電化による直通拡大で利便性向上へ! ドイツ鉄道・オランダ鉄道ダイヤ改正(2018年12月9日)

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ドイツ鉄道(Deutsche Bahn)はヨーロッパ鉄道時刻表にて2018年12月9日にダイヤ改正を行ったと公表した。今回はこれについて見ていく。

1. 直通列車の設定で利便性向上へ

今回の2019年ヨーロッパ冬ダイヤ改正に伴う2018年12月9日ドイツ鉄道ダイヤ改正では、直通列車の拡大により利便性の向上が図られる。

ベルリン中央10時05分発ICE91列車ウィーン中央行き及びウィーン10時15分発ICE92列車ベルリン中央行きの1往復となっている。

この列車の設定により、これまではベルリン中央~ニュルンベルク中央間とニュルンベルク中央~ウィーン間の高速列車ICEを乗り継ぐ必要があったが、今回のダイヤ改正で直通列車が設定されたことにより、利便性が向上した。

ただし、直通列車の所要時間はベルリン中央発ウィーン中央行きが7時間40分、ウィーン中央発ベルリン中央行きが7時間58分と、ともに東京~鹿児島中央間を「のぞみ」と「みずほ」「さくら」で乗り継ぐより所要時間が長くなっている。

これまでも高速列車ICEはドイツとオーストリアを結ぶ列車を運転しており、ハンブルグ中央とウィーン中央を結ぶ所要時間8時間半越えの列車は既に運転していた。しかしハンブルグ中央発着よりもベルリン中央発着の高速列車ICEの運転開始が遅れたのは、旧社会主義圏を通る必要があり交流構築が遅れたこともあるものと思われる。

これまでドイツの首都ベルリンからハンガリーの首都ブダペストへは特急格のユーロシティが昼行で1往復設定されていたが、オーストリアの首都ウィーンへの昼行直通列車の設定は今回の高速列車ICEが初となりそうだ。

前回扱った2017年12月10日ダイヤ改正では高速新線の開業もあり大規模なダイヤ改正となったが、今回のダイヤ改正は小規模なものとなったようだ。ただこのベルリン中央~ウィーン中央間の列車の設定は2017年12月10日ダイヤ改正で開業した高速新線経由のベルリン中央~ニュルンベルク中央~ミュンヘン中央間のうち1往復をニュルンベルク中央以南で振り替えたものであることを考えると、高速新線の需要があまり芳しくなく、直通運転区間を伸ばして利用者を増やそうとする策なのかもしれない。

2. 寝台特急増発で利便性向上へ

また今回の2019年ヨーロッパ冬ダイヤ改正に伴う2018年12月9日ドイツ鉄道ダイヤ改正では、夜行列車の拡大も図られた。

運転を開始したのはベルリン中央~プシェムィシル(ポーランド)・ブダペスト(ハンガリー)・ウィーン(オーストリア)を結ぶ1泊2日の夜行列車で、ブダペスト・ウィーン発着は寝台車連結の特急格のナイトジェット、プシェムィシル発着は2等座席のみの特急格のインターシティで運転され、3つの列車が分割・併合して運転される。

夜行列車の場合在来線を運転することとなることから、距離の短い経路を選ぶことが多い。このことから、この夜行列車はベルリン中央を出ると東に進みポーランドに入国しラチブシュでプシェムィシル行きインターシティを切り離した後チェコに入国、ブジェツラフでブダペスト発着とウィーン発着を分割しそれぞれオーストリアとスロバキアに入国、さらにブダペスト発着はハンガリーにも入国する。

よってベルリン中央~ブダペスト間の寝台特急格のナイトジェットは、ドイツ、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーの5か国にまたがる越境列車となっている。これだけ多くの国を容易に跨いで列車を設定できるのは、すべての国がEUヨーロッパ連合の加盟国でシェンゲン協定によりパスポート無しで自由に移動できるためであると思われる。かくしてフランスの首都パリとロシアの首都モスクワを結ぶ2泊3日夜行列車トランスユーロピアンエクスプレス(旧オストウエストエクスプレス)と同じ5か国を跨ぐ列車となった。

3. 電化で直通拡大へ

また今回の2019年ヨーロッパ冬ダイヤ改正に伴う2018年12月9日ドイツ鉄道ダイヤ改正では、ドイツ国境区間の電化により直通拡大を実施する。

電化されるのはオランダのヘールレンとドイツのヘルツォーゲンラート間の10kmとなっている。この区間を運転するのはオランダ鉄道であるが、これまでドイツ国内区間で電化されていなかったため、ヘールレン~ヘルツォーゲンラート~アーヘン間の列車は気動車による運転となっていた。

しかし今回のダイヤ改正でこの区間が電化されたことに伴い、高速化が図られている。ダイヤ改正前はヘールレン→アーヘン間は35分、アーヘン→ヘールレン間は34分で運転されていたが、今回のダイヤ改正で両方向とも31分に短縮し、所要時間が短縮した。

また電車化したことによりヘールレン~アーヘン間の列車がオランダのマーストリヒト発着に延長されることとなった。オランダ国内区間のマーストリヒト~ヘールレン間は既に終日30分間隔で運転されているが、これにアーヘンからの国際列車(ただしEU域内なので誰でも利用できる)60分間隔が延長運転することにより、マーストリヒト~ヘールレン間は毎時2本から毎時3本に増発することとなった。


4. 結び

今回の2019年ヨーロッパ冬ダイヤ改正に伴う2018年12月9日ドイツ鉄道ダイヤ改正では、国際列車の直通列車の拡大により大きく利便性が向上することとなった。

2019年12月にはエアフルト~バーンベルク間で新たな高速新線が開業予定であり、大規模なダイヤ改正を実施する見込みだ。

今後ドイツ鉄道やその周辺でどのようなダイヤ改正を実施するのか、見守ってゆきたい。

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