京成電鉄は9月14日、プレスリリースにて2017年10月28日にダイヤ改正を行うと公表した( 2017年10月28日(土) 京成線ダイヤ改正を実施します )。 また北総鉄道も同日、プレスリリースにて2017年10月28日にダイヤ改正を行うと公表した( 北総線ダイヤ修正を実施します )。今回はこれらについて見ていく。
同日実施予定の京急電鉄・都営浅草線ダイヤ改正についてはこちら!
1. 成田空港発着の有料特急増発
今回2017年10月28日ダイヤ改正では、京成電鉄でもダイヤ改正が行われる。有料特急列車については今回も引き続き特急「スカイライナー」の増発が行われる。
今回は特急「スカイライナー」については1往復が増発され、京成上野発14時台〜16時台、成田空港発13時台〜16時台を20分間隔の毎時3本とし、利便性が増大した。
また、夜間の京成本線「イブニングライナー」も、京成成田行きの1本が成田空港行きに延長され、夜間のLCC利用がはかどりそうだ。
2. 成田空港23時台発の都心行き列車を設定
今回のダイヤ改正では、成田空港発23時台についても利用改善が図られることとなった。
これまでは22時49分発アクセス特急京成上野行きが東京方面終電であったが、今回のダイヤ改正によりアクセス特急が11分から下がり成田空港23時ちょうど発となった。京成上野行きから都営浅草線直通(平日は京急線内特急金沢文庫行き最終電車、土休日は西馬込行き)となったが、青砥で本線からくる通勤特急京成上野行きに乗り換えることができ、23時58分に京成上野に到着できる。成田空港23時ちょうど発にはJR東日本の快速エアポート成田もあるが、こちらは千葉を経由するため東京駅0時29分着となっている。東京と上野は多少離れているとはいえ成田空港の発車時刻が同じで山手線の駅に到着する時間が30分も違えば、その後終電までに鉄道で行ける範囲を考えると対東京輸送では京成成田スカイアクセスに軍配があがるのであろう。
またこれまで京成線の最終電車であった23時03分発普通京成津田沼行きは、運転区間を延長し快速京成高砂行きとなる。京成高砂まで延長されたことにより、総武線快速沿線駅では津田沼だけではなく船橋にも行けるようになり、その先総武快速の通過する下総中山(東中山)、本八幡(京成八幡)、小岩にも停車することで快速エアポート成田では直通で行くことのできない各駅もカバーしようとしている。また京成津田沼・京成船橋も成田空港を3分前の23時ちょうどに出発する最終の快速エアポート成田よりも8分~11分早く到着でき、しかも運賃も安い。人口100万弱の千葉市への需要は、成田空港からほぼ直線的に結ぶJR総武線経由快速エアポート成田にはかなわないが、千葉市より手前の習志野・船橋・市川の3市への利用を伸ばしたいところなのだろう。
終点京成高砂では、今回のダイヤ改正にて4分繰り下がった押上線普通浅草橋行き終電に乗り継ぐことができ、東京23区の下町エリアをカバーすることとなったほか、これまで接続を受けることなく発車していた青砥発(ダイヤ改正後は京成高砂始発に延長)浅草橋行き終電の利用客も増加することが予想される。またプレスリリースには記載がないが、この快速京成高砂行きに乗ると京成八幡接続で都営新宿線各停大島行き最終電車に乗り継ぐことができる。この列車はJR東日本の快速エアポート成田・船橋乗り換え総武線緩行本八幡接続では利用できない列車であり、既にJR線から西船橋で接続できる東京メトロ東西線東陽町行き最終電車も考えると江戸川区ほぼ全域が成田空港23時台発の列車で到達できることとなった。
3. 快速の格上げでオフピーク通勤を推進
今回のダイヤ改正では、オフピーク通勤を推進するため、朝6時台に青砥に到着する快速1本を快速特急に格上げする。これにより京成成田基準で12分発車時刻が遅くなるも同じ時間に都心部へ到着することができるようになり、快速特急の運転時間帯が25~29分拡大されることとなった。
また、夜間についても改善が図られる。現状では京成上野発京成成田行き最終電車は23時24分発であるが、京成上野~青砥間で時刻を繰り下げることにより京成上野基準で6分繰り下がり23時30分発となった。都営浅草線・押上線方面からの列車は青砥または京成高砂で接続するため終電時刻は変わらないが、京成上野や日暮里乗り換えからの各線には影響しそうだ。なお、この普通京成成田行き終電の後に京成上野23時56分発普通京成津田沼行き最終電車(京成小岩から先の最終電車)があるが、この最終普通津田沼行きは京成高砂で都営浅草線・押上線から来る通勤特急京成佐倉行きに接続できるので、普通京成成田行き終電を利用して京成上野基準で最終電車時刻が繰り下がるのは、京成大久保・実籾・大和田と大佐倉~京成成田の各駅に限られそうだ。
4. 結び
今回2017年10月28日ダイヤ改正では、これまで成田空港輸送と利用者の多い東京23区内の輸送に主眼を置いてきた京成電鉄が、今回は成田空港輸送改善の裏に隠れてJR東日本との競合を明確にしてきた。この両者の競合が鮮明化したのは2015年12月5日ダイヤ改正における「モーニングライナー」「イブニングライナー」の京成船橋停車化を、2016年3月26日のJR総武線「ホームライナー千葉」の船橋停車化で応戦した辺りからであり、今回も「スカイライナー」対「成田エクスプレス」という東京と成田空港をほぼノンストップで結ぶ輸送より、その間の途中駅での競合が拡大しているように思える。今後2018年3月に予定されるJR東日本千葉支社のダイヤ改正でどのような変化がおとずれるのか、今後京成電鉄はどのようなダイヤ改正を行っていくのか見守ってゆきたい。
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