JR東日本では2016年春に南武支線川崎新町浜川崎間に小田栄駅を新設する。それに伴いある一定の需要増が見込めることからダイヤ改正するのではないかと見込まれる。今回は南武支線のダイヤ改正を予測していく。
1. そもそも需要実態は?
南武支線は尻手~浜川崎を結ぶ4.1kmの路線であり、終日2両編成によるワンマン運転を行っている。
実際に乗車してみると最も輸送量が多いのは八丁畷~川崎新町間で、次いで尻手~八丁畷間であり、浜川崎では終日座席はガラガラである。つまり南武支線の現状は川崎新町駅利用者の京急および南武線接続のために存在しているようなものであるのではなかろうか?
2. 南武支線の強敵
南武支線には強豪な競合交通機関がある。それが川崎駅を中心に運行する川崎鶴見臨港バスである。
臨港バスは南武支線沿線からも川崎駅に直結するバスをかなり多頻度で運行しており、川崎新町周辺に関しては平日昼間時毎時10本、平日夕ラッシュ時毎時14本という体制で運行している。それに対して昼間時40分間隔、夕ラッシュ時22分間隔という閑散運転ではなかなか勝てそうもない。ただし運賃については川崎に行くにもそこから乗り換えて横浜や東京に行くにも南武支線を使った方が安いから、現在の利用者は時間があった場合に運賃安さ目当てで利用しているものと思われる。
3. 小田栄駅の周辺は?
小田栄駅周辺にも臨港バスの路線がある。こちらは昼間時毎時8本、平日夕ラッシュ時毎時10本であるが、そのうちの半数は鶴見線の浅野や弁天橋にも向かうことから、通過利用の客もある程度いるはずである。駅周辺にはイトーヨーカドーがあるが、こちらは自動車利用(バス含む)がメインなのだろう。川崎新町と類似の需要携帯であればある程度の需要増加は見込めるが、そこまででもないといわれればそれまでかもしれない。
4. ではダイヤはどうなる
現状の南武支線ダイヤは、01Hと03Hの2運用しか存在しない。終日運用は03Hで、01Hは朝ラッシュ時にしか運用されない。夕ラッシュ時に1運用しかないことが、概ね22分間隔という利用しづらいダイヤを作り出しているのである。
ただ、日中の間隔は詰めようと思えば22分間隔まで詰めることは可能ではある。今回需要が増えることから、昼間時間帯は30分間隔には増発されるのではなかろうか?ただし夕ラッシュ時に増発しようとすると運用を増やさなくてはならなくなるため、格段にコストが上がってしまう。昼間時間帯30分間隔、平日夕ラッシュ時間帯22分間隔でも昼間/平日夕ラッシュ比率は73%であり、一応適正範囲内(60~75%)に入っているため今回のダイヤ改正では夕ラッシュ時は据え置かれるのではないだろうか。
朝ラッシュ時も2運用を詰めようと思えば最短11分間隔も無理ではなさそうである。12分間隔としても現状の毎時4本よりは増発される。
ただ、南武支線は2両編成のままでいくのだろうか?中原電車区にいる電車は南武本線用6両編成がメインで、あとは鶴見線営業所に派出している3両編成がいる。2両編成はワンマン運転ができるというメリットがあるが、小田栄駅も含めてもし3両に増結できるのであれば鶴見線と共通運用にすることが出来る。種車は現在置き換え進行中の南武本線205系がいくらでもある。2016年中は無理だと思われるが、将来的にそこから中間車2両を抜き取り、支線用の2両を海外譲渡用に回せばよいのではなかろうか?
5. 結び
今回の南武支線に新駅が出来ても、近隣には臨港バスの路線が川崎駅に向かって張り巡らせており、運行頻度が圧倒的に多いために多少高くても多くの沿線住民は臨港バスを使い続けるものであると思われる。これらの根本的な解決は川崎アプローチ線であると思われ、バス運転手不足も多少は解消されるしCO2排出量も削減できる。東海道線・京浜東北線への接続がよくなることからJRとしても八丁畷で京急に奪われる利用客を拾い上げるチャンスになるのではなかろうか。
今回の新駅設置がこれからの川崎区内の交通網に大きな影響を与える第一歩になることを願う。
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