グリーン車設定なしの東海道ひかり・こだま登場! 東海道新幹線臨時列車運転(1966年7月~9月夏期間)【週刊新幹線11号】

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日本国有鉄道は1966年、「国鉄監修 交通公社の時刻表」(現 JTB時刻表)1966年7月号にて、東海道新幹線で臨時列車運転を行うと公表した。今回はこれについて見ていく。

前回記事となる1966年3月10日東海道新幹線ダイヤ改正についてはこちら!

1. 臨時列車設定までの背景

前回記事で扱った1966年3月10日ダイヤ改正では、超特急「ひかり」号、特急「こだま」号ともにやや減便傾向となった。

しかし夏の多客期には運転本数が足りなくなることから、運休中「ひかり」として3往復のスジを残すこととなった。しかしそれでも足りないことから、さらに超特急「ひかり」号や特急「こだま」号が増発されることとなった。




2. 運休中「ひかり」活用で増発

今回の1966年7月~9月東海道新幹線臨時列車運転では、夏の繁忙期に合わせ、超特急「ひかり」号、特急「こだま」号双方ともに臨時列車が増発される。

超特急「ひかり」号は、前年の1965年7月~9月の臨時列車運転では6往復設定され時間帯によって定期列車と合わせて毎時2本されていたものの、先の1965年10月1日ダイヤ改正1965年11月1日ダイヤ改正で定期列車が大増発されたことから、臨時列車の増発は前年より縮小し東京発新大阪行き下り1本と新大阪発東京行き上り2本となっている。

設定されるのは東京19時30分発「ひかり303号」新大阪行き、新大阪7時30分発「ひかり302号」東京行き、新大阪19時30分発「ひかり304号」東京行きで、全て1965年11月1日ダイヤ改正で運休中「ひかり」としてスジが設定されていたもので、東京~新大阪間を他の定期「ひかり」と同じ3時間10分運転で運転される。前年の1965年7月~9月の臨時列車運転では定期列車のスジを縫って臨時列車を設定したため、臨時「ひかり」は当時の定期「ひかり」より20分遅い4時間20分運転を実施していたが、今回はその教訓が生かされ臨時列車も定期列車と同じ所要時間で運転されることとなった。運転日は全ての臨時「ひかり」とも共通で、1966年7月30日~8月22日の毎日及び8月26・27日となっている。

編成については当時は全て0系新幹線12両編成によるものであるが、今回増発された臨時「ひかり」は全席指定席であることは定期列車と変わりないが、7号車と8号車に連結している1等車(現在のグリーン車に相当)が利用できず、2等車(現在の普通車に相当)のみ利用可能としており、グリーン車利用不可の「ひかり」号は今回の設定が初となることとなった。当時の特急列車は在来線特急も含めて1等車の連結がステータスであったことから(連結していなければ急行・準急)、当時の国鉄の花形列車であった東海道新幹線超特急「ひかり」号で1等車を利用不可とするのは、かなり大胆な列車設定と言えそうだ。




3. 「こだま」は全線運転で増発し、「ひかり」潰しへ

また今回の1966年7月~9月東海道新幹線臨時列車運転では、特急「こだま」号でも増発を実施する。

特急「こだま」号については、1965年11月1日ダイヤ改正より定期ダイヤに土休日のみ運転の東京~熱海間「こだま」1往復が組み込まれているが、それ以外にも今回の臨時列車運転で東京~新大阪間の臨時「こだま」が運転される。前年の1965年7月~9月の臨時列車運転では定期ダイヤで2時間空いていたところに毎時1本運転になるよう特急「こだま」号が1往復増発されたが、1965年11月1日ダイヤ改正で運転時間内の全時間帯で毎時1本以上の運転が実施され、時間帯によっては毎時2本の定期列車運転となり大幅に増発されたにもかかわらず今回の臨時列車運転では東京発新大阪行き下りが最大3本、新大阪発東京行き上りが最大2本の運転となり、臨時列車のみで見ても増発を実施することとなった。

増発されたのは、下り列車は東京7時05分発「こだま431号」新大阪行き、東京13時20分発「こだま433号」新大阪行き、東京15時05分発「こだま435号」の3本で、上り列車は新大阪7時05分発「こだま432号」東京行き、新大阪12時05分発「こだま434号」東京行きの2本となり、全て東京~新大阪間を4時間で結ぶ。このうち「こだま433号」を除く臨時特急「こだま」号は全て1965年11月1日ダイヤ改正以降のパターンダイヤに組み込まれており、静岡で超特急「ひかり」号を待避するように設定されているが、東京13時20分発臨時「こだま433号」新大阪行きはパターンダイヤ規格外の列車設定となっており、岐阜羽島で14時00分発定期「ひかり25号」新大阪行きの待避を受ける設定となっている。この「こだま433号」は1966年3月10日ダイヤ改正にて1回も運転されず廃止のスジとなった東京13時30分発「ひかり301号」を活用しており、先述の臨時「ひかり」3本の運転日と全く同一であることからも、「ひかり」を「こだま」で代替したということのようだ。

なお、今回運転される臨時「こだま」は、座席設備については2等車(現在の普通車に相当)のみの解放で、東京~新大阪間全区間運転にもかかわらず全席自由席となっている。


4. 結び

今回の1966年7月~9月東海道新幹線臨時列車運転では、史上初の1等車(グリーン車)設定なしの超特急「ひかり」号が設定されたり、「ひかり」潰しの「こだま」が設定されるなど、前年に劣らない大胆な列車設定を行った。今後どのような臨時列車を設定したのかは、次回の【週刊新幹線】でお楽しみに!

出典

国鉄監修 交通公社の時刻表(現:JTB時刻表) 1966年7月号, 日本交通公社出版事務局時刻表編集部, 1966年.(JTB時刻表最新号はこちらから!)
東海道新幹線 写真・時刻表で見る新幹線の昨日・今日・明日, 須田寛 著, JTB出版事務局交通図書編集部, 2000年.

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