京王電鉄は2020年1月23日、プレスリリースにて2月22日にダイヤ改正を行うと公表した( 京王線ダイヤ改正を実施します )。今回はこれについて見ていく。
1. 「京王ライナー」増発へ!
今回の2020年2月22日京王電鉄ダイヤ改正では、2019年2月22日京王電鉄ダイヤ改正以来ちょうど1年ぶりにダイヤ改正を実施する。
今回のダイヤ改正では座席指定制列車「京王ライナー」の運転時間拡大に伴い増発を図る。
まずは平日朝。京王八王子6時27分発「京王ライナー4号」新宿行きを増発する。この影響により、京王八王子6時32分発特急新宿行きを準特急新宿行きに格下げすることとなり新宿到着が7時18分から7時21分に繰り下がったほか、京王多摩センター6時40分発特急新宿行きも格下げは行わなかったが新宿到着が7時16分から7時18分に2分繰り下がることとなった。
橋本5時45分発「京王ライナー32号」新宿行きを純増発で設定する。ただ運転枠を確保する関係上高尾山口5時31分発準特急新宿行きを高尾山口5時33分発に2分繰り下げた。また橋本8時26分発「京王ライナー36号」新宿行きも純増発で設定する。
なお土休日朝は大幅に見直し、京王八王子発は8時44分発から7時25分発に、橋本発は橋本7時08分発の1本のみの設定となり、2本の運転から減便した。
次に平日夜間。新宿17時00分発「京王ライナー1号」京王八王子行き及び新宿18時00分発「京王ライナー3号」京王八王子行き、新宿16時40分発「京王ライナー31号」橋本行き、新宿17時40分発「京王ライナー33号」橋本行きの4本を増発し、「京王ライナー」運転開始時間を京王八王子行きで3時間、橋本行きで3時間50分繰り上げることとなった。このうち新宿17時00分発「京王ライナー1号」京王八王子行き及び新宿16時40分発「京王ライナー31号」橋本行きの2本は2020年1月14日~1月31日の平日に臨時増発として運転している。
なお新宿18時00分発の次に20時00分発まで設定がないのは、18時~20時までが一番混雑する時間帯であり列車を設定する車両的余裕がないためであろう。またこの時間帯の特急を下手に準特急に格下げすると混雑が増してしまいかねず、危険である。そう考えると、運転時間を拡大したとはいえ平日夕ラッシュピーク時の「京王ライナー」の増発は今後も難しそうだ。
このほか、平日夜間運転の橋本行き「京王ライナー」は20時台~23時台まで毎時30分発から毎時20分発に変更し、4本で発車時刻が10分繰り上がる。また、土休日夜間は新宿23時00分発「京王ライナー45号」橋本行きを増発することとなった。
2. 快速の増発と区間急行の格下げで快速抜かしの快速登場へ!
今回の2020年2月22日京王電鉄ダイヤ改正では、平日朝ラッシュ時の増発を図る。
早朝は、高幡不動5時18分発各駅停車新宿行きを高尾4時49分発に延長し、高尾→北野間の初電を20分繰り上げる。また北野→高幡不動でも各駅停車を1本増発したことにより京王八王子4時59分発高幡不動から特急新宿行きが京王八王子5時02分発全区間特急新宿行きに格上げし、高尾4時49分発各駅停車新宿行き初電を高幡不動で抜かすこととなった。これにより新宿到着時刻が6時03分から5時41分に22分繰り上がることとなった。
また京王八王子7時48分発急行新宿行きを準特急に格上げし、京王線新宿到着時刻を8時46分から8時42分に4分繰り上げる。
平日朝は橋本8時04分発区間急行本八幡行きを快速京王線新宿行きに格下げ・変更し、調布で準特急新宿行きに連絡するようになった。これにより相模原線沿線からはこの列車の利用で新宿到着が9時04分から8時57分に7分繰り上がることとなった。
また橋本8時04分発の都営新宿線直通から京王線新宿行きの行先変更に伴い京王新線及び都営新宿線への直通列車を引き続き確保のため、つつじが丘8時33分発本八幡行きを新設した。ただこのつつじが丘8時33分発快速本八幡行き、笹塚で3分停車している間に先述の橋本8時04分発快速京王線新宿行きに抜かれるのである。つまり、笹塚で快速が快速に抜かれることになる。そもそも京王線快速の発祥は新宿~つつじが丘間運転の各駅停車の相模原線乗り入れだったのだが、2020年には快速は快速を抜かすほど偉くなったようだ。
また京王八王子8時20分発特急新宿行きが京王八王子8時19分発準特急新宿行きに格下げし新宿到着が9時11分から9時14分に3分繰り下がったほか、京王八王子8時25分発高幡不動より特急新宿行きが特急から準特急に格下げすることとなり、京王線新宿到着時刻が9時18分から9時20分に繰り下がることとなった。
このほか、橋本8時14分発準特急新宿行き(京王多摩センターまで各駅停車)が橋本8時16分発準特急新宿行きとして全区間準特急運転に格上げしたほか、代替として橋本8時21分発各駅停車若葉台行きを増発する。
3. 平日昼間に見直しへ
今回の2020年2月22日京王電鉄ダイヤ改正では、平日昼間の運用見直しを実施する。
