JR東日本八王子支社は2019年12月13日、プレスリリースにて2020年3月14日にダイヤ改正を行うと公表した( 2020年3月ダイヤ改正について )。今回はこのうち中央線について見ていく。
1. 東京発着中央線各駅停車の廃止へ
今回の2020年3月14日JR東日本八王子支社ダイヤ改正では、中央線各駅停車の東京乗り入れを廃止する。
中央線の各駅停車は原則総武線と直通し黄色の電車で運行しているが、早朝・深夜に限り東京発着の各駅停車としてオレンジ色の電車での運行を行っている。
しかしホームドア設置に伴いドア位置の異なる6両編成と4両編成を併結するE233系0番台のうち青編成の運転ができなくなることから、2020年3月14日ダイヤ改正より中央線各駅停車と中央線快速の完全な系統分離を実施し、東京や三鷹以西に乗り入れるのは快速以上のみとなり各駅停車は昼間に運転している総武線千葉~中央線三鷹間の運転に終始することとし、東京乗り入れを廃止することとなった。また総武線各駅停車の御茶ノ水折返しも廃止となり、全列車が中野・三鷹方面に直通することとなった。
当初は中央線快速のグリーン車を2020年3月ダイヤ改正より設置するはずだったが、御茶ノ水駅改良工事が終わらず、未だに導入に至っていない。当初の予定であれば同時に行いたかったのだろうが、ダイヤ改正だけ先行して行ってしまった感はある。
それでは今回のダイヤ改正で中央線がどのように変わるのか、見ていこう。
2. 中央線快速の運転時間拡大へ
また今回の2020年3月14日JR東日本八王子支社ダイヤ改正では、中央線快速の運転時間帯を拡大する。
平日早朝は高尾5時05分発快速東京行き(東京6時18分着)が中央線快速一番列車であったが、今回のダイヤ改正より武蔵小金井4時33分発快速東京行き(東京5時11分着)が快速一番列車となり、1時間以上快速運転時間帯の開始が繰り上がる。
東京24時00分発中央特快高尾行きと新宿24時16分始発快速高尾行きが中央線の最終の快速電車であるが、今回のダイヤ改正より東京24時35分発快速武蔵小金井行きが最終の快速電車となり、東京基準で35分、新宿基準で34分快速運転時間帯の終了が繰り下がる。
これらの快速運転の拡大は、三鷹以西から運転する東京発着のオレンジ色の電車を各駅停車を快速に格上げすることで行う。一方黄色い電車の三鷹~立川の運転も中止するので、立川まで直通する黄色い電車はオレンジ色のE233系に置き換え快速に格上げすることが考えられるが、快速運転時間帯に運転している千葉方面からの黄色い電車の各駅停車武蔵小金井行きはそのまま三鷹行きに短縮して三鷹~武蔵小金井間は回送にするか三鷹または中野入庫にするのだろう。
このため、中央線の東京発着列車の運転時間帯が縮小することとなった。終電は東京24時35分発各駅停車三鷹行きから東京24時35分発快速武蔵小金井行きに格上げし延長したため変わりなく使えるどころか利便性が向上しているが、初電は中野4時25分発各駅停車東京行き(東京4時51分着)から武蔵小金井4時33分発快速東京行き(東京5時11分着)に20分繰り下がることとなった。
東京メトロ銀座線の渋谷駅改良工事に伴い早朝・深夜に外苑前が利用できなくなるような利用できない駅ができるわけではないが、早朝・深夜に中央線を利用して神田・東京に行くには、秋葉原で山手線か京浜東北線に乗り換える必要が生じることとなった。
3. 初電繰り下げと終電繰り上げへ
また今回の2020年3月14日JR東日本八王子支社ダイヤ改正では、初電繰り下げと終電繰り上げを実施する。
中野4時25分発各駅停車東京行きを千葉行きに変更するとしているが、7人掛けの座席にせいぜい2人しか座っていないほどの空気輸送なので後続の中野4時30分発各駅停車千葉行きを廃止する可能性が高い。
また三鷹4時32分発各駅停車東京行きを三鷹4時35分発各駅停車千葉行きに変更して三鷹→中野間の初電を3分繰り下げるが、この時刻繰り下げは後続の武蔵小金井4時33分発各駅停車東京行きの快速格上げに伴う快速通過駅の救済は行わないことを意味している。このこともあり、武蔵小金井4時33分発各駅停車東京行きは御茶ノ水で5時18分発各駅停車千葉行きに連絡するが、この千葉行きにつながる列車が三鷹4時35分発の初電として設定することとなっている(ただ武蔵小金井発東京行き初電が各駅停車から快速に格上げすることにより、御茶ノ水で接続する千葉方面の電車は同じ電車に乗り継げるので大きな問題ではないのだが)。
2019年現在、新宿から高尾への終電は新宿24時41分発各駅停車高尾行きだが、今回のダイヤ改正より新宿24時30分発快速高尾行きに11分繰り上がってしまった。国分寺~豊田の各駅であればその後に新宿24時40分発快速豊田行きを運転するので新宿発時点で終電の繰り上げは1分で済んでいるのだが(なお東京発時点では終電が5分繰り下がる)、八王子・西八王子・高尾の3駅は新宿からの終電が11分繰り上がるのである。
ちなみに京王線の終電は新宿24時34分発特急京王八王子行きである。2019年現在ではJR中央線の方が八王子までの終電が7分遅かったが、今回のダイヤ改正よりJR中央線の終電繰り上げによりJR中央線の方が終電が4分早くなることとなった。つまり新宿から八王子への終電はJR中央線より京王線の方が遅くなるのである。
運転系統が簡素化する方が分かりやすいので中央線各駅停車と快速以上の完全分離はむしろもっと早くやるべきだったとは思う。また、終電間際の速達列車の種別格上げにより、遠距離利用の所要時間を短縮し乗車駅での終電を変えず末端部で終電を繰り上げるのは利便性向上も図られるので策としては有りなのだが、乗車駅での終電を11分繰り上げるのはさすがに違うと思うけどなぁ…せめて東京24時25分発快速豊田行きを快速八王子行きとして設定して八王子から豊田まで入庫回送するのではいけないのだろうか…
なお、この終電繰り上げにより中央線最終列車の高尾到着時刻は25時37分着から25時22分着に繰り上がり、日本一遅い終電の到着時刻タイから陥落することとなった(ちなみに高崎線上野23時46分発普通高崎行き最終列車の高崎25時37分着は変わらず、単独トップになる模様)。
このほか、東京23時41分発各駅停車青梅行き終電は快速格上げが確実なことから、終電が繰り下がる見込みだ。また、立川方面に向かう各駅停車は快速に格上げする可能性が高いことから快速列車が増発するほか、東京23時45分発中央特快高尾行きも増発する。終電では京王に負けているが、それまでの利便性で勝りたいようだ。
また平日の快速と土休日の快速では停車駅が異なるため、中野以西ではさらに最終が繰り上がる可能性が高いものと思われる。
4. 結び
今回の2020年3月14日JR東日本八王子支社ダイヤ改正では、中央線各駅停車の東京発着廃止と総武線各駅停車の御茶ノ水発着廃止に伴う早朝深夜の直通化が図られる。
快速の運転拡大が図られるものの、東京発着の運転時間帯が少なくなるほか、初電繰り下げや終電繰り上げも実施する。
今後JR東日本でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守って行きたい。
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