路線としてS1号線と燕房線が開業した。
ともに郊外路線であり、燕房線は一般の高架を走る鉄道であるが、S1号線はリニアモーターカーとなっており、日本では愛知県のLinimoに近いものとなっている。S1線は金安橋~石廠間の9.83km7駅で、2018年末には地下鉄6号線が金安橋まで延伸するが、今のところ接続路線のない孤立路線となっている。6両編成での運転で、昼間は11分間隔、平日朝夕ラッシュ時は9分間隔での運転となり、昼夕輸送力比(日本の基準で適正値60〜78%/推奨値66%~75%)は81.8%であり、やや昼間が空いているが地域輸送性を考えると妥当と思われる。運転時間は上り(金安橋方面)が石廠6時00分発~20時35分発、下り(石廠方面)が金安橋6時25分発~21時00分発となっており、終電に関しては接続路線がないせいか北京地下鉄にしてはかなり早い。このS1線の開業により北京市門頭溝区初の近郊鉄道開業となった。
また燕房線は閻村東~燕山間13.37km9駅の開業で、4両編成B型車での運転となっている。閻村東では同日に延伸した房山線と乗り換えることができる。運転間隔は昼間は8分間隔、平日朝夕ラッシュ時は5分間隔の運転となっている。昼夕輸送力比(日本の基準で適正値60〜78%/推奨値66%~75%)は62.5%であり、正に妥当と言える。運転時間は上り(閻村東方面)は燕山5時30分発~22時55分発、下り(燕山方面)は閻村東5時05分発~22時30分発で設定されている。
但し残念なことは燕房線各駅から北京市の中心部に行くには閻村東で房山線に乗り換えた上、郭公荘で地下鉄9号線に乗り換えなくてはならない。しかも2駅とも現状は両線の起終点となっている。房山線は北に延びる計画があり、現状の地下鉄9号線との乗り換え必須が暫定的となるのでわかるが、房山線の西側延伸や燕房線の東側への延伸計画はない。つまり単純に考えれば今回開業した燕房線は閻村東での乗り換えではなく房山線と直通しても良かったのではないだろうか。ただ、今回開業した燕房線は4両編成に対し房山線は6両編成であり、両数が合わないことから上海地下鉄2号線唐鎮~浦東国際空港のように暫定的に燕房線のホームを短くして建設費を圧縮しようとした可能性があるほか、燕房線では北京地下鉄初となる無人運転を実施する。無人運転と言えば日本では新交通システム(AGT)によるものが多いが、中国北京では一般の鉄道で無人運転を実施したのだ。
なぜ無人運転が必要なのかというと、中華人民共和国では一人っ子政策を1970年代より推し進めており、急速な少子化とそれに伴う相対的な高齢化社会が形成されている。人口が13億9000万人のうち高齢者が15%以上を占めるのだ。また中国では全国で地下鉄が急速に開業しており、既存路線においてもラッシュ時の増発などで車両のみならず運転手も必要な状態だ。既に中国の地下鉄ではホームドア完備のワンマン運転が主流となっているためこれ以上人員を減らすには無人化しかなくなる。一人っ子政策は2014年に一応終わっているが、依然働き手不足は続く。そのため人員の少なくて済む無人運転を拡大するべく、第1号路線として燕房線にて無人運転を行うことになったのだ。
今後房山線と燕房線の両線が直通される予定もあり、無人運転区間をどうするのか不透明であるがどのようになるか見守ってゆきたい。
またこの新規路線2路線開業により既存路線でも2018年1月2日にダイヤ改正を実施する。房山線では平日朝ラッシュ時である7時40分発までの運転間隔が4分40秒間隔から4分30秒間隔に短縮され、3.7%増加することとなった。また7時40分発以降の朝のオフピークも5分10秒間隔から4分40秒間隔に短縮された。さらに平日夕ラッシュ時には5分10秒間隔から4分40秒間隔に短縮され、14.8%増加することとなった。昼間に関しては8分間隔のまま変わりないことから、昼夕輸送力比(日本の基準で適正値60〜78%/推奨値66%~75%)は64.6%から58.3%に変化し、昼間にも混み始めていることが伺える。新規路線の燕房線が昼間8分間隔であるから合わせているのであろうが、今後需要がさらに伸びるのであれば昼間も増発すべきではないだろうか。
また新規開業とは無縁の亦庄線でも増発が実施され、午前8時発までの平日朝ラッシュ時には5分25秒間隔から4分30秒間隔に短縮され、輸送力が20.4%増加した。また朝8時発以降の朝のオフピークも5分25秒間隔から5分間隔に短縮されることとなった。
3. 路面電車も新設へ
また今回の2017年12月30日北京地下鉄ダイヤ改正では、路面電車が新設される。
地下鉄が路面電車を経営と聞くとやや不思議に思うかもしれないが、東京都交通局が都営地下鉄と都電荒川線を運営したり、札幌市交通局が札幌市営地下鉄と札幌市電を運営していると思えば公営地下鉄としては珍しくないものと思われる。開業したのは西郊線巴溝~香山間6駅、8.64kmで、巴溝では環状路線の地下鉄10号線と接続できる。平均駅間距離は1.73kmと地下鉄並み、といっても市中心部ではなくやや郊外の地下鉄並みに広い。車両は5両連接のライトレールとなっており、運転間隔は朝夕ラッシュ時は10分間隔、昼間は12分間隔、全線運転時間32分の運転となっている。また、運転時間は上り(巴溝方面)が香山6時発~23時発、下り(香山方面)が巴溝5時30分発~22時30分発で設定される。
なお、路面電車西郊線の運賃は地下鉄と別建てとなり、距離に応じて3人民元(約50日本円)~4人民元(約67日本円)となる。
4. 結び
今回の2017年12月30日及び2018年1月2日北京地下鉄ダイヤ改正では、終電の延長と新路線の開業による既存路線での増発により北京の地下鉄のおよそ半数の路線でダイヤ改正が行われた。今後どのようなダイヤ改正が行われるのか見守ってゆきたい。
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