京急電鉄は11月1日、プレスリリースにて12月8日にダイヤ改正を行うと公表した( 12月8日(土)京急線ダイヤ変更 早朝横浜始発のエアポート急行を金沢文庫始発に変更しより便利に! )。また京成電鉄は11月1日、プレスリリースにて12月8日にダイヤ改正を行うと公表した( 2018年12月8日(土) 京成線ダイヤ改正を実施します )。さらに東京都交通局は11月1日、プレスリリースにて12月8日に都営浅草線でダイヤ改正を行うと公表した( 都営浅草線のダイヤを改正します。 )。そして北総鉄道は11月1日、プレスリリースにて12月8日にダイヤ改正を行うと公表した( 2018年12月8日(土) 北総線ダイヤ修正を実施します )。さらに相模鉄道は11月9日、プレスリリースにて12月8日にダイヤ改正を行うと公表した( 12月8日(土) 新ダイヤでの運行を開始 )。今回はこれらについて見ていく。
1. 初電繰り上げで利便性向上へ
今回の2018年12月8日京急電鉄ダイヤ改正では、2017年10月28日ダイヤ改正以来約1年1ヶ月ぶりにダイヤ改正を実施する。
今回のダイヤ改正ではエアポート急行の延長により早朝の横浜方面からの羽田空港アクセスが改善する。
今回のダイヤ改正では、平日・土休日ともに横浜5時23分発エアポート急行羽田空港行きを金沢文庫4時59分発に延長し、エアポート急行停車駅各駅からの羽田空港への初列車が6~8分繰り下げられることとなり、利便性が向上することとなった。
そのほか、1分程度の時刻修正が行われ、京成車による三崎口乗り入れが復活するようだ。
2. 普通列車延長で利便性向上へ
また今回の2018年12月8日京成電鉄・北総鉄道ダイヤ改正では、2017年10月28日ダイヤ改正以来約1年1ヶ月ぶりにダイヤ改正を実施する。
今回のダイヤ改正プレスリリースの文章を見る限り、京急電鉄同様一部列車の延長しかないのかともとれるが、時刻表をよく見ていくと細かいながらも多くの点で変更が生じている。
まずは平日の朝から見ていく。プレスリリースにあるようにちはら台6時05分発普通京成津田沼行きと高砂7時10分発普通上野行きがつながり、運転区間をちはら台→上野に拡大した一方で、上野11時21分発高砂行きが10時51分発に繰り上がるほか、高砂6時35分発普通押上行きが減便されることとなった。
平日の夕方以降は多くの列車で変更点がある。
料金不要の特急列車関連では、上野始発の下りの快速特急全3本(上野16時34分発、16時54分発、17時14分発)が成田空港行きから成田行きに短縮され、代替として都営浅草線からの快速3本が成田行きから成田空港行きに延長された。また折返しとなる成田空港18時14分発特急上野行きを佐倉18時25分発快速上野行きに格下げし、短縮することとなった。
また上野17時39分発アクセス特急成田空港行きを押上線経由に振り替え、京急線三崎口16時06分発快特青砥行きが三崎口16時11分発快特成田空港行きに変更、押上よりアクセス特急成田空港行きとして延長、通過駅代替として押上17時47分発普通高砂行きを増発した。これにより平日は上野17時14分快速特急成田行きの次の料金不要列車は18時13分発アクセス特急成田空港行きとなり、上野→青砥間で昼間はおろか平日夕ラッシュ時に差し掛かる59分間に料金不要の優等列車が運転されないこととなった。
快速列車では、先述の快速特急短縮に伴う成田空港行きへの延長のほかに、佐倉17時14分発快速高砂行きが高砂から普通羽田空港行きに変更していたが、押上まで快速運転を拡大した一方で、佐倉18時41分発快速西馬込行きが快速高砂行きに短縮し、高砂より普通西馬込行きに格下げされることとなった。
そのほか普通列車でも変更を実施する。上野20時41分発普通宗吾参道行きが増発されるほか、上野23時46分発普通高砂行きが京成津田沼行きに延長されることとなる。
