中国鉄路では、毎年12月に新線を相次いで開業し、ダイヤ改正(调图)を実施している。今回は2018年12月に開業する各線について、運転系統も含め見ていく。
1. 相次ぐ新線開業へ
今回の2018年12月中国鉄路ダイヤ改正予測では、中華人民共和国内各所で新線が開業し、それに伴い例年通りであれば全国規模のダイヤ改正を実施する。開業する日は路線によって異なるが、12月下旬が一番多くなっている。そのため、12月上旬開業の路線では関係線区のみの小規模なダイヤ改正、20日以降には全国規模の大ダイヤ改正を実施する。
それでは概ね北から順に2018年12月に開業することが決まっている新線について見ていく。
2. 東北部へ移動時間短縮へ
2018年11月現在、北京から中国東北部方面へ伸びる高速線はなく、東北部方面高速列車は天津を経由して津秦高速線を経由し、京哈線を経由している。北京~天津間の京津城際線は350km/h対応であるが、それ以外の区間が最高でも210km/hとなっていることから、北京~瀋陽間703kmを最速で4時間1分、遅いと5時間半かけて高速列車を運転している。
しかし東北部方面への利便性を向上すべく、300km/h対応の京沈高速線北京~瀋陽間709kmを建設することとなった。
ただ、長距離ゆえ順次開業していくこととなり、2018年12月ダイヤ改正では全線のうち74.1%となるの525kmの区間となる遼寧省の瀋陽から内モンゴル自治区を経由して湖北省の承徳までの区間が部分開業することとなった。
なお北京〜承徳間は2020年頃の開業予定となっている。
3. 青島を中心に新線開業相次ぐ
次に山東省内の新線について見ていく。
山東省内では2018年12月20日にに3線同時開業を行う予定となっている。
まずは済青高速線から。済青高速線は済南~青島間の山東省内で完結する路線で、全長307.9kmの路線で、300km/hでの運転が計画されており、済南と青島を現行の最速2時間22分から約1時間で結ぶ予定となっている。また開業に合わせ、膠州市内に全長12.7kmの膠済膠黄連絡線を開業する予定だ。
ただ、済南と青島を結ぶ路線は膠済線(在来線)と膠済客運専用線(高速列車対応)があり、3本目の済青高速線が必要なのか疑問なところだ。
次に青連線と連塩線。青連線は山東省の青島と江蘇省の連雲港を、連塩線は江蘇省内完結路線で連雲港と塩城を結ぶ路線となっている。
青連線は全長194km、連塩線は全長234kmとなり、200km/hでの運転となる。この開業により、上海と青島を4時間で結ぶようになるようだ。
4. 華中で新線開業へ
また華中でも新線が開業する。
杭黄線は浙江省の杭州と安徽省黄山を結ぶ路線で、全長286mとなるが、杭甬線と杭州東~杭州南~分岐点までの21kmを共用しており、新規開業は265kmとなる。最高速度は250km/hとなる。
この開業により、上海・寧波・南京から黄山まで高速列車CRHで2時間~2時間半程度で結ばれるようになる。
運転本数は、黄山風景区発着は約30分間隔で1日約50本黄山区発着は1日8往復祁門県発着は1日8本の他に、旅遊列車を午前に1本、午後に1本計1日2本運転するようだ。
杭黄線は2018年12月28日に開業する予定となっている。
また湖南省では懐邵衡線が開業する。懐化、邵陽、衡陽の湖南省内の3市を結ぶ全長312.699kmに渡る路線で、最高速度は200km/hとなっている。
懐化~衡陽間を1日5往復、最速1時間48分で結ぶ予定だ。
また貴州省内では銅玉線が開業する。
貴州省内の銅仁と玉屏の結ぶ、全長47.71kmに渡る路線で、最高速度は200km/hとなっている。玉屏は在来線の沪昆線は経由していたが、沪昆高速線は経由しなかった。その代替としての新線建設となったものと考えられるが、韓国高速鉄道KTXのように京釜高速線の経由しない水原や密陽向けに在来線の京釜線経由の高速列車を設定している。しかし中国では支線を造ってアクセスさせ、高速新線の開業で高速列車CRHを乗り入れさせるようだ。
CRH380A型が使用される予定で、銅仁~玉屏間を23分で結ぶ予定だ。
最後に南龍線。福建省内の南平、三明、龍岩の3市結ぶ、全長246.55kmに及ぶ路線となっている。
最高速度は200km/hで、南平~龍岩間を在来線で3時間半から高速列車で1時間半に、福州~龍岩間を在来線で3時間から高速列車で2時間に短縮し、南平~厦門間に直通高速列車を走らせ2時間半で運転するとしている。
5. 西部では路線延伸へ
今回の2018年12月ダイヤ改正では、昆楚大線が大理~麗江間延伸を実施する・
雲南省内で完結し、大理〜麗江間は50分、昆明〜麗江間は3時間で結ぶ予定だ。
2018年7月1日ダイヤ改正で昆明~大理間の昆楚大線が開業したが、大理~麗江間は引き続き在来線列車の運転となっており、夜間は昆明~麗江間ノンストップ列車、昼間は大理~麗江間の高速列車接続のシャトル列車として運転されていた。
しかし今回の2018年12月ダイヤ改正では、高速新線が麗江まで延伸することにより、高速列車が麗江まで乗り入れられるようになる。大理開業時のダイヤからすると、おそらく昼行の在来線快速列車は全滅し、夜間の列車も削減・廃止される可能性が高い。
どうやら昼間の大理乗り換えは半年間の暫定的なものだったようだ。
なお今回の2018年12月ダイヤ改正に先立ち、12月1日に京広高速線で運用変更が実施され、2往復が和諧号から新型の復興号16両固定編成に置き換えられることとなった。京広高速線は最高速度が300km/hのため300km/h対応の和諧号から350km/h対応の復興号に置き換えても所要時間短縮はないが、無料wi-fiが使えるなど和諧号と比べて設備が充実しているようだ。
その他にも哈牡線を開業するようだが、実態がよく分かっておらず新線開業なのか既存在来線の高速列車CRH乗り入れ化なのか不透明となっている。
なお香港鉄路の情報によると、2018年9月23日ダイヤ改正で広深港高速線香港区間開業に伴ない設定されることとなった香港西九龍発着の列車は2019年2月末まで同一ダイヤで運転するとしており、2018年12月のダイヤ改正は香港では実施されないようだ。
6. 結び
今回の2018年12月中国鉄路ダイヤ改正予測では、多くの新線が開業し、新線を走る高速列車が新設される。例年であれば直前になるまで情報がでない開業もあるので、さらに多くの路線が開業する可能性がある。
一方で、例年在来線快速列車が削減される傾向にあり、日本のように新幹線と並行する区間は運転区間を短縮し乗り換えさせて全ての優等列車を廃止することはあまりないが、ほぼすべての区間で高速新線が並行するようになると快速列車を削減する傾向にある。
高速列車・在来線ともに2018年12月ダイヤ改正でどのようなダイヤとなるのか、楽しみにしたい。
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