中国鉄路総公司は4月2日、プレスリリースにて4月10日に全国規模でダイヤ改正を行うと公表した( 2018年4月10日起全国铁路将实行新的列车运行图 )。今回はこのうち、京沪高速線の枝線系統となる北京~杭州・合肥間を結ぶ高速列車CRHについて見ていく。
同日実施の京沪高速線(北京~上海間)ダイヤ改正ついてはこちら!
同日実施の京沪高速線以外の中国鉄路ダイヤ改正ついてはこちら!
1. 350km/h対応列車、路線拡大へ
今回の2018年4月10日中国鉄路ダイヤ改正では、2017年9月21日ダイヤ改正より運転開始した350km/h対応の高速列車復興号(CRH400AF系及びCR400BF系)が京沪高速線の本線系統である北京~上海間のみならず、支線系統である北京~杭州・合肥間でも導入され、大幅な所要時間短縮を実施することとなった。
1.1. 北京~杭州間で所要時間短縮と増発へ
まずは北京~杭州間を結ぶ高速列車CRHについて見ていく。北京~杭州便は、最短距離便の場合北京南~南京南間の1,023kmは京沪高速線を走行し、南京南~杭州東間の256kmは寧杭客運専用線を運転する。合計運転距離は1,279kmとなることから、日本に置き換えて考えると東京~熊本間に相当する距離を運転することになる。ただ上海虹橋発着と異なるのは、北京から杭州を結ぶ列車は杭州東発着のみではなく、福州や南昌などほかの都市へ結ぶ間の途中点である列車が多く、さらに長距離運転する高速列車も多い。今回350km/h対応の復興号が導入されたのは杭州東発着便のみであるが、全便350km/h対応とするとかなり大規模に車両導入しなければならず、一朝一夕にはできないだろう。
まずは北京→杭州から。北京南8時00分発杭州東12時38分着のG19列車が設定され、4時間38分で走破する。途中停車駅は済南西、南京南、湖州の3駅で、350km/hで走破することとなる。これまでの北京から杭州への初列車は北京南7時20分発杭州東13時02分着G57列車であったが、徐州東でG19列車待避を受けることとなたことから今回設定されたG19列車が杭州東先着列車となり、杭州滞在時間が24分延長されることとなった。なお北京南8時20分発杭州東14時37分着G165列車が廃止された。
また北京南11時00分発杭州東行きG31列車が設定され、こちらも350km/h対応の4時間36分で運転される。こちらは減便はなく、純増発となっている。
さらにG39列車が北京南16時47分発から19時04分発に2時間17分繰り下がり、杭州東22時39分着から杭州東23時22分発へ43分に繰り下がり、途中停車駅も南京南のみとなったことから所要時間も5時間52分から4時間18分に1時間34分短縮され、350km/h対応になったものと思われる。このG39列車の4時間18分運転は下りの最速列車となっている。
次に杭州→北京について。こちらも初列車から変わる。これまでの初列車は杭州東7時10分発北京南13時05分着G34列車であったが、次のG20列車の大幅繰り上げと最高速度350km/h化に伴い杭州東8時30分発から7時48分発に42分繰り上がり、北京南13時32分着から12時20分着に1時間12分繰り上がり、所要時間が30分短縮され4時間32分運転となる。
また杭州東13時00分発北京南17時39分着G32列車が350km/h対応列車として新規に設定され、4時間39分運転を実施することとなった。代替として杭州東15時25分発北京南21時34分着G166列車が廃止されている。
さらにこれまで杭州から北京への最終列車であったG44列車の大幅に後にG40列車が設定される。G44列車は杭州東16時15分発北京南23時01分着であったが、今回のダイヤ改正でその後に杭州東19時00分発北京南23時23分着のG40列車が設定されたため、杭州東での終列車が2時間45分繰り下がることとなった。このG40列車は杭州東と北京南を4時間23分で結び、上りの最速列車となっている。
これにより、北京~杭州間では14往復から15往復に増発され、うち3往復が350km/h対応にスピードアップされた。なお、遠回りの上海虹橋経由は2往復据え置かれることとなった。また滞在時間で比較すると、北京から杭州への滞在時間は4時間13分から6時間22分に2時間09分延長し、杭州から北京への滞在時間は3時間42分から6時間44分に3時間02分延長されることとなった。
なお最短距離の13往復は最高速度にかかわらず538.5人民元であるが、上海虹橋経由の2往復は遠回りで時間もかかるのに626人民元かかり、87.5元割高であるからできれば使用を避けたいところだ。なお、途中駅の時刻を見る限り350km/h運転を行うのは北京~南京南間の京沪高速鉄道内のみであり、南京南~杭州東間の寧杭客運専用線は300km/hで据え置かれる模様だ。