また高砂16時57分発普通上野行きが減便した一方で、高砂17時25分発普通押上行きと高砂18時55分発普通羽田空港行きが増発されることとなった。
土休日も上野発の快速特急成田空港行きのうち3本が成田行きや芝山千代田行きに短縮・変更となり、代替として押上線からの快速成田行きが成田空港行きに延長されることとなった。
また上野19時28分発アクセス特急成田空港行きが押上線経由に振り替え、京急線三崎口18時07分発快特青砥行きが三崎口18時06分発快特成田空港行きに変更、押上よりアクセス特急成田空港行きとして延長することなった。
どうやら上野発の快速特急成田空港行きの成田行きなどへの短縮や、上野発アクセス特急の京急線三崎口始発化なが実施されているが、平日は上野16時30分発~17時40分発に収まっているし、土休日の運転区間を短縮・変更した快速特急もこの時間帯に収まる。
なぜ特急「スカイライナー」は昼間にも多く運転されているにもかかわらず運転区間短縮が快速特急に限定されたのかというと、特急は佐倉~成田間各駅に停車するため、特急運転時間帯の多くで佐倉~成田間は特急以外の列車を運転しておらず、この時間帯に成田空港発着を成田発着としてしまうと単純に減便となってしまう。芝山千代田発着にするのも芝山鉄道貸し出しの3500系を4両から8両に増結させる必要性が出てくることからのリース料も変更しなくてはならない可能性があるため昼間に行うのは現実的ではない。
しかし快速特急は佐倉~成田間でも通過運転を行うため、快速や普通列車などの各駅に停まる列車が設定される。そのため、快速を成田行きから成田空港行きに延ばせば、輸送力的には保てる。
しかし平日の高砂18時台発以降は、都営浅草線西馬込始発の快速特急が毎時6本程度運転され、約半数の毎時3本程度が成田空港行きとして運転されている。こちらも普通列車の成田行きを延ばして快速特急を短縮することは可能であるが、この都営浅草線からの成田空港行きは今回のダイヤ改正後も継続して設定されることとなった。
なぜか。それは、上野から成田空港に行く料金不要列車を減らし、特急「スカイライナー」誘導を行うためではないだろうか。
上野16時台発は既に毎時3本の特急「スカイライナー」が運転しているし、17時台は平日は上野17時25分発の特急「スカイライナー」が増発されることとなったことから、上野から成田空港へのアクセスは特急「スカイライナー」を利用してほしいということなのだろう。
都営浅草線方面からの成田空港行きを減らすと、2018年現在では料金の必要な列車を設定できないことから純粋にサービス低下となる。そのため、西馬込始発の快速特急については従来通り成田空港行きとして設定されるのだろう。
とはいえ、京成本線特急「イブニングライナー」より遅く上野を出発して早く成田空港に到着する成田空港線アクセス特急が平日2本とも、土休日1本も生き延びている。
この時間帯は成田空港線特急「スカイライナー」がなく、京成本線特急「イブニングライナー」の特急券が410円と格安であること、京成本線経由の運賃は成田空港線経由の運賃と比べて210円安く、実質的な差額が200円しかないことから、京成本線特急「イブニングライナー」は上野・日暮里から成田空港へ行く列車としてはあまり捉えず、成田空港線特急「スカイライナー」のない時間帯の成田空港への速達列車として料金不要のアクセス特急を上野始発で設定しているものと思われる。
そのほか北総鉄道でも時刻修正や運転区間の延長を実施する。
2.1. 上野・千葉中央発着4両普通消滅へ
また今回の2018年12月8日京成電鉄ダイヤ改正では、車両運用についても変更がある。
