中国鉄路は2018年12月28日に成蒲線を開業したと公表した。今回はこれについて見ていく。
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1. チベットに向けて新線開業へ
今回の2018年12月28日中国鉄路ダイヤ改正では、四川省で新線が開業した。
今回開業したのは川蔵線成都~雅安間の140kmとなっている(外部サイトの路線図はこちら)。ただ川蔵線という正式名称は案内には使用されておらず、路線愛称として成都~朝陽山間98kmには成蒲線、朝陽山~雅安間42kmには成雅線と呼称しているようだ。
この両線では直通運転を行っているのだが、同一開業したのになぜ路線名が異なるかというと成蒲線内は全て成都市内であるのに対し、川蔵線は成都市外の区間につける名称であるものと思われる。中国では地下鉄などの都市鉄道のみならず国鉄でも市内輸送を増強しようとしており、その一環として城際列車(C列車)を走らせてたり市内独自の線路愛称を別途付けているようだ。
また今回開業した成都~雅安間の140kmは全線複線で、最高速度は200km/hとなっている。
ちなみに路線名称の由来は、成蒲線は成都と蒲江の頭文字、成雅線は成都と雅安の頭文字となっている。しかし正式名称の川蔵線は四川省とチベットを示す蔵の2つを合わせてできている。つまり、今回開業した成都~雅安間は、中国西部最大の都市圏である四川省の成都からチベット自治区のラサを結ぶ基幹路線の先行開業ということなのだ。
もし川蔵線が全面開業すれば日本では新青森~東京~博多間に匹敵する全長1,838kmにも及ぶ路線となり2006年7月1日に開業した青蔵線に続くチベットへのアクセスルートの確保につながるのはもちろんのこと、高速列車CRHも乗り入れるようになることから(そのころには寧夏回族自治区の銀川にもCRHが運転されているはずなので)全ての省と自治区の高速列車CRHが運転されることになる。
ただ難点がある。1つはそもそも川蔵線の今回開業した140kmは全線複線で開業したが、残る区間は主に単線で開業することから160km/hでの運転となるため、所要時間がかかる点。
2つ目はチベット自治区内ラサ~林芝間は2016年より路線建設が着工しているが、省境区間となる雅安~林芝間は着工すらされておらず全線開業の見通しが立っていない。
3つ目はもし全線開業したとしてもチベット自治区内は自由旅行ができず、ツアーに申し込んだ上で旅行許可証が必要となる。このことから輸送量が制限されることは必至で、青蔵線では隔日運転列車がほとんどを占めている。もし北京とラサを結ぶ高速列車CRHが運転されるようになっても毎日運転されない可能性の方が高そうだ。
ただ、機関車牽引の客車しかチベット・ラサに行く術がない中で高速列車CRH出迎えるようになるのは、大幅な時間短縮になるものと思われる。
2. ダイヤはどうなる
では今回先行開業した川蔵線成都~雅安間のダイヤはどのようになるのだろうか。
2018年12月28日の運転開始時点では全列車が城際列車(C列車)で運転され、成都西~雅安間の開業区間全区間運転列車が1日4往復、成蒲線区間のみ運転の成都西~朝陽湖間の部分運転列車が1日4往復の合計8往復が設定された。
ただ全駅停車の列車はなく、どの列車もどこかの駅を通過している。運転本数の変わる朝陽湖に停車する列車も全線運転の雅安発着列車4往復のうち下り(雅安方面)2本と上り(成都方面)1本しか停車せず、半数以上が停車していない。
なお、所要時間は成都西~朝陽湖間で最速59分、成都西~雅安間で最速1時間17分となっている。
また料金は成都~朝陽湖間で36元(約600日本円)、成都~雅安間で52元(約860日本円)となっている。
3. 結び
今回の2018年12月28日中国鉄路ダイヤ改正では、四川省成都とチベット自治区ラサを結ぶ川蔵線のうち四川省内の成都と雅安を結ぶ区間が先行開業することとなった。
ただ、川蔵線の全線開業にはまだまだ時間がかかり、工事を着工していない区間すらあることから直近5年での開業は厳しいようだ。
今後中国の全ての省・自治区で高速列車が運転されるようになった際にどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。
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