3路線新規開業とリニア地下鉄延伸で大幅増強! 広州地下鉄ダイヤ改正(2017年12月28日) 广州地铁调图

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広州地下鉄は2017年12月27日、プレスリリースにて12月28日に4路線を開業させたと公表した( 12月28日,广州地铁四条新线同步开通! )。今回はこれについて見ていく。

1. 4路線同時開業

今回の2017年12月28日広州地下鉄ダイヤ改正では、一挙に延伸と市に開業が計4路線で行われることとなった。中国の地下鉄では12月、特に12月25日以降に駆け込むかのように毎年のように新線開業・路線延伸ラッシュが行われているが、2017年12月の同時開業数としては、12月26日の3路線同時開業の武漢地下鉄を押さえ、広州地下鉄の4路線がトップとなった。

今回のダイヤ改正で開業したのは地下鉄4号線の延伸と地下鉄9号線、地下鉄13号線、地下鉄14号線知識城支線の新規開業となっている。それでは今回の2017年12月28日ダイヤ改正にて新たに開業した4路線について見ていく。

1.1. リニア地下鉄4号線延伸

まず今回の2017年12月28日広州地下鉄ダイヤ改正で延伸したのは地下鉄4号線。黄村~金洲間を結ぶ全長46.39km、16駅の路線であったが、今回金洲から南に延伸し、南沙区内の金洲~南沙客運港間の9.86km、6駅間が開業し、全長56.25km、23駅の路線に拡大した。

なお、路線延伸と同時に1駅増えているのは、東涌~黄閣バスターミナル間に高速列車CRHのみが停まる中国鉄路広深港高速線に乗り換えられる慶盛駅を開業したためである。全線所要時間は南行き(南沙客運港方面)が1時間08分、北行き(黄村方面)が1時間09分となっている。

広州地下鉄4号線は地下鉄5号線や地下鉄6号線と共に日本のリニア地下鉄技術を採用した路線で、車両も16m級4両編成と日本のOsaka Metro長堀鶴見緑地線や福岡市営地下鉄七隈線同様となっている。今回の延伸で新型車両L5形を27編成導入したことで、既存のL1形30編成から57編成に増備することとなった。

運転間隔は金洲発着列車をそのまま南沙客運港発着に延ばした形となっている。平日朝ラッシュ時は黄村~新造間で3分30秒間隔、新造~金洲~南沙客運港間で7分間隔で運転され、2本に1本が新造で折り返す。平日夕ラッシュ時は黄村~新造間で4分30秒間隔、新造~金洲~南沙客運港間で4分30秒間隔と9分間隔が交互に運転される平均6分45秒間隔で運転され、3本に1本が新造で折り返す。平日昼間は黄村~新造間で5分間隔、新造~金洲~南沙客運港間で5分間隔と10分間隔が交互に運転される平均7分30秒間隔で運転され、3本に1本が新造で折り返す。土休日昼間は黄村~新造間で4分間隔、新造~金洲~南沙客運港間で4分間隔と8分間隔が交互に運転される平均6分間隔で運転され、3本に1本が新造で折り返す。昼夕輸送力比(日本の基準で適正値60〜78%/推奨値66%~75%)を計算すると全線で90.0%となっており、昼間が空いているか平日夕ラッシュ時が混んでいるかのどちらかになる。少なくとも今回の新線開業区間を含む新造~金洲~南沙客運港間では、1時間当たりの運転本数が平日昼間<平日朝ラッシュ時<平日夕ラッシュ時<土休日昼間となっていることから、平日夕ラッシュ時や土休日昼間は地域輸送性を考慮した運転間隔になっており、空席が多いものと思われる。

1.2. 中国鉄路とニアミス?地下鉄9号線開業

また今回の2017年12月28日広州地下鉄ダイヤ改正では、地下鉄9号線が新たに開業した。

地下鉄9号線は高増~広州北駅~飛鵝嶺間を結ぶ20.1km、10駅(開業当時)に及ぶ路線であり、高増を除き全駅が花都区に所在する。花都区はこれまで地下鉄3号線の空港北駅及び空港南駅しかなかったので、花都区中心部を走る初の地下鉄ということになる。最高速度は120km/hと郊外路線並みで、全線運転時間は25分となっている。車両は地下鉄3号線と共通運用の6両編成B型車(京急・阪急と同じ車両サイズ)の車両を用いる。今回の開業に合わせ、B5形を11編成導入した。

東の終点となる高増は今回の地下鉄9号線開業に合わせ地下鉄3号線との交点に作られた新駅で、日本でいう東京メトロ(当時の営団地下鉄)銀座線上に、地下鉄南北線が延伸開業したために溜池山王を設置したようなものである。そして広州北駅で高速列車CRHを含む中国鉄路各線と乗り換えられると思いきや、広州北駅では清遠西まで結ぶ広清城際線を建設中であり、地下鉄広州北駅と中国鉄路広州北駅を結ぶ道路がないのだ。そのため、現時点では中国鉄路広州北駅に接続するためには1つ西寄りの地下鉄9号線花城路を利用し徒歩連絡する必要がある。

運転間隔は終日6分48秒間隔となっており、昼夕輸送力比(日本の基準で適正値60〜78%/推奨値66%~75%)は100.0%となっている。高増で接続する地下鉄3号線が昼間でも5分間隔運転なので、そこまで運転間隔はあっていないが輸送量としてはラッシュ時は適切だと思われるし、昼間も地域輸送性御考えているのであろう。

