JR北海道では2017年3月17日、プレスリリースにて4月1日より非電化の石北本線に臨時快速列車を運行すると公表した( https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2017/170317-1.pdf )。今回はこれについて見ていく。
1. 気動車列車ここにきて増発
JR北海道は2016年3月26日には普通気動車を10両削減するために、2017年3月4日には特急気動車を削減するために減量ダイヤ改正を実施した。
電車に関しては新幹線・特急(カムイ・ライラック)・普通列車(はこだてライナーなど)ともに増発の様相ではあるが、気動車は老朽化を理由に2年減便し続けてきた。石北本線も特急「オホーツク」4本中2本が旭川発着に短縮され、特急「ライラック」と接続を図ることになった。とはいえ石北本線の場合、特別快速「きたみ」が特急「カムイ」「ライラック」との接続が改善したように、利便性が多少低下したとはいえ最小限にとどめている。
しかし今回、石北本線では特急「オホーツク」3号よりおよそ1時間遅い時刻で旭川発北見行きの臨時快速列車を4月~9月のうち、利用者が見込まれる金・土・日曜日に運行することとなった。金曜運転と言えばJR埼京線の金曜日運転列車や沖縄都市モノレールゆいレールの金曜ダイヤなどもあるが、JR北海道の場合も特急「スーパーおおぞら11号」を金曜日に特に増結させるなど、需要が大きいのは見て取れる。この臨時快速は旭川~北見間を3時間04分で運行する。特急が2時間52分~3時間03分で運行していることから、ほぼ特急と変わらない所要時分で運行していることになる(ちなみに特別快速「きたみ」は3時間21分~3時間22分なのでなおさら)。
この臨時快速は旭川駅で特急「ライラック35号」から5分接続で発車する。特急「ライラック35号」は6番線着であるが、石北本線臨時快速は1番線発となる。これは対面の5番線は旭川始発の特急「サロベツ3号」がいるため、石北本線臨時快速は対面乗り換えはできない。
気動車列車の増発は近年のJR北海道としては異例中の異例で、過去2年間で減便を受けた他地域から非難が飛ぶ可能性もある。そこまでに至った経緯について考察していく。
2. 高速バスドリーミントオホーツク号との競合
札幌~北見・網走間は北海道中央バス・網走バス・北海道北見バスとの3社共同で高速バスドリーミントオホーツク号を運行している。
この便の網走行き最終は札幌17時20分発であり、最終の特急「オホーツク」3号の札幌17時30分発より10分早く、JRの方が長く札幌に滞在できることになる。しかしドリーミントオホーツク号はその後札幌18時20分発の北見行きがある。つまり北見までの最終であればJRより高速バスの方が50分遅く札幌に滞在できるのである。つまり今回2017年4月から曜日運転で運行される石北本線臨時快速運行することで、高速バスとほぼ同等の終電を確保できるようになることを見込んだのではなかろうか。
なお、札幌~北見・網走方面は航空機、旭川~北見では北海道北見バスによる高速バス石北号も運行されているが、運行時間としては特急「オホーツク」で十分なので今回の石北本線臨時快速の運行に至った経緯とはあまり関係ないように思える。
3. 稚内方面との平等性確保
2017年3月4日のダイヤ改正では、石北本線・宗谷本線ともに旭川駅で一部の特急列車の系統分割を実施した。
この際、稚内行きの終電は乗り換えが必要になったものの札幌基準で42分繰り下げになったものの、北見・網走方面「オホーツク」は繰り下げが行われなかった。初電では札幌着基準で網走・北見からが28分、稚内からが11分初電が繰り上がったものの、終電では稚内方面に軍配が上がった。そのため平等性を図るために稚内行き特急「サロベツ3号」と接続する特急「カムイ35号」から接続を受ける臨時快速を設定したのではなかろうか。
4. 結び
赤字により経営が不安定となっているJR北海道で非電化の石北本線に臨時快速を設定するのは、挑戦的であり近年のJR北海道の考えからすれば非常に珍しい。今後この列車が定着するのか、はたまた高速バスにやはりかなわないのか、見どころである。2018年3月のダイヤ改正で旭川方面気動車特急を含めどのようになってゆくか見守ってゆきたい。
コメント