南海電鉄は2019年3月6日、プレスリリースにて4月6日に南海本線でダイヤ改正を行うと公表した( 2019年4月6日(土) 南海線ダイヤ改正 )。今回はこれについて見ていく。
2019年3月16日全国一斉ダイヤ改正まとめについてはこちら!
1. ラピート増発へ!
今回の2019年4月6日南海電鉄ダイヤ改正では、2017年1月28日ダイヤ改正以来約2年2か月ぶりに南海本線でダイヤ改正を実施する。
ただ、尾崎駅火災に伴い待避線使用ができない状態が続いていたことから、2018年9月11日より暫定ダイヤが組まれている。
増発されるのは難波6時30分発「ラピートβ21号」関西空港行きと関西空港7時29分発「ラピートβ24号」難波行きの平日1往復となっている。
土休日は朝6時台から概ね毎時2本の特急「ラピート」が設定されているため、平日も同様に1時間ほど特急「ラピート」の運転間隔が開いている。今回のダイヤ改正ではこの1時間程度空いたところに概ね30分間隔となよう1往復増発していることから、一見すると土休日に合わせた形にしたと見える。
しかし今回増発された関西空港7時29分発「ラピートβ24号」難波行きが難波8時19分着であり、かつ前後の列車が泉佐野→天下茶屋ことを考えると、関西空港からの利用促進というより泉北高速線特急「泉北ライナー」のように通勤客の着席サービス要素の方が強そうだ。
このほかにも特急では、昼間を中心に南海本線特急「サザン」のうち上りの和歌山港・和歌山市発難波行きの所要時間が1分短縮することにより、和歌山市→難波間が60分から59分に短縮されたほか、和歌山市発車時刻が毎時00分発及び30分発と分かりやすい時刻設定となった。
2. 平日朝のみ運転の準急行削減へ
また今回の2019年4月6日南海電鉄ダイヤ改正では、平日朝に運転されている準急行の削減を実施する。
削減されるのは羽倉崎7時15分発準急行難波行きで、これに伴う急行や普通車の増発はない。強いて言えば、先述の関西空港7時29分発特急「ラピートβ24号」難波行きと難波到着時刻が6分しか変わらないため、運転要員の増加を防ぐ狙いがあったものと思われる。
南海電鉄での準急行削減は2017年8月26日の南海高野線ダイヤ改正でも実施されているが、泉北高速線和泉中央始発に振り替えられていることから削減は千代田→中百舌鳥間に限られている。もっとも泉北高速線始発になった分泉北高速線始発の区間急行が特急「泉北ライナー」に格上げされ料金不要列車が減便しているわけだが、その分難波発着普通車の2扉車運用を消滅させることで輸送力を増加させている。
ただ今回の準急行削減においては、羽倉崎→堺間の各駅停車区間で運転する前後の普通車は双方ともすでに6両であり増結の余地がないこと、その前を走る普通車2本も4両編成のまま維持されることから、通勤型車両6両の削減につなげたようだ。
これにより、南海本線では6両の車両削減に成功したようだ。
この準急行1本減便に伴い南海本線では最大3分の運転時刻変更を実施することとなった。
3. 空港急行拡大とみさき公園からの撤退で区間急行縮小へ
また今回の2019年4月6日南海電鉄ダイヤ改正では、空港急行の増発を実施するおこととなった。
空港急行は前回の2017年1月28日ダイヤ改正で昼間のみさき公園発着の区間急行を置き換える形で大幅に増発されたが、土休日夕方から夜間にかけて2時間に1本のみ区間急行が存続した。
しかし今回のダイヤ改正では、2時間に1本残った区間急行も空港急行に振り替えられ難波から関西空港へ先着する列車が増えることとなった。
一方、尾崎・みさき公園方面へ行く難波からの先着直通列車はほぼ特急「サザン」のみとなり、それ以外は泉佐野で空港急行と普通車を乗り継ぐ形で利用する必要が生じることとなった。
なお南海電鉄は今回のダイヤ改正直前の2019年3月26日のプレスリリースにて、2020年3月31日を以てみさき公園の運営から撤退すると公表している。このことから南海電鉄がみさき公園を積極的に推す理由は少なくなり、間接的に広告効果のあったみさき公園行きを少なくしても問題ないこと、近年関西空港需要が伸びていることから競合の観点で関西空港直通列車を増やしたいという思惑があったことが背景にあると思われる。
特に関西空港利用者で延びているのが格安航空会社LCCによる路線利用であるから、大阪までの利用も加算運賃がかかる他に幹線運賃適用のJR西日本の関空快速の利用ではなく、安くて両数の多い南海空港急行の方が利用者が多くなっている。
なお空港急行は6両から8両に増結する列車が増えており、概ね15分間隔(毎時4本)で運転される空港急行のうち概ね30分間隔以内(毎時2本強)が8両編成で運転されることとなったようだ。
この今回ダイヤ改正で新たに発生した6両から8両への増結は平日は12往復、土休日は16往復で実施されているが、車両運用に余裕のある昼間を中心に行われており、平日朝ラッシュ時は既にほとんどが8両編成での運転のほか、平日夕ラッシュ時も難波19時12分発空港急行関西空港行きが6両から8両に増結することとなったものの、終日の運用車両数に変化が出る時間帯ではないことから、車両の走行距離を伸ばして保有数を減らしているものと思われる。
4. 結び
今回の2019年4月6日南海電鉄ダイヤ改正では、特急「ラピート」の増発や空港急行の増結や区間急行からの変更など、輸送力増強が図られることとなった。
一方で平日朝の準急行の削減が実施されており、通勤型車両を削減する動きに変わりないようだ。
今後南海電鉄でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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