中国鉄路総公司は12月27日、プレスリリースにて12月28日に石済高鉄を開業したと公表した( 石家庄至济南高速铁路开通运营 )。今回はこれについて見ていく。
1. 4横高速鉄道網、完成へ
今回の2017年12月28日中国鉄路ダイヤ改正では、石家庄から済南間に高速新線である石済高鉄が開業する。
この高速新線は全長298kmにも及び、石家庄~済南間を3時間47分から最速2時間3分に短縮する。設置された駅は石家荘、石家荘东、藁城南、辛集南、衡水北、景州、徳州東、平原东、禹城东、済南西の10駅であり、石家荘では京広高鉄、徳州東では京沪高鉄、済南西では京沪高鉄と済青高鉄と接続している。これで徳州東~済南西間は高速鉄道が2本走行することとなり、既存の大幹線である北京と上海を結ぶ京沪高鉄に混雑を集中させないようにしているようだ。
ただ、今回開業した距離が日本の上越新幹線(大宮~新潟間)とほぼ同等であり大都市を結ぶ基幹路線と言えないことから最高速度が250km/hであるほか、石家荘~済南間を結ぶ高速列車は1日8往復しかないほか、青島北発着(済南側)や運城北発着(石家荘側)が多く、済南〜石家荘完結列車は1日2往復しかない。しかも全列車動車列車(列車番号がDで始まる)であり、中国高速鉄道CRHの車両を用いるものの高速列車より格下扱いとなる。
この開業で中国国土の基幹軸となる4縦4横路線のうち4横路線が全て開業したほか、2017年の1年間で新幹線の実キロ相当の2764.4km以上の高速新線が開業し、中国国内の高速鉄道網は2万5千キロに達し、営業距離ベースで全世界の高速鉄道の66.3%を中国で占めることとなった。日本の新幹線の実キロが2764.4kmであることを考えると、その約9倍あることとなる。ただ、列車キロベースでは9倍もの開きはないものと考えられ、日本の北海道新幹線の13往復より少ない定期列車しか運転しない路線が今回開業した石済高鉄を含め中国にはたくさんある。また日本には高速鉄道の中で列車本数・輸送密度世界最大の東海道新幹線もあるから、列車キロに関しては中国高速鉄道に迫る勢いであるはずだし、車両キロに換算すればおそらく中国高速鉄道より多いのではないだろうか。
2. 2017年12月28日ダイヤ改正はいかに
また今回の石済高鉄開業に伴い、中国高速鉄道でも運用変更を実施した。これにより2017年9月21日ダイヤ改正より運転を開始した350km/h対応のCR400型車両が京沪高鉄専用運用から急速に運用を拡大している。ただ、2017年12月7日ダイヤ改正にて開業した西成高鉄開業に伴う西安発着列車の成都延長化および高速化関連を除いて大きくダイヤ改正は行われていない。これは、350km/hに対応する路線が京沪高鉄のみであり、京沪高鉄より営業キロも長く京沪高鉄並みの幹線路線である京広高鉄は未だに300km/h対応となっている。確かに350km/h運転実施より3カ月で最高速度引き上げ路線が増えるのも急すぎるのだが、中国高速鉄道の香港乗り入れが今年2018年内に迫る中、北京~香港間の高速列車も運転予定であり、その経路となる京広高鉄の高速化は政権にとっても有意義だ。ともなれば、2018年内に京広高鉄の350km/h対応も成されるのではないだろうか。
3. 結び
今回の2017年12月28日中国国鉄ダイヤ改正では、高速新線である石済高鉄の開業により、所要時間短縮が図られた。しかし同日に実施されたダイヤ改正では中国国土全体に波及せず、運用変更にとどまっている。今後中国国土でもさらに高速鉄道網が拡大するほか、2018年内には香港への延伸も予定されている。今後どのようなダイヤ改正が行われるのか見守ってゆきたい。
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