上海地下鉄は8月15日、プレスリリースにて8月20日に軌道交通5号線でダイヤ改正を行うと公表した( 8月20日、10月20日起5号线先后调整运营方案 )。また上海地下鉄は8月30日、プレスリリースにて8月31日に地下鉄11号線でダイヤ改正を行うと公表した( 8月31日起 11号线早高峰部分区段增能 )。今回はこれらについて見ていく。
1. 本線南延伸に合わせ開業前から準備へ
今回の2018年8月20日上海軌道交通ダイヤ改正では、軌道交通5号線でダイヤ改正を実施する。
軌道交通5号線では本年12月に東川路〜奉賢新城間を開業予定で、現在営業している区間のうち東川路〜閔光開発区間は支線となる。そして12月の本線延伸により、軌道交通5号線本線は6両編成、支線は4両編成になる見込みである。2018年7月現在では全列車が支線直通の4両編成を行っているが、一部編成で車両の増結を行うためまず8月20日ダイヤ改正にて運用数を減らし、余った列車を4両から6両に増結改造工事を行い、10月20日に再びダイヤ改正を行い本線の延伸がなされないまま東川路で運転系統を分割し、本線の6両編成と支線の4両編成に分ける予定だ。
今回のダイヤ改正では概ね減便が実施され、平日朝ラッシュ時は全線で4分30秒間隔であったものが、莘庄~金平路~閔光開発区間の全線運転と莘庄~金平路間の区間運転がそれぞれ9分間隔運転となり、区間運転区間では4分30秒間隔が保たれるものの末端区間では半減することとなった。
また昼間は平日・土休日とも6分間隔であったが、今回のダイヤ改正で土休日昼間のみ5分15秒間隔に短縮され、輸送力が14.2%増加することとなった。一方平日夕ラッシュ時5分間隔から5分15秒間隔に延長し輸送力が4.8%減少したほか、土休日朝夕ラッシュ時は5分間隔となっていたが土休日昼間の運転間隔と同じ5分15秒間隔に統合され、輸送力が4.8%減少した。これにより昼夕輸送力比(日本の基準で適正値60〜78%/推奨値66%~75%)は80.0%から76.2%に変化し、輸送力を適正化したようだ。
2. 朝ラッシュ時の区間運転延長で利便性向上へ
次に今回の2018年8月31日上海地下鉄ダイヤ改正では、2017年6月30日ダイヤ改正以来約1年2か月ぶりに地下鉄11号線でダイヤ改正を実施した。
今回のダイヤ改正では、前回のダイヤ改正で増発された平日朝ラッシュ時の南翔→三林間運転の区間運転列車が南翔→三林→羅山路間に延長され、70運用から73運用に増えた。これにより区間運転列車の走る南翔→三林→羅山路間では平日朝ラッシュ時に約2分間隔で運転されるようになり、三林→羅山路間では3分30秒間隔から約2分間隔に短縮したことで輸送力が75.0%増加した。これにより平日朝ラッシュ時に運転されている花橋始発羅山路行きや嘉定北始発ディズニー行きなどの混雑を分散することができるものと思われる。
ただ、前回記事でも取り上げたが、これ以上の輸送力増強は8両編成化が必須になるものと思われる。2017年12月28日広州地下鉄ダイヤ改正で開業した広州地下鉄13号線は、現状は郊外区間のみの開業ではあるが、将来実施する都心乗り入れに向けて開業当初から8両編成で運転されている。今後既存の設備をいかに拡充できるかがカギとなりそうだ。
なお、この増発に合わせ、逆ラッシュとなる羅山路→三林間でも平日朝ラッシュ時の運転間隔が3分45秒間隔から2分30秒間隔に短縮され、輸送力が50.0%増加した。
3. 結び
今回の2018年8月20日上海地下鉄ダイヤ改正では、軌道交通5号線の延伸に伴う車両運用数の一時的な削減に伴いラッシュ時を中心に減便を実施した一方で、中国の地下鉄で最長路線となる地下鉄11号線では平日朝ラッシュ時の運転系統の延長が実施され、混雑分散に寄与することとなった。上海地下鉄では2018年内に地下鉄2号線の全区間8両乗り入れ化やその他多くの路線でのダイヤ改正が予定されている。
今後上海地下鉄でどのようなダイヤが組まれるのか、楽しみにしたい。
コメント