初電は高増発飛鵝嶺行きが高増6時06分発、飛鵝嶺発高増行きが飛鵝嶺6時00分発となっている。終電は高増発飛鵝嶺行きが高増23時15分発、飛鵝嶺発高増行きが飛鵝嶺22時30分発となっている。

1.3. 東西の新しい幹線、地下鉄13号線開業

また今回の2017年12月28日広州地下鉄ダイヤ改正では、地下鉄13号線が新たに開業した。

地下鉄13号線は将来的に広州市内を東西に延びる路線として開業する予定で、計画当初はリニア地下鉄4両編成が採用される計画であった。しかし既に開業しているリニア地下鉄6両編成の地下鉄5号線が混雑が激しいことから、バイパス路線として建設されることとなり、車両サイズはA型車(JR北海道・近鉄・南海と同じ車両サイズ)となるほか、今回の地下鉄13号線部分開業より8両編成のA7形で運転されている。中国の地下鉄は車両サイズこそA型車またはB型車と大きく2種類があるが、原則6両編成で運転されており、8両編成での運転は上海地下鉄2号線や上海地下鉄1号線など相当需要の多い路線でしか実施されておらず、首都北京ですら実施されていない。しかも上海地下鉄で8両編成で運転されている両線は19m級のB型車であり、一回り小さい。しかし今回開業した広州地下鉄13号線は21m級のA型車であり、香港を除く中国の地下鉄史上1編成当たりの輸送力最大を誇る

地下鉄13号線は東西を結ぶ路線として建設中であるが、広州市街地で工事が難航し、全線開業は2023年を見込んでいる。その中でも今回の2017年12月28日ダイヤ改正で部分開業したのは、魚珠~新沙間の28.1km、11駅に及ぶ路線で、西の終点魚珠ではリニア地下鉄5号線と乗り換えることができる。最高速度は100km/hで、全線所要時間は30分となっている。今回の開業で増城区に初めて地下鉄が開業することとなった。

運転間隔は終日6~7分間隔となっており、昼夕輸送力比(日本の基準で適正値60〜78%/推奨値66%~75%)は100.0%となっている。魚珠で接続するリニア地下鉄5号線が平日昼間で4分間隔、土休日昼間で3分間隔であることから、運転頻度としては適切なものと思われる。こちらも昼間空席が目立っているものと思われるが、地域輸送性を考慮したのだろう。

初電は魚珠発新沙行きが魚珠6時15分発、新沙発魚珠行きが新沙6時00分発となっている。終電は魚珠発新沙行きが魚珠22時50分発、新沙発魚珠行きが新沙22時30分発となっている。

また今回の2017年12月28日広州地下鉄ダイヤ改正では、地下鉄14号線知識城支線が新たに開業した。

地下鉄14号線はY字に延びる路線として建設されているが、そのうち支線となる知識城支線が今回のダイヤ改正で先行開業することとなった。地下鉄14号線は広州国鉄駅から北東方向に延びる計画であるが、今回開業した知識城支線は新和から南東方向へ分岐し、鎮龍に至る路線となっている。しかしこの間には接続する鉄道路線が一切存在せず、2017年12月30日に開業した北京地下鉄S1号線同様孤立路線となっている。この孤立状態は2018年12月の地下鉄14号線本線の嘉禾望崗~新和~東風間開業により解消される見通しだ。

今回開業した地下鉄14号線知識城支線は新和~鎮龍間の22.0km、10駅に及ぶ路線で、新和(白雲区)を除き全駅が黄埔区に所在する。最高速度120km/hで全線所要時間は24分となっている。車両は6両編成B型車(京急・阪急と同じ車両サイズ)のB8形を用い、今回の地下鉄14号線知識城支線開業に合わせ30編成が導入されたが、この6両編成B型車は2018年12月開業の鎮龍で接続する地下鉄21号線用に使用される車両で、開業前に先行利用している形となる。そのため2018年12月の地下鉄21号線開業及び地下鉄14号線本線開業以降は地下鉄14号線用8両編成B型車が使用される予定となっている。

運転間隔は終日10分間隔で運転され、昼夕輸送力比(日本の基準で適正値60〜78%/推奨値66%~75%)は100.0%となっている。こちらも地域輸送性を考慮し昼間でも10分間隔をキープしているのであろう。

初電は新和発鎮龍行きが新和6時10分発、鎮龍発新和行きが鎮龍6時00分発となっている。終電は新和発鎮龍行きが新和22時10分発、鎮龍発新和行きが鎮龍22時00分発となっている。


2. 結び

今回の2017年12月28日広州地下鉄ダイヤ改正では、リニア地下鉄4号線の延伸と地下鉄9号線、地下鉄13号線、地下鉄14号線知識城支線の3線新規開業が同時に行われた。今後広州地下鉄では他の中国の地下鉄同様さらなる路線開業が予定されており、それに伴い増発も実施される見込みだ。またリニア地下鉄4号線で今回開業した慶盛駅で連絡する広深港高速線は2018年9月23日に香港・西九龍駅まで全線開業する予定で、深圳のみならず香港方面への利用がはかどることから需要増加が見込まれる。

今後、中国国内で上海、北京に次ぐ2,000万人の都市圏規模を頬る広州都市圏の近距離輸送を一手に担う広州地下鉄が、どのようなダイヤを組んでいくのか、見守ってゆきたい。

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