4両編成は京成本線や金町線・千葉線・千原線など他社と乗り入れを行わない普通列車運行エリアで広く運転されていたが、混雑緩和目的で1972年~1982年に導入された3500系を最後に4両編成の導入を注視し順次6両編成が投入され、普通列車の6両化がすすめられた。
その中で地下駅でホーム延伸を行えなかった博物館動物園駅が1997年に休止し、2010年7月5日ダイヤ改正で金町線高砂駅が高架化したことで朝夕に(平日朝夕ラッシュ時は約10分間隔、土休日朝夕ラッシュ時は約15分間隔で)設定されていた上野発着の4両編成が全て高砂で系統分割し、上野~高砂間の区間運転普通列車で6両や8両による運転が可能となったことからさらに6両編成の普通列車の設定が増えていった。
その後の普通列車は4両編成は金町線でこそ終日運転であったが、その他の路線では6両編成が中心となりラッシュ時を中心に細々と生き残る程度の風前の灯火となっていた。千葉線では平日朝ラッシュ時の3往復、千原線では平日朝ラッシュ時の2往復にまで縮小していたほどだ。
そして今回の2018年12月8日ダイヤ改正では、4両編成の運用が金町線と芝山鉄道直通列車などの送り込み用の京成本線宗吾参道~東成田間のみに限定されることとなり、本線の大部分や千葉線・千原線で4両編成の運転が全廃し、高砂~津田沼~宗吾参道・ちはら台間の普通列車は6両編成に統一され、輸送力増強が図られることとなった。
3. 早朝の増発で利便性向上へ
また今回の2018年12月8日相模鉄道ダイヤ改正では、2017年3月18日ダイヤ改正以来約1年9ヶ月ぶりにダイヤ改正を実施する。
今回のダイヤ改正では、星川駅周辺連続立体化工事の進捗により2018年11月24日に上り線が高架化したため、徐行が解除されることとなった。これにより上り(横浜方面)列車で1分程度所要時間が短縮し、終日に渡り1分程度の時刻変更を実施する。
また早朝は平日・土休日ともに二俣川5時12分発各駅停車横浜行きを増発することとなり、後続の海老名4時50分発急行横浜行きより4分早い5時30分に横浜駅に到着する列車が生まれることとなった。
また、土休日は特急の運転が横浜7時00分発~19時30分発であったが、今回のダイヤ改正で横浜6時30分発特急海老名行きが増発されたことにより、土休日の特急運転開始時間が30分繰り上がることとなった。
なお、この特急設定により横浜6時30分発快速海老名行きは6時31分発湘南台行きに変更し、横浜6時22分発各駅停車湘南台行きが二俣川で特急海老名行きの待ち合わせと快速湘南台行きとの接続を行うこととなったことから、快速海老名行きの特急格上げによる通過駅救済を行うこととなった。
さらにプレスリリースには記載がないが、平日も早朝に増発を実施する。増発されるのは横浜6時18分発急行海老名行きで、この増発で横浜平日6時台発下りは急行と各停が交互に運転されるようになった。
4. 結び
今回の2018年12月8日京成電鉄ダイヤ改正では、4両編成の運用区間縮小により多くのエリアで6両編成が運用されるようになり、輸送力増強を実施することとなった。
一方で、京成電鉄と直通する都営浅草線、北総鉄道、京急電鉄などではダイヤ改正が小幅にとどまったほか、相模鉄道も連続立体交差化の進捗により所要時間が短縮されたものの早朝に1往復増発するにとどまっている。
ただ今回のダイヤ改正が5社1記事で扱うほど変更点が少ないからと言って安定期に入ったというわけでもなく、京成電鉄では2019年秋頃ダイヤ改正でAE形を1編成増備し、上下80本、40往復の設定とし終日20分間隔の運転とする予定があり、相模鉄道では2020年3月に相鉄JR直通線開業により大規模なダイヤ改正を実施する見込みだ。
今後各社でどのようなダイヤ改正を実施するのか、楽しみにしたい。
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