新線開業と直通増強へ! 中国鉄路広州鉄路集団公司ダイヤ改正(2018年7月1日) 中国铁路广州铁路集团公司调图

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中国鉄路総公司は6月30日、プレスリリースにて7月1日に全国規模でダイヤ改正を行うと公表した( 7月1日起全国铁路调图提速扩能 )。中国鉄路総公司は6月30日、プレスリリースにて7月1日に深湛線のうち江門~茂名間を開業すると公表した( 江门至湛江铁路7月1日全线开通运营 )。今回はこれらのうち、広東省および湖南省の中国鉄路广州铁路集团公司管内について見ていく。

1. 新たな運行系統の開拓へ

 今回の2018年7月1日中国鉄路広州鉄路集団公司ダイヤ改正では、中国高速列車CRHで新たな運行系統が開拓される。

まずは広州~厦門・福州について。500km~700km程度しか離れていない両都市であるが、北京~厦門(3往復)・福州(7往復)を結ぶ高速列車CRHは運転されているのに、広州~厦門・福州を結ぶ高速列車CRHは広州~上海虹橋を杭深線経由で結ぶ寝台夜行列車のD列車のうち途中厦門北に停車する金曜~月曜のみ運転の2往復のみで、昼行では運転がないほか火曜~木曜は直通高速列車が運転されず、通過駅となる福州への利用は深圳北や潮仙での乗り換えが必須となっていた。また広州~厦門間は1泊2日の夜行快速列車が2往復設定されているが、広州~福州間は直通の快速列車すら設定されていなかった。そんな中、今回のダイヤ改正では広州~厦門・福州を結ぶ昼行高速列車が設定されることとなった。

まずは、広州南~厦門北~福州間を結ぶ高速列車CRHによるG列車。設定されるのは7月2日から運転開始される広州南15時01分発福州21時05分着G1607列車と福州8時16分発広州南14時16分着G1609列車の1往復となっており、広深港高速線と杭深線を経由して運転される。
この高速列車の運転開始により毎日運転の広州~厦門間の列車の所要時間が大幅短縮され、漳龍線経由で運転されている1泊2日夜行快速列車の所要時間である広州東→厦門間11時間15分運転及び厦門→広州間12時間08分運転から、広州南→厦門北間4時間20分、厦門北→広州南間4時間17分運転となり、7時間55分以上所要時間が短縮されることとなった。

次に広州東~厦門間を結ぶ高速列車CRHによるD列車。設定されるのは7月1日から運転される広州東12時32分発厦門17時42分着D2381列車、厦門7時23分発広州東12時08分着D2383列車の1往復となっており、広九線と杭深線を経由して運転される。この列車は8両編成を2本連結した16両重連編成で運転される。

ではなぜこのような列車を設定することとなったのか。広東省では2018年9月に中国高速鉄道香港西九龍駅乗り入れ開始に伴い、広深港高速線では深圳北発着や広州南発着の香港西九龍乗り入れ列車を多数運転することとなった。その一方で、他線への直通列車として潮仙発着5往復、厦門発着3往復、福州発着1往復が設定されることと5月に公表された。中国鉄路では本来約2ヵ月前に概要が提供され、約1カ月前から詳細な時刻変更や停車駅変更が続々各鉄道局から告知されるが、香港乗り入れに関してはかなり前もって公表されている。潮仙から広州へは1日19往復の高速列車が運転されているが、香港よりも人口が多い広州都市圏からの直通列車設定がない厦門や福州から先に香港に乗り入れるという情報が出たことから、既に高速鉄道が整備されている広州への直通高速列車を運転されることとなったのであろう。

なお、これらの増発により広九線広州東~深圳間の城際列車C列車3往復が廃止となったほか、深圳北発潮仙行きD7426列車も廃止となった。そのほか、広州南~福田間の高速列車CRHによるG列車1往復も廃止となっているが、この列車は前の高速列車CRHとの列車間隔が狭いため廃止になったものと思われる。広深港高速線の福田~西九龍間の延伸を控えている中福田発着も減便されることとなったが、影響は限定的なようだ。その他、杭深線で所要時間短縮を実施することとなった。

2. 既存区間でも増発実施へ

また今回の2018年7月1日中国鉄路広州鉄路集団公司ダイヤ改正では、貴広客運専用線でも増発が実施され、深圳北~貴陽北間で高速列車CRHが1往復増発された。

これまでも深圳北~昆明南間を結ぶ2往復が貴陽北に停車するため1日2往復の利用チャンスがったが、それが3往復に増発され利便性が向上した。ただ今回の増発は、起終点駅のみのものではない。

既存の深圳北~昆明南間高速列車CRHは深圳北~貴陽北間では、広州南のみにしか停まらない。しかし今回設定された深圳北~貴陽北間の高速列車CRH1往復は停車駅が多く、深圳北発貴陽北行きG2930列車は、広州南、仏山西、肇慶東、桂林西に停車し、貴陽北発深圳北行きG2929列車は桂林西、恭城、賀州、肇慶東、仏山西、広州南、虎門に停車する。この停車駅設定のため、深圳北~肇慶東を結ぶ高速列車CRHは2往復から3往復に増発されることとなり、各停車駅間の乗車チャンスも増加することとなった。

