名古屋臨海高速鉄道は5月12日、3月10日より運行している臨時列車を6月から土休日に限りノンストップ運転のみの列車で運行を継続すると公表した( http://www.aonamiline.co.jp/pc/pdf/rinji1706.pdf )。今回はこれについて見ていく。
1. 臨時列車をノンストップで運行
あおなみ線は名古屋駅から臨海部に向けて運行している路線であるが、2004年10月6日の開業以降厳しい経営状況であった。
そのため沿線の開発をして需要を増大しようと終点の金城ふ頭周辺では2011年3月にリニア鉄道館、2017年4月にはレゴランド名古屋を開業させ、それに先立って商業複合施設メイカーズピアも整備された。
これに伴い2017年3月10日よりあおなみ線では需要が高まると見込み、平日には稲永始発の普通列車2本を金城ふ頭始発に延長し、土休日には名古屋〜金城ふ頭間ノンストップの列車を朝8時台〜10時台は金城ふ頭行き、夕方16時台〜20時台は名古屋行きで概ね毎時2本設定し始めた。5月のゴールデンウィーク期間は平日もノンストップ列車を運行し始めたが、5月末をもって平日は先述の延長運転を含む一切の臨時列車を設定しなくなることから利用が芳しくなかったものと思われる。土休日に関してもゴールデンウィーク期間中は最大15本のノンストップ臨時列車を運行しているが、ゴールデンウィーク終了後は6往復に抑えられており、6月も同様の設定をしていることから利用が安定してきているものと思われる。普通列車が毎時4本なのにノンストップ列車が毎時2本しか設定できないのは、朝ラッシュ時でも毎時6本しか運行しておらず、運用を目一杯使っているためだと思われる。
2. リニア鉄道館とレゴランド効果はいかに
リニア鉄道館開業時には目立った増発が行われなかったが、なぜ今回レゴランド及び周辺の商業複合施設整備で土休日に6往復実質増発が行われた。しかしレゴランドや商業複合施設メイカーズピアは人で賑わっているのだろうか?
レゴランド名古屋は開業後約2ヶ月経過したが、早速水筒持ち込みを可能にしたり、ファミリーパスポートを新発売することにより家族連れを割安にする措置をとることを公表した。まだまだ2ヶ月とはいえ、目標には及ばないようだ。また商業複合施設に関しても、売り上げが目標の10%しか行かなかったため2ヶ月で閉店した店舗もあるほどで、実態は芳しくないようだ。東京や大阪などの大都市の場合、周辺にも大都市を擁していることが相まって多くの人が訪れるが、名古屋は付近に政令指定都市がないこともあり、なかなか人集めに苦慮しているようだ。リニア鉄道館に関しては博物館を持たないJR東海が「本物の新幹線」を展示するために建てているため赤字だったとしても潰すことは考えにくいが、レゴランド名古屋や商業複合施設メイカーズピアの店舗は今後も撤退する可能性も考えられる。名古屋圏は2020年頃まで人口増加が見込めるが、今後どのように取り込むのが注目したい。
3. 結び
今回のあおなみ線の臨時列車運行については平日は3ヶ月で中止に至ったが、土休日は1日6往復のノンストップ運行で安定したようだ。今後のあおなみ線の収益増加は周辺の娯楽施設の発展にかかっており、その施設に影が忍び寄る中、今後どのような対策を打つのか見守って行きたい。
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