東京メトロは18日、日比谷線、東西線、千代田線、有楽町線、半蔵門線、副都心線で2016年3月26日にダイヤ改正を行うと公表した( http://www.tokyometro.jp/news/2015/article_pdf/metroNews20151218_102.pdf )。今回は副都心線のダイヤ改正およびその直通先ついて見ていく。
1. Fライナー登場!
今回副都心線で大きく変わる点は、東急東横線とみなとみらい線、東京メトロ副都心線、西武池袋線、東武東上線でそれぞれ種別名称が異なっていた列車を「Fライナー」に統一することである( http://www.tokyometro.jp/news/2015/article_pdf/metroNews20151218_g41.pdf )。
これにより「特急」「急行」「快速急行」「普通」というバラバラの種別名称を用い、「東横線内は特急」「東上線内は普通」などの表示やアナウンスを行う煩わしさや分かりにくさを解消することができる。車両側の対応はすべての10両編成電車がLEDになっているため労力はあまり必要とはしなかったものと思われるが、これを実現するために各社ともかなりの労力があったとみられる。今回はこれについてもみていく。
1.1 「東横特急」の愛称に幕を閉じる東横線
東急東横線は2001年の特急運行開始以来、「東横特急」の名称を使用してきた。
運行開始当初は渋谷~桜木町間の運行で、渋谷~横浜間を27分で結んでいた。2006年には元住吉駅付近改良工事が終わり、同区間は25分に短縮される。しかしその後2013年に渋谷駅が地下に移設されたことに伴い速度制限がかかり、現在では26分に延び、サザエさんによる最速25分をアピールする広告からのるるんの湘南新宿ラインより運行本数が多くて寄り道するところが多いことを謳うアピールへと変わった。2013年の渋谷駅地下化および副都心線との直通運転開始により「東横特急」を大々的に推す広告はあまり見受けられなくなったが、今でも渋谷駅と横浜駅発車時点で「本日も東横特急をご利用いただき、ありがとうございます」というアナウンスは流れる。これもFライナー登場により分かりずらいことからこの表現も消滅することになると思われる。
1.2 臨時快速西武球場前行きはFライナーか快速か
西武鉄道では日中に副都心線直通の快速急行を運行している。
この列車は2013年の東急東横線との直通運転開始によって設定されたもので、池袋発着の快速急行では停車しない練馬に停車している。このことから西武線内だけ見ても練馬に停まる停まらないで注意喚起が必要であるから、これがFライナーとなれば池袋発着の快速急行とも容易に区別が出来る。
しかしここで問題になるのが、快速急行小手指行きが西武ドームでの野球開催日に快速西武球場前行きになることである。西武線内で快速急行だからこそFライナーの呼称が用いられているのであって、快速になったらプレスの定義から外れてしまう。ただ、この臨時の行き先と種別変更のためだけにわざわざ東急東横線と東京メトロ副都心線でその日に限ってFライナーの呼称をやめ「副都心線内は急行」などの案内をするのか、疑問に残るところである。
1.3 Fライナーのために副都心線との直通を普通から急行に切り替える東上線
今回のFライナーのプレスから、東武東上線から副都心線に直通する急行が日中毎時2本運行することになった。
これはFライナーが速達系統の愛称として使用するにあたり、東武東上線が各駅に止まるのではまずいという判断が下ったのだろうか?いずれにせよFライナーは東武東上線では急行運転することから、新宿や渋谷、横浜へのアクセスは時間短縮が見込まれる。ただ現状でも和光市で対面乗り換えできることから、果たしてそれほどの効果があるかと言われると疑問に残る。
ただここで1つ問題点がある。それは、東上線にはすでにTJライナーがあるということだ。TJライナーは着席料金が必要な列車で、今回のダイヤ改正で夜間の増発や朝にも運行されることが決まっている。TJライナーは東上線の集客戦略であるが、今回同じライナーを名乗るFライナーはあくまで急行のため、料金は不要である。これは時間帯がずれているのが不幸中の幸いだと思うが、しっかり周知させる必要があるのではないだろうか?
2. 副都心線の急行は平日も明治神宮前に停車化
今回のダイヤ改正から副都心線の急行は平日も含め明治神宮前<原宿>に停車することになる。
現状日中の急行はだいたい座れるし多少空席もあるから問題ないと思われる。ただこれに伴い新宿三丁目発着の各停がさらに空気輸送が増すことは否めない。この急行の明治神宮前停車化によって通勤時間帯の急行は西武池袋線直通も含めて全て通勤急行になり、通勤急行が明治神宮前に停まることはない。
3. 結び
今回副都心線については、ダイヤ改正そのものは小幅なものとなったものの統一名称「Fライナー」の呼称の使用は画期的だと思われる。日本特有の話であるが、私鉄で儲けが出る国は世界で日本くらいしかなく、直通運転により場所により路線が変わる、運賃も会社ごとに別計算である(諸外国では地下鉄と国鉄しかないためせいぜい2つの運賃であるし、ソウルでは国鉄、地下鉄、第三セクター関わらずKTXを除く全ての路線が通しの運賃制度である)、路線図も各社ごとに書くので首都圏全体の路線図をどこの会社も配ってくれないなどの問題がある。運賃の問題の解決は不可能かと思われるか、統一路線愛称の設定や統一路線図の配布など、できるものもある。今回のFライナーの設定に際し、このような外国人を含めた利用者にとってわかりやすい鉄道を目指して欲しいと思う。
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