中国鉄路は2017年12月31日、WEB版新聞記事にて同日に北京に新路線である副中心線を開業したと公表した( “京通号”首班列车上座率五成 )。今回はこれについて見ていく。
1. ユニバーサルスタジオ北京もできる新都心へ京通号発進
今回の2017年12月31日中国鉄路ダイヤ改正では、北京市内で新たな運行系統となる副中心線が運行を開始した。この副中心線は北京西と通州を結ぶ29kmの運転系統であるが、京哈線の線路を利用し最高速度200km/hで運転される。そのため、新線開業というより新しい運転系統の開拓の方が表現としては正しいのであろう。途中停車駅は北京西を出ると北京、北京東、通州となっている。使用車両は中国高速鉄道用車両CRH6A型8両編成が使用され、京通号の愛称がつけられている。運賃は全線乗車しても5人民元(約85日本円)となっている。
ダイヤについて見ていくと、朝は7時台から8時台に北京発通州行き1本と北京西発通州行きが2本、通州発北京西行きが1本運転される。夜は18時台から19時台に北京西発通州行きが1本、通州発北京西行きが2本と通州発北京行きが1本運転され、合計4往復の運転となり昼間は運転がない。北京から通州の所要時間は28分となっている。各駅の停車時間は5分となっており、かなりダイヤに余裕がある。運用は3運用となる。
通州駅の所在する北京市通州区には地下鉄八通線が既に開業しているが、こちらは昼間6分20秒間隔と高頻度で運転されている。また通州区では2020年を目途にユニバーサルスタジオ北京が開業予定であるが、地下鉄7号線と地下鉄八通線の延伸で対応する予定だ。1日4往復しかない、しかもラッシュ時の方向が逆ではないかと思うダイヤを組む中国鉄路副中心線京通号は、意味があるのだろうか?
これは、通州駅周辺に首都機能の一部を移転する計画があり、そのためのアクセス路線として先行整備したものとおおわれる。そのため、朝は通州に向かう列車が多く、夜は北京駅に向かう列車が多く設定されている。今後首都機能の移転が着実に実施されればさらなる増発が期待できる。今後伸びしろが期待できる路線となりそうだ。
2. 北京から北に延びる新系統開業
また、今回の2017年12月31日中国鉄路ダイヤ改正では、懐柔-密雲線も開業した。
運行は北京市街地北部の黄土店~懐柔北間の50km、3駅となっており、途中駅は昌平北のみとなっている。こちらも先述の副中心線同様新しい運転系統によるものであり、京通線のルートの線路を使用していることから、使用車両は北京市郊外鉄路S2線と同様NDJ3型中国高速鉄道車両CRHによる運行にかかわらず80km/hに制限されている。
ダイヤについて見ていくと、黄土店発懐柔北行きは黄土店7時14分発と13時55分発の2本のみ、懐柔北発黄土店行きは懐柔北12時01分発と16時57分発の2本のみとなっており、1日2往復の運転となっている。同じ黄土店を発着とする2008年8月6日に開業した北京市郊外鉄路初の路線となるS2線でさえ7往復の運転であるから、やはり2往復というのはあまりにも少ないし、終電が早すぎて通勤輸送に向いているとは言えない。
中国では上海市の金山鉄路のように中距離路線にもかかわらず毎時2本程度の運転で成功を収めている路線もあり、成都や寧波、武漢などの都市も上海の金山鉄路をモデルに中国鉄路の線路を利用して近郊鉄道を営業させている。ただ北京市郊外鉄路は首都ということもあるのか、ダイヤを見る限りお役人仕事のようにとりあえず開業させました感がかなり強いように感じる。2022年には北京冬季オリンピックが開かれることから、さらなる路線拡大が見込まれるが、それまでに路線網の確立のみならず旅客輸送をしっかりできる車両を確保すべきなのではないだろうか。
3. 結び
今回の2017年12月31日中国鉄路ダイヤ改正では、北京市内で新たに2つの運行系統である副中心線と懐柔-密雲線を開業させた。今後両線が街の変化とともにどのようにダイヤが改善していくのか、2022年の冬季オリンピックの際にどのように混雑緩和に役立てるのか、見守ってゆきたい。
コメント