平日昼間の高尾山口発着の各駅停車の高幡不動での系統分割がなくなった。これにより平日昼間の6両編成による高尾線運用がなくなる見込みで、最低8両以上となる見込みだ。
一見直通再開と増車を図るので改善ではないかと思うかもしれないが、実は車両運用繰りを減らし高幡不動での折り返しに係る運転要員削減を図ることができる。そう考えると、今回の高尾線各駅停車の再直通化はサービス向上というよりも合理化のようだ。
また平日昼間の相模原線準特急が京王多摩センター~橋本間で各駅に停車することとした。これにより橋本発着の区間急行を京王多摩センター発着に短縮して準特急と連絡を取ることとなった。京王多摩センター~橋本間は確かに昼間毎時6本の運転で足りる輸送量なのだが、2027年のリニア中央新幹線開業により橋本が接続駅となることから、リニア中央新幹線開業後の需要増を見越して残していたと思っていたのだが、開業予定7年前にして減便を図ることとしたようだ。
都営車が2010年以降車両更新と同時に8両から10両への増結を行った結果、相模原線を中心に列車1本あたりの平均輸送力が大きく増えている。東京都交通局では2023年3月までに全ての都営新宿線用車両を10両化するとしており、さらに輸送力が増える。10-000形しかなかった頃は都営車は全車8両でほぼ各駅停車にしかつかず、都営新宿線の急行はほとんどが10両の京王6000系→京王9000系だったのに、いまでは京王の方が8両編成が多くなってしまった。もっとも京王も井の頭線を除く全線全種別で10両運転ができるので、京王も平日朝ラッシュ時の各駅停車の減便と引き換えに全列車10両編成化を行おうと思えばできるはずではあるのだが。
4. 平日夜間も見直しで京王線方面で速達化へ
今回の2020年2月22日京王電鉄ダイヤ改正では、新宿発20時台以降発の列車運転が大幅に変更している。
2019年現在特急を京王八王子行き毎時1本と橋本行き毎時3本、準特急京王八王子行きを毎時5本運転していたが、今回のダイヤ改正より特急橋本行きの毎時3本が全て準特急に格下げし、その分準特急京王八王子行きのうち毎時3本が特急に格上げした。これにより特急は京王八王子行きのみの毎時4本、準特急が京王八王子行き毎時2本と橋本行き毎時3本に再編した。つまり、京王八王子行きの速達性が向上している。
しかもこの平日夜間に運転の準特急橋本行き、調布で特急京王八王子行きに抜かされるのだ。抜かされるんだったら急行でも良いのだが、急行ではいけない理由があったのだろうか。
でも逆に言えば、京王八王子方面は特急に格上げしても「京王ライナー」に乗ってくれるが、橋本行きは準特急に格下げして調布で抜かされるようにならないと乗ってくれないということ。相模原線の「京王ライナー」がただの本数合わせで運転しているようにしか見えない。もっとも2019年大晦日~2020年元日より相模原線で終夜運転をやめているなど祝勝ムードになっているのであるが、もはや京王八王子発着の「京王ライナー」を毎時2本運転にしてJR東日本への競争力を高めた方良いような…
このほか新宿22時43分発準特急京王八王子行き(高幡不動から各駅停車)及び新宿23時07分発準特急京王八王子行き(高幡不動から各駅停車)の2本を廃止することとなった。働き方改革や労働者自身の希望により残業者が減って深夜時間帯の利用者が減っていることが主な要因であろうと思われるのだが、平日朝ラッシュ時ほどではないが混んでいる。せめて減便を1本にとどめることはできなかったのだろうか。
また北野25時02分発各駅停車高尾行き終電を増発し、新宿24時21分発準特急京王八王子行き(高幡不動から各駅停車)から連絡を受けることとなった。これによりめじろ台・高尾などへの終電が新宿24時00分発から24時21分発に21分繰り下がることとなった(なおプレスリリースでは新宿24時22分発としているが、時刻表では新宿24時21分発としているため、プレスリリース作成時から変更したものと思われ)。
なお直後の2020年3月14日JR東日本中央線ダイヤ改正では新宿から八王子・高尾への終電が新宿24時41分発各駅停車高尾行きから新宿24時30分発快速高尾行きに11分繰り上がる。そう考えると今回の京王電鉄ダイヤ改正に伴う高尾線の終電増発はJR中央線にはかなわないものの終電対策としてかなり効果的であると思われる。
なお今回のダイヤ改正では井の頭線ではダイヤ改正を行わないこととなった。
5. 結び
今回の2020年2月22日京王電鉄ダイヤ改正では、座席指定制列車「京王ライナー」の運転時間拡大や平日昼間の高尾線各駅停車の総新宿直通復活など、サービス面での向上が図られた。
しかし、相模原線では平日昼間の準特急の一部各駅停車化と区間急行の減便を図っており、合理化も見て取れる。
今後京王電鉄でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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