1.2. 北京~合肥便で所要時間短縮と増発へ
次に北京~合肥間を結ぶ高速列車CRHについて見ていく。
北京~合肥便は、最短距離便の場合北京南~蚌埠南間の848kmは京沪高速線を走行し、蚌埠南~合肥間の132kmは合蚌客運専用線を運転する。合計運転距離は980kmとなることから、日本に置き換えて考えると東京~徳山間に相当する距離を運転することになる。ただ上海虹橋発着と異なるのは、北京から合肥を結ぶ列車は合肥発着のみならず合肥南を発着する列車もあること、福州や厦門などほかの都市へ結ぶ間の途中点である列車が多く、さらに長距離運転する高速列車も多いことなどがある。今回350km/h対応の復興号が導入されたのは合肥南発着便のみであるが、全便350km/h対応とするとかなり大規模に車両導入しなければならず、一朝一夕にはできないだろう。
まずは北京→合肥について。現在の初列車であるG261列車は北京南7時15分発合肥11時40分着であったが、滕州東と徐州東に停車することになり、北京南7時08分発に7分繰り上がり、合肥11時41分着に1分繰り下がることで、所要時間が8分延びることとなった。
また北京南13時13分発合肥南17時08分着G29列車がG23列車に変更され、北京南13時00分発16時44分着となり、これまで途中停車駅は済南西のみで今回のダイヤ改正により天津南に追加停車することになったにもかかわらず所要時間が3時間55分から3時間44分に11分短縮された。どうやら350km/h対応になったようだ。
さらに北京南16時00分発合肥南19時35分着G29列車が設定された。途中駅は済南西のみで350km/h運転を実施することから、所要時間は下り最速の3時間35分となっている。
また最終列車のG269列車に関しては北京南18時38分発から19時15分発に37分繰り下がり、合肥南着時刻は23時24分着から23時41分着に17分繰り下がり、停車駅を1つ減らし天津南での17分停車を2分停車に短縮することで所要時間を20分短縮した。
次に合肥→北京について。初列車のG262列車は合肥南7時05分発のまま据え置かれるが、北京南着が11時47分着から11時46分着に1分繰り上がる。一方で合肥南8時14分発北京南12時48分着G264列車が廃止された。
また合肥南9時58分発G352列車は、20分停車していた廊坊を通過とすることで、北京南14時58分着から14時33分着に25分繰り上げた。
さらに、合肥南11時42分発北京南15時28分着G24列車が増発され、350km/h運転を実施し3時間46分で結ぶ。
停車駅の少なく途中停車駅が3駅であったG28列車は滄州西に追加停車ししかも9分停車することにより合肥南発時刻は13時34分発から13時33分発に1分繰り上がり、北京南17時35分着から17時53分着に18分繰り下がることとなった。
また終列車は合肥南18時17分発北京南22時36分着のG272列車列車であったが、今回のダイヤ改正でその後合肥南19時56分発北京南23時33分着のG30列車が新設され、合肥南基準で終列車が1時間39分繰り下がることとなった。このG30列車は済南西のみ停車の350km/h運転列車で、上り最速の3時間37分運転となった。
これにより北京~合肥間では14往復から15往復に増発され、うち2往復が350km/h対応に高速化された。また滞在時間で比較すると、北京から合肥へは6時間37分から8時間15分へ1時間38分拡大し、合肥から北京へは6時間52分から7時間29分に37分拡大されることとなった。北京~杭州相互間と比べて北京~合肥相互間の滞在時間があまり伸びていないのは、350km/h運転を行う京沪高速線が杭州と比べて短いこと、北京~杭州間は初終電の350km/h対応の復興号を導入しているが、北京~合肥間では初終電の300km/h運転列車が据え置かれているところが多いことなどが挙げられるものと思われる。
今回のダイヤ改正ではこれらの増発のほかに、350km/h運転に対応していない路線でも運用数増加目的や無料Wi-fiが設置されているなどの理由で復興号が多く増備され、復興号による高速列車の運転本数が京津城際線を中心に中国全国で229本設定されることとなった。
2. 結び
今回の2018年4月10日中国鉄路ダイヤ改正では、350km/h対応の復興号乗り入れ路線拡大に伴い所要時間短縮と滞在時間長時間化が実現された。今後復興号の増備に伴いどのようなダイヤを組むのか、東海道新幹線における「こだま」のような停車駅の多い列車にも350km/h対応の列車が登場するのか、京広高速線でも最高速度引き上げを実施するのか、見守ってゆきたい。
コメント