GVBは7月22日、プレスリリースにて7月22日に地下鉄52号線を開業したと公表した( The Noord/Zuid route )。今回はこれについて見ていく。
1. 運河跨ぎの新線開業へ
今回の2018年7月22日アムステルダムメトロダイヤ改正では、地下鉄52号線が開業した。
アムステルダムメトロを運営するGVBは路面電車やバス、運河を渡る船なども運転しており、地下鉄は50番台の系統番号が振られ、M50~M54系統までが存在する。今回開業した地下鉄52号線は全線でM52系統が運転される。ただしこれまでの地下鉄路線と異なるのは、他の系統は路面電車のようにいくつかの路線を跨って運転され、同じ線路を3つの系統で共有したりライトレール(専用軌道の路面電車)に乗り入れたりしている。しかし今回新たに設けられたM52系統は地下鉄52号線のみを運転する系統であり、かつ他の系統の乗り入れや線路共用は実施されない、完全独立路線となっている。
今回開業した地下鉄52号線は南駅と北駅を結ぶ9.5km、8駅で、19m級6両編成のM5系は使用される。全線所要時間は15分となっている。南駅ではM50系統とM51系統、アムステルダム中央駅ではオランダ鉄道のほかM51系統、M53系統、M54系統と乗り換えることができる。今回の開業でこれまで道路と船舶しかアクセス手段がなかった北区に、軌道・鉄道が初めて敷設されることとなったほか、運河のアイ湾を跨ぐ初めての地下鉄路線となった。
ダイヤについて見ていくと、平日・土休日も終日6分間隔での運転となっている。初電は南駅行きが平日北駅5時30分発、土曜日は北駅6時30分発、休日は北駅7時30分発となっている。一方北駅行きは平日南駅5時30分発、土曜日は南駅6時30分発、休日は南駅7時30分発となっている。終電は全日共通で南駅行きが北駅24時45分発、北駅行きが南駅24時45分発となっている。
昼夕輸送力比(日本の基準で適正値60〜78%/推奨値66%~75%)は100.0%となっている。他の系統であれば目的地へ直通する列車が少なくなるため昼間の地域輸送性を考慮し平日朝夕ラッシュ時と同じ本数を用意するのはわかるが、今回開業した地下鉄52号線は1系統しかない独立路線であり、他系統の干渉を受けない。また6分間隔というのは非常に恵まれている方で、昼間7分30秒間隔や8分間隔にしても利便性が大きく低下するようには思えない。
2. 地下鉄新線開業で路面電車も再編へ
また今回の2018年7月22日GVBダイヤ改正では、路面電車(トラム)も再編されている。
1系統はアムステルダム中央駅~レイドスプレイン~オスドルプ・レインデン間であったが、発着地を変更しマウダーポート駅~レイドスプレイン~オスドルプ・レインデン間に変更された。代替として11系統が新設され、アムステルダム中央駅~レイドスプレイン~スリナメプレイン間を運転することとなった。
また10系統ウエスターガスファバリエフ~アザートプレイン間が廃止となり、代替系統が用意されることとなった。西側区間のウエスターガスファバリエフ~レイドスプレイン間は5系統のアムステルダム中央駅~レイドスプレイン間を移す形で補い、南側及び東側区間のレイドスプレイン~ウェースベルプレイン~アザートプレイン間は7系統のレイドスプレイン~ウェースベルプレイン~フレーヴォパーク間を振り返る形で代替した。5系統のアムステルダム中央駅~レイドスプレイン間は2系統や1系統から振り替えられた11系統があるが、単独区間の7系統ウェースベルプレイン~フレーヴォパーク間は1系統の系統変更と3系統のマウダーポート駅~フレーヴォパーク間延長で補われることとなった。
さらに9系統アムステルダム中央駅~ディエメンスニエプ間が廃止となり、こちらも代替系統が設定されることとなった。北側のアムステルダム中央駅~スプイ~アレキサンダープレイン間は14系統のスローテメール~スプイ~アレキサンダープレイン間を系統変更することで補い、南側のアレキサンダープレイン~ディエメンスニエプ間は新たに設定された19系統が代替することとなった。この19系統は12系統のアムステルダム中央駅乗り入れに伴いバンベル通り~デクレーク通り~スローテルダイク駅間が廃止となるため、代替としてデクレーク通り~スローテルダイク駅間を運転することとなった。総じて19系統は旧12系統と廃止となった9系統をつなげたような路線となっており、ディエメンスニエプ~アレキサンダープレイン~デクレーク通り~スローテルダイク駅間を結ぶ新系統として設定された。なお、14系統の経路変更に伴う大幅短縮に伴い、スプイ~ウエウタンマーク間、ボスエンロンメル~ボスエンロマプレイン間の路面電車の走行が消滅した。
また、16系統アムステルダム中央駅~ミュージアムプレイン~自由大学病院間の系統が廃止された。これに伴う代替系統は設定されず、既存の24系統がアムステルダム中央駅~ロエロフマートプレイン~自由大学病院間を運転しており6割~7割程度で重複していること、16系統が約半数の区間で地下鉄52号線と重複していることなどが考えられる。
なお、2系統、4系統、13系統、17系統、24系統、26系統は運行系統に変化は見られなかった。これによりアムステルダムトラムは15系統から14系統に再編されることとなった。
また今回の地下鉄52号線の開業でバスは路線網が再編されたが、船はほとんど変更されないこととなった。
3. 結び
今回の2018年7月22日アムステルダムメトロダイヤ改正では、地下鉄52号線が開業し、アイ湾より北側のエリアとアムステルダム中心部を結ぶ鉄道が開業することとなり、利便性が大幅に向上した。また地下鉄新線開業に伴い路面電車(トラム)でもダイヤ改正が実施され、15系統中9系統で再編又は廃止が実施され、一部区間では路面電車の運行が廃止された。
今後オランダの首都アムステルダムの交通網がどのように発展していくのか、見守ってゆきたい。
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