日本各地にJRは在来線路線を持っている。が、JRの構成するダイヤは利用しやすいとも限らず、県別に第三セクター化したほうが新駅ができたり運転本数が増えたりする。今回はJRから第三セクター会社に転換することで利便性が向上する線区を紹介する。
そもそも昼間毎時2本が必要になる輸送量とは
そもそも昼間毎時2本運転が必要になる輸送量はどれくらいだろうか。
普通列車を昼間毎時1両で運転すると隣駅間輸送密度4,000人/日・往復までは座って運びきることができる。昼間毎時2両で輸送密度8,000人/日・往復程度まで運ぶことができ、それを超えると昼間毎時3両が昼用となる。
3両編成毎時1本や4両編成毎時1本となると列車の乗りやすさに支障が生じることから、30分間隔ないし40分間隔に運転間隔を短縮することが多い。
つまり輸送密度8,000人/日・往復を超えたら普通の鉄道会社なら昼間毎時2本に増発するといえよう。
実際ハピラインふくい武生~福井間は輸送密度が10,000人/日・往復程度いたため、JR西日本北陸本線から転換時に昼間毎時1本から毎時2本に増発している。
そこで今回はJRが運営する路線の中で普通列車だけで輸送密度が8,000人/日・往復以上であるにもかかわらず昼間毎時1本しか運転していない路線を第三セクター化した方がはるかに便利な路線として挙げていく。
東金線大網~東金間
東金線大網~東金間の2023年度平均輸送密度は7,106人/日・往復であるものの、求名~大網間はほとんど乗っていないこと、東金駅は1日約7,600人、求名駅は1日約3,600人の乗降狩りいずれもほとんどが大網方面に向かっていることを考えると、大網~東金間の輸送密度は11,000人/日・往復を超えると見込まれている。第三セクター鉄道や京成電鉄などの私鉄に転換すれば昼間毎時2本に増発するほどの輸送量だ。
両毛線伊勢崎~桐生間
両毛線伊勢崎~桐生間の2023年度平均輸送密度は9,249人/日・往復で、途中主要駅もないことから各隣駅間湯増密度もほぼ同じと類推できる。
両毛線佐野~栃木~小山間
両毛線足利~小山間の2023年度平均輸送密度は9,168人/日・往復
駅乗降人員から類推するにどうやら足利~佐野間は8,000人/日・往復を下回っていそうだが、佐野~栃木間は約8,000人/日・往復、栃木~小山間は10,000人/日・往復以上と見込まれる。
第三セクター鉄道や東武鉄道などの私鉄に転換すれば栃木~小山間は昼間毎時2本に増発することが確実、佐野~栃木間でも昼間毎時2本に増発するほどの輸送量だ。
水戸線小山~下館間
水戸線小山~友部間の2023年度全線平均輸送密度は5,978人/日・往復となっているが、朝夕の運転本数の区間別の違いや駅乗車人員を見る限り小山~下館間ではほぼ間違いなく輸送密度8,000人/日・往復を超えている。
東北本線須賀川~郡山~福島間
東北本線郡山~福島間の2023年度平均輸送密度は11,239人/日・往復と8,000人/日・往復を超えている。JR東日本から第三セクター鉄道に転換すれば昼間に毎時2本に増発してもおかしくはないだろう。
なお東北本線新白河~郡山間も2023年度の平均輸送密度7,550人/日・往復とかなり近い。平均輸送密度であることを踏まえると須賀川~郡山間では各隣駅間輸送密度が8,000人/日・往復を超えていると目され、こちらも第三セクター化されれば昼間毎時2本に増発する可能性が極めて高い。
福島県内の東北本線はJR東日本から第三セクター鉄道会社に移管した方がはるかに便利になると言えるでしょう。
東北本線松島~小牛田間
東北本線松島~小牛田間の2023年度平均輸送密度は9,246人/日・往復と8,000人/日・往復を超えている。
仙台~松島間の2023年度平均輸送密度が24,941人/日・往復の時点で昼間毎時7両必要なので、毎時3本に増発した方がいいと思うが。
信越本線長岡~新津間
東三条~新津間に留まる可能性はあるものの第三セクター鉄道に転換すれば信越本線長岡~新津間の一部で昼間毎時2本は実現できそうだ。
草津線草津~貴生川間
草津線草津~貴生川間の平均輸送密度は16,122人/日・往復となっている。昼間毎時4両でも座り切れない区間が発生するほどだ。
4両編成毎時1本で運ぼうはさすがに減らしすぎではないか。
