東急電鉄、西武鉄道、東京メトロ、横浜高速鉄道は2017年春より座席指定制のライナー列車を導入することを公表した( http://www.tokyu.co.jp/file/160616-1.pdf )。今回はこれについてダイヤ改正予測を立てることとする。
1. 4社初のライナー列車
今回の2017年3月ダイヤ改正において西武鉄道が40000系を導入する( http://www.seibu-group.co.jp/railways/news/news-release/2016/__icsFiles/afieldfile/2016/09/08/20160908_40000keikansei.pdf )。
2020年春までに8編成が導入され、一部はクロス・ロングシートを転換可能な構造とする。この列車を用い、平日は西武池袋線~東京メトロ有楽町線、土休日は西武秩父線~東京メトロ副都心線~東急東横線~横浜高速みなとみらい線にて運行する。座席指定列車は西武のみで車両を導入するため、東京メトロや東急は片乗り入れ状態となる。平日は朝は西武池袋線→有楽町線、夕方は有楽町線→西武池袋線のように運行するものと思われるが、土休日は西武秩父線まで直通すると書かれている。つまり、西武秩父までの定期直通列車が東京メトロ・東急からできるということを意味している。今回はそのダイヤ予測を立てる。
2. 平日のダイヤ予測
平日の運行は、先述した通り朝は西武池袋線→有楽町線、夕方は有楽町線→西武池袋線で運行されるものと思われる。
これを、現在小田急小田原線・東京メトロ千代田線で運行している「メトロさがみ」「メトロはこね」で、これに合わせれば朝は1本~せいぜい3本、夕方は3本~5本程度だと思われる。朝に関しては小田急小田原線よりも線路容量に余裕があるため、3本程度までなら設定可能と思われる。将来的に増備され8編成あれば予備を含めても5本は活用できるので、東武東上線のTJライナーの送り込みのための上り快速急行のように座席を進行方向に対して横向きにして送り込めばよい。
2.1. 平日の停車駅予測
ここで平日の停車駅を予測する。
「メトロホームウェイ」設定時は、ロマンスカーの停車駅ではなかった成城学園前駅に新規停車することとなった。今回も対池袋では料金をとるほどの需要は見込めないが、対有楽町線であれば見込める駅もある。西武池袋線でいうと、快速急行以下すべてが停車するひばりヶ丘駅や石神井公園駅、ひばりヶ丘や石神井公園より需要が高いのに快速が通過するため朝ラッシュ時の地下鉄直通が減る大泉学園駅などが挙げられる。3駅停めてしまうと増やしすぎではあるが、この3駅が有力ではないかと思われる。その先の停車駅は所沢、入間市、飯能なのは特急レッドアローと変わらないのであろうし、練馬や全列車停車の新桜台はもちろん通過であろう。有楽町線側は千代田線同様絞られると思われ、小竹向原や池袋を通過扱いし、飯田橋、永田町、有楽町、豊洲、新木場などが挙げられる。この中でも豊洲と新木場は臨時特急ロマンスカー「ベイリゾート」の停車実績があり、ライナー券の発券設備は一部既にある。これらの予測をもとに、平日の西武座席指定制ライナーの停車駅を考えると、
停車駅:飯能、入間市、所沢、大泉学園、飯田橋、永田町、有楽町、豊洲、新木場
が最有力だと思われる。夕ラッシュ時はこれに加えてひばりヶ丘や車両基地目的で小手指も停車できるものと思われる。
3. 土休日のダイヤ予測
次に、土休日について見ていく。
片道2時間16分のため、1時間毎の運行でも6運用となり、西武秩父~元町中華街間の設定は可能なようだ。しかし、西武秩父には既にレッドアローがあり西武鉄道自体の経営を圧迫しかねないこともあり、終日の設定にはならないものだと思われる。また東横線の線路容量の問題、ドーム臨時列車を出すための運用を作る可能性があることなどが挙げられる。そのため、土休日の設定は朝夕に限られ、池袋発着の快速急行と交互運行にして土休日は快速急行の停車駅に合わせる可能性がある。東上線では2015年のFライナー導入時に地下鉄直通の東上線快速急行ができた時は東武池袋発の急行を準急3本に置き換え、和光市で地下鉄からの快速急行と接続させる形をとった。そのため、今回も西武池袋発急行の準急格下げが土休日の朝に行われる可能性があるものと思われる。
停車駅についても考察が分かれ、飯能~西武秩父間で普通列車として運行されるのであれば各駅停車となるだろうし、全区間整理券が必要であれば通過運転を行うだろう。運行についても朝に元町中華街→西武秩父、夕に西武秩父→元町中華街の運行はほぼ確定的であるが、朝の元町中華街行き、夕方の西武線方面行きが将来的に実現される可能性も五分五分であり、2017年3月では起こらないものと思われる。
そこで、今回は2017年3月に実施が濃厚な朝に元町中華街→西武秩父、夕に西武秩父→元町中華街の運行に絞って見ていく。
3.1. 土休日の時刻予測
今回の列車を設けるのに支障となるのが、東急東横線の列車密度の高さである。
少ない待避設備では優等列車の運行が毎時9本にまで抑えられてしまっている。東急電鉄も祐天寺に上り(渋谷方面)待避線を設置する工事を行っているが、今回この工事も2017年3月に完了するものの、待避としての使用は原則朝ラッシュ時とライナーのみとなると思われる。それゆえ、座席指定制ライナーについては東横特急より少ない停車駅で、所要時間を短く運行できるということになる。
現行のダ土休日ダイヤで優等列車が毎時8本設定されていない時間帯を見ると、上り朝では渋谷着6時台、7時台、8時台、下り夜では渋谷発19時台以降となっている。この時間帯が今回新設される座席指定ライナーの設定時間帯となりそうだ。東上線の地下鉄著直通快速急行は、渋谷発6時台もあるから、朝夕2~3本ずつという設定になるのではなかろうか。
3.2. 土休日の停車駅予測
次に土休日の停車駅予測に入る。平日と異なり、秩父への観光向けであることから停車駅はかなり絞られる可能性がある。全区間で座席指定が必要となると、西武線内であれば車掌による検札で対応する可能性もあるが、他社では発券端末を設置する駅を減らすために停車駅を減らす可能性が高い。そのため、停車駅は次のように限られるものと思われる。
みなとみらい線内停車駅:元町中華街、みなとみらい、横浜
東横線内停車駅:横浜、菊名、武蔵小杉、自由が丘、渋谷
副都心線内停車駅:渋谷、新宿三丁目
西武線内停車駅:所沢、入間市、飯能、横瀬、西武秩父(飯能~西武秩父間は各駅停車となる可能性あり)
東横線内ではこれ以上に停車駅が絞られたり、西武線内ではさらに停車駅を増やす可能性があるが、土休日の列車設定はレッドアローの地下鉄直通という感覚で組めばこのようになるものと思われる。
4. 結び
このダイヤ改正は今回挙げた4社直通座席指定ライナーの他に、東横線祐天寺駅待避線増設による朝の優等列車増発も見込まれ、2017年3月ダイヤ改正の一つの目玉になることは間違いない。かつてはライバルだった東急と西武が今後どのようなダイヤを組んでいくのか期待したい。
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