東急電鉄では、3月22日、プレスにて2017年4月21日にダイヤ改正を行うと公表した( http://www.tokyu.co.jp/file/170322-2.pdf )。今回はこれについて見ていく。
1. 朝5時台渋谷着の急行増発へ!
今回2017年4月21日の東急電鉄ダイヤ改正では、田園都市線に朝5時台に渋谷に到着する列車が誕生する。
朝5時台に東京都区内主要駅に到着する列車としては、運行系統上必然的に快速列車や通過列車を運行しているJR東日本5方面路線を除くと小田急の海老名発急行、京王の京王八王子発特急、相鉄の海老名発急行など昼間も運行していて比較的長距離を運行している朝5時台着優等列車がある一方で、京急は神奈川新町発特急(横浜基準だと三浦海岸発特急)、東急東横線は武蔵小杉発急行、西武新宿線は本川越発準急、西武池袋線は飯能発快速、東武東上線は森林公園発準急、東武伊勢崎線は南栗橋発準急で、昼間の優等種別より遅い列車が多いがそれぞれ概ね2本ずつ朝5時台主要駅着優等列車を用意している。特に京王に関しては朝5時台新宿着が特急2本と区間急行2本であり、他大手私鉄と比べて運賃が低廉なのに2倍の本数を用意する超太っ腹ダイヤを成している。関西ではJR京都線の野洲発快速(京都~明石間内側線快速)、JR阪和線の和歌山発B快速、京阪の樟葉発準急、近鉄奈良線の近鉄奈良発区間準急、近鉄大阪線の大和八木発区間準急、近鉄南大阪線の富田林発準急、南海高野線の橋本発急行などがあるものの、南海高野線を除いて再速達よりは抑えているのはもちろんのことだが、近鉄については2012年に導入されたほとんど通過駅がない区間準急で、どちらかというと普通列車にまで格下げしたいところだが残さざるを得ない事情があるのだろう。となるとやはり関西より関東の方が朝5時台の優等列車が集まっていると言えるだろう。
そんな中、関東私鉄で朝5時台に興味が薄いのが東急と京成。京成は輸送量が小さいため押上線のみに特急が運行されているが、東急は武蔵小杉発急行のしかも1本しか運行されておらず、東横線より輸送量の多い田園都市線には運行されていなかった。それが今回やっと運行されるようになったのである。ただし今回運行されるのは長津田発渋谷行きの急行で、半蔵門線には直通しない。半蔵門線へは鷺沼で連絡する長津田始発の各駅停車(初電)に乗り換えるほかなく、あくまで渋谷までの輸送しか考えていないらしい。東急電鉄としてはオフピーク通勤の促進もあるのだろうが、朝5時台の急行をこれまで運行していなかったのはやはりブラック鉄道だったと言わざるを得ないだろう。
東急電鉄自体大手私鉄の中で1,2を争う超優良企業なのだが、利用客にとってはこと違う。東急田園都市線は関東私鉄でTOP3に入る混雑路線にもかかわらず大井町線の溝の口延伸という小手先作戦を行った結果失敗し、結局三軒茶屋から東急バスに振り替えさせることによって混雑を緩和しようとしたり、昼間こそ2014年からひる準を運行させるようにはなったものの平日夕ラッシュ時は他私鉄の朝ラッシュ時並みの混雑で乗客を無理強いさせるなど(しかも乗客がその混雑度に「朝よりマシ」と言っている時点で感覚がマヒしている悲劇も起きているらしい)、もはや乗客なおざりで収益を得ているブラック鉄道なのである。確かに多摩田園都市があそこまで大ヒットするとはだれも思っていなかったのは疑いようのない事実だが、大当たりだったのであれば、しかも加算運賃まで設けていたのであるから乗客から得た収益を複々線化などの田園都市線の抜本的混雑緩和に充てるべきなのである。東横線だって2013年に副都心線と直通するようになってから平日朝ラッシュの通勤特急・急行は25%輸送力アップの10両編成に統一されたからまだしも、それまでは東横線も田園都市線ほどではないものの大混雑をしていた。
2010年代から徐々に緩和されては来ているものの、そのきっかけが主に東京メトロとの直通運転の増加など外から影響されていることが極めて多く、小田急のような大規模な複々線化や京王の積極的増発のような自発的行動とは程遠いものを感じる。2020年までに田園都市線をオフピークに急行を増発するようだが、それだけではラッシュ時対策は不十分であり、今後の対策に希望を感じたい。
2. 大井町線は微調整ながらも来年には7両化!
今回のダイヤ改正では東急大井町線はわずかながらの時刻調整にとどまった。
これには2017年度下期より大井町線急行を7両化するため( http://www.tokyu.co.jp/file/170322-1.pdf )、これにより朝の急行列車の輸送力が16%増加し混雑緩和が見込まれるためである。田園都市線から乗客を移す小手先作戦は不十分に終わったが、大井町線に急行が走ること自体に価値が生まれつつあるのだろう。また土休日昼間は田園都市線長津田まで直通運転し、各停ふくめ10両がほとんどの田園都市線内では混雑を極めていた。今回のダイヤ改正で大井町線内だけではなく土休日の田園都市線の混雑も解消されるということは次回2018年3月頃の1つの目玉となりそうだ。また、将来的に東急目黒線の相鉄直通化に伴う急行8両化にも期待が持てそうだ。
3. 田園都市線・世田谷線で初電繰り上げへ
今回のダイヤ改正では東急田園都市線と東急世田谷線の初電時刻の繰り上げが行われる。
田園都市線は先述の朝5時台着急行の運行開始により鷺沼で待避を受ける長津田発初電が5分繰り上げになるものの、その5分後には急行が運行されるから影響は小さそうだ。その他渋谷方面行きでは数分単位で初電が繰り上がり、それに追従する形で東急世田谷線の初電も繰り上げる。
4. 結び
今回のダイヤ改正では、東武鉄道では6050系の浅草乗り入れ中止や300系の廃止などダイヤ大改正となっているが、東急田園都市線では早朝に急行を増発する程度で他は小規模にとどまった。2018年より新型車両2020系( http://www.tokyu.co.jp/file/170317.pdf )を投入し既存の8500系を順次廃止していくものとおもわれるが、地下鉄直通車両ということもあり拡張車体を導入できないことから抜本的な混雑率緩和対策にはなりにくい。今後のダイヤ改正に注目したい。
コメント
田園都市線がいち混雑する原因は真ん中の車両に出口がある駅が多いから必然的に真ん中の車両が異常な混雑になると思います。
実際端の車両はかなり空いており、特に21時以降は桜新町辺りで座れたりします、逆に本数が減り小杉入庫が増える東横線はかなり混雑しています。
女性専用車両が10号車にあるのも空いているっていう証拠。自分は東横線から田園都市線沿線に引っ越して逆にこんな空いてるのかと驚いたものですがね