せめてもの救いは土休日は昼間毎時2本で維持していることだが、信楽高原鐵道などの第三セクター鉄道や近江鉄道などの私鉄に転換すれば平日も毎時2本の運転を維持するレベルである。
山陽本線・赤穂線網干~相生~播州赤穂間
赤穂線相生~播州赤穂間の2023年度平均輸送密度は8,378人/日・往復となっている。
また山陽本線網干~相生間はほぼ確実に輸送密度8,000人/日・往復を超えており12,000人/日・往復以上と目されている。
第三セクター鉄道や山陽電車などの私鉄であれば昼間毎時2本は確実に運転するレベルである。
博多南線博多~博多南間
博多南線博多~博多南間の2023年度平均輸送密度は15,643人/日・往復となっている。
通勤電車であれば昼間毎時4両が必要で、毎時2本の運転が必須ともいえる。
博多美南駅が所在する那珂川町は博多南線のおかげで新港5万人を突破、那珂川市に昇格したのだから昼間毎時2本運転しませんかJR西日本。
JR会社ごとの傾向
まず普通列車だけで輸送密度8,000人/日・往復以上なのにすべての区間で毎時2本以上運転しているのはJR東海。さすが東海道新幹線マネーとするがシャトルから得た高頻度輸送がほぼ全線にわたって浸透しているだけのことはある。2024年よりついに減便し始めたがそれでも昼間毎時2本は維持しているので第三セクター鉄道に転換してもほとんどメリットはない。
つぎにそもそも普通列車が輸送密度8,000人/日・往復の区間が少ないJR北海道・JR四国。そもそも人口密度が小さいので仕方ない。
あとはJR九州も輸送密度8,000人/日・往復に届いていなくても昼間毎時2本で運転している区間が多々あり、地域交通を維持しようという姿勢が見受けられる。2018年頃より昼間の減便を始めているが、1両当たり20人乗っていない区間の減便であるため輸送密度8,000人/日・往復以上の区間での昼間毎時1本への減便は実施していないなどかなり良心的である。
JR西日本は2018年以降順次減便しているが、昼間毎時1本化は輸送密度9,000人/日・往復以下になってからやっている傾向が強い。もっとも草津線のように近江鉄道に転換した方が良いようなところはあるが、全体的にひどいかと言われるとそうでもない。
またJR西日本はあいの風とやま鉄道への路線移管を進めるなど、自社から切り離し地域鉄道に任せることで利便性を確保しようとしている。できないことは地域に任せるという点ではかなりの策士と言えよう。
圧倒的に地方鉄道のダイヤを組むのがヘタクソなJR東日本
ただ、圧倒的にヘタクソだったのが1社ある。JR東日本である。
ここまでヘタクソとなると、もはややる気がない・無関心と言わざるを得ない。JR東日本の鵜関心ゆえに地元に迷惑が掛かっているのだ。
まあそれでも35年間運賃本体価格を据え置いてはいるが、JR東日本は2025年ごろに運賃を値上げするとしている。いやこんなへたくそなダイヤによる少ない本数で値上げするくらいだったら第三セクター鉄道に移管してもらった方がよっぽどいいんですけど。
JR東日本が赤字を出してまで運営してるんだからというのなら、経営分離して別会社にしてもらってJR東日本の財布を痛まなくした方が列車は増発できるし新駅もできるので利便性が上がるのである。
しかも転換路線を受け入れる第三セクター鉄道会社も、輸送密度が10,000人/日・往復いた方が安定した旅客がいるので会社経営も安定しやすいのである。
JR東日本にはぜひ他県と乗り入れを行う特急列車の運転がない在来線は積極的に第三セクター鉄道に移管してほしい。大丈夫、JR東日本じゃなくていいから。
そもそもJR発足後に新幹線開業に伴う並行在来線の分離を国に陳情して第三セクター鉄道しなの鉄道を成立させたのはJR東日本なのだから、同様に地方鉄道切り離しの働きかけを自民党や官僚に行えばできるだろう?JR東日本は地方鉄道を運営するのに向いていないので、ぜひとも県をまたぐ特急列車を運転していない在来線は積極的に第三セクター鉄道に転換してほしいですね。
結び
旧日本国有鉄道の旅客列車を6分割して継承したJR各社は日本全国に路線網を持っていますが、JR各社によって地方鉄道への対応が大きく異なっておりJR東日本に至ってはもはや無関心と言わざるを得ず、第三セクター鉄道会社に移管すべきともいえるでしょう。
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