ただ停車駅が多いため、深圳北→貴陽北では既存の列車の所要時間が4時間58分~59分に対し5時間21分での運転、貴陽北→深圳北では既存の列車の所要時間が4時間48分~54分に対し6時間01分での運転となっているが、途中駅への利便性重視という点では良い列車設定のように思える。

また、貴陽北~仏山西間でも高速列車CRHによるD列車が1往復増発されることとなった。

湖南省では、武漢発長春行きG1290高速列車を長沙南発に延長し、長春発武漢行きG1289高速列車を長沙南行きに延長した。また、長沙南発瀋陽行きG1216高速列車及び瀋陽発長沙南行きG1215高速列車の1往復が増発されることとなった。湖南省から中国東北部への利用が直通列車の場合これまでは在来線快速列車しかなかったが、今回のダイヤ改正による運転区間延長及び増発により、同日中に到着できるようになった。

3. 新線の開業で所要時間短縮へ

また今回の2018年7月1日中国鉄路広州鉄路集団公司ダイヤ改正では、広東省で深湛線のうち新会~茂名間が開業した。

最高速度は200km/hとなっており、中国高速列車CRHの乗り入れが可能となっている。車両は主に広珠海城際線などで用いられるCRH1A-A型やCRH2A型が多く使用される。この新線深湛線の開業により、広州南~新会間の広珠城際線江門支線と茂名~湛江西間の茂湛線の両高速列車CRH対応路線とつながったことから、広州~茂名・湛江へCRHが運転することが可能となった。

ダイヤについて見ていくと、高速列車CRHのうち毎日運転列車が26往復の運転となっている。広州~湛江間は最速2時間58分で、快速列車の最速8時間31分(しかも夜行列車)と比べて5時間33分短縮され、両都市間で昼間での移動や日帰りでの移動ができるようになった。
そのほか、北京や上海発着のCRHを用いた1泊2日夜行動車列車も運転される。始発駅金土日月発のみ運転の北京西20時30分発湛江西行きD921列車や湛江西16時55分発北京西行きD922列車、毎週水曜運休の上海虹橋20時00分発湛江西行きD934列車や湛江西16時00分発上海虹橋行きD932列車も設定された。また昼行の毎日運転で長沙南発着のG列車1往復も運転される。そのほか広東省内では仏山西発着列車も5.5往復設定されることとなった。

なお、既存開業区間で運転していた広州南~江門~新会間の城際列車C列車は、広州南→新会間で19本から11本へ、新会→広州南間で20本から13本へ削減されることとなった。代替として湛江西発着のD列車の一部が小欖(下り8本、上り広州南方面7本)と新会(下り24本、上り広州南方面26本)に停車することで減便分の利便性を低下させないようにしている。

なお、深湛線営業準備に伴い2018年2月1日より茂湛線経由で運転されていた特快列車3往復及び快速列車1往復が河茂線・黎湛線経由で迂回運行していたが、今回の7月1日ダイヤ改正で茂湛線が使用再開されたため、経路を元に戻すこととなった。一方、広茂線経由で運転されていた広州発茂名行きK9045快速列車及び茂名発広州行きK9046快速列車は廃止されることとなった。

4. 管内でも見直し実施へ

今回の2018年7月1日中国鉄路広州鉄路集団公司ダイヤ改正では、管内での見直しも実施されることとなった。

削減対象となったのは高速列車CRH14.5往復と快速列車3往復であり、多くの列車の削減理由が上述で挙げたように運転区間の長い列車の運転開始による既存の短距離列車の削減である。また、快速列車5往復が臨時化されることとなった。これを見るに、快速列車の高速列車CRH置き換えは着々と進んでいるが、今回のダイヤ改正ではどちらかというと高速列車の変更が目立つ内容となっている。

また、今回のダイヤ改正により、中国鉄路広州鉄路集団公司管内では53往復の高速列車CRHが新設されることとなったほか、53往復の高速列車CRH及び快速列車6.5往復が運転区間を変更し、高速列車CRH1往復と特快列車・快速列車6往復で運転経路の変更を実施した。

運転区間変更は広州南発着の高速列車CRHのうち成都東発着となるD列車3往復が広州南発着から広州駅発着に変更となったことや、雲南省で昆楚大線が開業したことにより昆明南発着の高速列車CRHの一部が大理発着に延長されたことが大きい。その他にも広州発重慶北行きK776快速列車及び重慶北発広州行きK775列車が東莞~蘭州西間の運転に延長し、1泊2日列車であることは変わりないものの37時間10分運転の長距離列車となった。そのほか、漳龍線の広州~梅州間を結ぶ快速列車1往復が大埔発着に延長された。運転経路変更は先述の茂湛線関連が主となっている。

差し引きすると、中国鉄路広州鉄路集団公司管内では30.5往復の列車が増発されることとなった。


5. 結び

今回の2018年7月1日中国鉄路ダイヤ改正では、杭深線で新たなCRHの運転系統が設定され直通区間が拡大したほか、深湛線の開業により広州から広東省西南部方面へのアクセスが飛躍的に向上した。今後2018年9月末には中国高速列車CRHの香港乗り入れが予定されており、広東省内で大きなダイヤ改正が起こるのは必至だ。

今後広深港高速線の香港西九龍延伸に伴いどのようなダイヤだ実施されるのか、現在九龍(紅磡)駅に乗り入れている直達特快列車は全滅する可能性もあることから、どのようなダイヤ改正を実施するのか楽しみにしたい。

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