中国鉄路は9月6日、プレスリリースにて9月20日に東北方面でダイヤ改正を行うと公表した( 9月20日起大连北—丹东之间增开动车组1对 )。また中国鉄路は9月27日、プレスリリースにて9月30日に哈佳線を開業すると公表した( 哈尔滨至佳木斯铁路9月30日开通运营 )。今回はこれらについて見ていく。
9月23日の広東省および香港特別行政区の広深港高速線開業に伴うダイヤ改正についてはこちら!
1. 遼寧省で増発へ
今回の2018年9月20日中国鉄路ダイヤ改正では、東北方面でも高速列車CRHの増発を実施する。
増発されるのは大連北9時23分発丹東行きD7717列車、丹東12時44分発大連北行きD7716列車、丹東17時55分発大連北行きD7714列車の3本で、今回の増発により大連北→丹東への列車は7本から8本に、丹東→大連北の列車は7本から9本に増発されることとなった。
2. 甘粛省でCRH乗り入れ路線増加へ
また今回の2018年9月20日中国鉄路ダイヤ改正では、敦煌線に中国高速列車CRHの乗り入れが開始された。
乗り入れるようになったのは5往復で、全て敦煌発着で運転される。内訳は蘭州西発着2往復、酒泉南発着1往復、嘉峪関南発着2往復で、全てD列車での運転となる。
ただし、今回の敦煌線CRH乗り入れは9月下旬~10月上旬の国慶節期間のみに限定され、定期列車による本格乗り入れは来年2019年6月からになる模様だ。ともなると今回の乗り入れは暫定開業ということなのだろう。
そのほか今回の2018年9月20日ダイヤ改正では、西安22時10分発昆明行きK165快速列車(2泊3日列車)と昆明20時03分発西安行きK166快速列車(2泊3日列車)が廃止となったほか、華北・西部方面でも快速列車・特快列車の時刻変更が行われた。
3. 黒竜江省で世界一極寒の高速新線開業へ
次に2018年9月30日ダイヤ改正では、哈佳線が開業した。哈佳線は黒竜江省の省都ハルビンとジャムスを結ぶ全長343kmに渡る路線で、最高速度は200km/hとなっている。今回開業したルートは既存の在来線となる浜北線・綏佳線経由とは大きく離れており、綏化を経由しないことから、在来線経由の507kmより164km短縮されることとなった。
ジャムスは過去に氷点下39.6度を記録したことのある極寒の地で、冬になれば氷点下20度がザラに出る。このようなことから現状の高速列車CRHでは寒地対策が不十分で、寒地対応車両のCRH5A型やCRH5G型、CRH380BF型を導入することとなった。
極寒地というと、日本でも北海道十勝支庁(当時)足寄町で氷点下41.0度を観測したことがあるが、足寄町は国鉄池北線→JR北海道池北線→北海道ちほく鉄道ふるさと銀河線が運転されていたが、2006年4月21日に廃止されてしまった。
ただ、足寄町には新幹線は通っていないし、そもそも冬季オリンピック開催都市で永久に天然雪で実施できる都市2つのうち1つの札幌にすら新幹線が通っていない。ともなると、いかに極寒地での高速鉄道が少ないかがわかるのではないだろうか。
料金はハルビン西~ジャムス間で2等車で通常127人民元(約2,100日本円)であるが、一部列車(早朝・深夜など)では115人民元(約1,900日本円)や90人民元(約1,500日本円)で利用できる列車もある。既存の在来線快速列車は72人民元(約1,190日本円)であることから、900日本円ほど値上がりしているが所要時間が2時間以上短縮されることを考えると妥当と思われる。
ダイヤについて見ていくと、哈佳線は1日15往復の列車が設定され、概ね1時間に1本程度の設定となった。また全列車ハルビン西~ジャムス間完結列車となり、ノンストップ列車は3往復設定されることとなった。
一方、他線との直通列車は設定されず、他の中国高速列車CRHに乗り継ぐためにはハルビン西で乗り換える必要がある。これは先述したように車両が極寒地対応で、北京や上海を走る一般のCRH車両では運用できないため、限定運用しているものと思われる。ただ今後も中国各地で高速新線の開業が相次ぐため、極寒地用の車両を増備することで長春・瀋陽・北京乗り入れを果たす可能性はありうるものと思われる。
今回の哈佳線開業により、これまでは昼行快速列車が11往復で最速5時間41分運転であったが、今回のダイヤ改正でハルビン西~ジャムス間ノンストップで最速2時間3分となった。
初列車は西行きはハルビン西5時27分発ジャムス行きD7811列車、東行きはジャムス5時18分発ハルビン西行きD7812列車となった。
また終列車は西行きはハルビン西19時34分発ジャムス行きD7855列車、東行きはジャムス20時11分発ハルビン西行きD7830列車となった。
この新線開業により、既存の在来線では西行きはハルビン6時38分発ジャムス行きK7085快速列車、ハルビン東13時13分発ジャムス経由鶴北行きK7119快速列車、ハルビン東15時23分発ジャムス行きK7007快速列車、ハルビン東22時46分発ジャムス行きK7011快速列車の4本、東行きはジャムス6時56分発ハルビン東行きK7006快速列車、鶴北6時34分発ジャムス経由ハルビン東行きK7120快速列車、ジャムス13時30分発ハルビン東行きK7086快速列車の3本の合計7本が廃止されることとなり、ハルビン~ジャムス間では在来線快速列車が39本から16往復32本に削減された。
4. 新疆ウイグル自治区でも利便性向上へ
次の2018年10月21日中国鉄路ダイヤ改正では、2018年9月1日ダイヤ改正以来、約1か月半ぶりにウルムチ鉄路局管内でもダイヤ改正を実施する。
増発されるのは喀和線で、ウルムチ発着のY964/1列車及びY964/1列車が喀什発着から和田発着に延長されることとなった。
これにより喀什~和田間の列車が4往復から5往復に増発されることとなった。
5. 結び
今回の2018年9月20日中国鉄路ダイヤ改正では、中国高速列車CRHの増発や臨時列車による直通運転拡大に伴い利便性が図られたほか、9月30日ダイヤ改正で哈佳線が開業したことにより、世界一極寒の高速鉄道が開業することとなった。
今後年末に向けて新線開業ラッシュが起こる中国鉄路で、どのようなダイヤ改正が行われるのか、楽しみにしたい。
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