JR東日本は12月15日、プレスリリースにて2018年3月17日にダイヤ改正を行うと公表した( 2018年3月ダイヤ改正について )。今回はこれについて見ていく。
12月15日公表!2018年3月17日全国一斉ダイヤ改正まとめについてはこちら!
1. 「はやぶさ」への格上げにより東京発着定期「はやて」は1本のみに
今回の2018年3月17日東北新幹線ダイヤ改正では、E5系新幹線の増備に伴い「はやて」の一部が「はやぶさ」に格上げされ、スピードアップ(275km/h→320km/h)が図られる。
2017年12月より定期「はやて」のうち1往復でE2系からE5系に運用が変わったため「はやぶさ」への格上げは1往復のみではないかと予測記事で取り上げていたが、フタを開けてみると現在ある東京発着定期「はやて」5本中2往復4本が「はやぶさ」に格上げされ、東京発着定期「はやて」は東京7時16分発「はやて111号」のみとなる。
この「はやて」の「はやぶさ」の格上げにより東京~盛岡間で10~11分短縮されるが、いずれも仙台~盛岡間で各駅に停まるため速達型「はやぶさ」の待避を受ける。そのため所要時間短縮の恩恵は盛岡発着ではあまりなく、仙台~新花巻間の各駅から東京への利用が6分~11分短縮されるということになった。なお、現在は速達型「はやぶさ」の待避は一ノ関で行っているが、「はやて」が「はやぶさ」になったことでスピードアップが図られたため待避駅を北上に変更する見込みだ。
ではなぜ定期「はやて」を1往復残すかというと、未だにE5系は全ての臨時を含む新青森発着列車を賄うに至っておらず、盛岡発着も含めて大宮~仙台間ノンストップ列車はまだまだE5系だけでは足りない。ともなるとやむなく「はやぶさ」ではなく「はやて」を設定することとなるのであるが、臨時列車では時刻表に編成が掲載されないこともあり、運転日の少なそうな10月や11月は臨時を含めて一切「はやて」が運行されない可能性さえある。将来的に滅びる愛称ではあるのだろうが、東京〜盛岡間で全てを臨時列車とすると手間がかかるためあえて1本だけ残したのだろう。
2. 臨時「はやぶさ」の定期化進む
そしてもう1つの今回の東北新幹線ダイヤ改正の目玉は、前回の2017年3月4日ダイヤ改正に引き続き僅少「はやぶさ」の定期化が進められる。
まず1本目は東京15時44分発「はやぶさ29号」仙台行きで、この「はやぶさ」は2017年10月から週6日以上、11月よりほぼ毎日運転している東京~仙台間多頻度「はやぶさ」2往復4本のうちの1本であり、今回のダイヤ改正で見事定期化にこじつけた。
次の2本目は上り列車。新青森13時15分発「はやぶさ22号」東京行き(東京16時32分着)の列車だ。こちらも臨時「はやぶさ」からの定期化列車であるが、この臨時「はやぶさ」は仙台→東京間では先述の東京~仙台間多頻度「はやぶさ」4本のうちの1本なのであるが、新青森始発でも12月以降は土日を中心に週に2回程度設定されていた。仙台→東京間では需要が高いことはもとより、後続の新函館北斗発「はやぶさ24号」(ダイヤ改正後)の混雑緩和も兼ねての増発ということなのだろう。なおこの「はやぶさ22号」は現在でも僅少ながら秋田新幹線「こまち」を連結することがあるため、「はやぶさ」定期化後も繁忙期の一部の日において「こまち」連結を継続して行うものと思われる。
最後は盛岡→新青森間で定期化区間を延長する「はやぶさ17号」である。こちらは東京→盛岡間では既に定期列車であるが、盛岡→新青森間はゴールデンウィークや年末年始などの超繁忙期にしか運転されない僅少列車だ。なぜこの「はやぶさ17号」が延長されたかというと、おそらく先述の「はやぶさ22号」を運転するための運用繰り列車だろう。そのため先述の多頻度「はやぶさ」が定期化した2本の「はやぶさ」は所要時間に変化はなくそのままのスジで運転されるが、この「はやぶさ17号」だけは新青森着時刻が14時09分から13時58分に11分繰り上がる。これは現在僅少運転される際に盛岡以北では各駅に停まるが、定期化に際し盛岡を出ると八戸・新青森のみに停車駅を絞ったことで速達性を向上したものと思われる。
この増発により、東京~新青森間の定期列車(「はやぶさ」のみ)は17往復→18往復に1往復増加した。
なお、前回の2017年3月4日ダイヤ改正で設定された昼間の東京~仙台間定期「はやぶさ」の号数にに50番台が付与されていたが、JR東日本秋田支社のプレスリリースから類推するに今回の2018年3月17日ダイヤ改正より新青森・新函館北斗発着の速達型「はやぶさ」と通し番号で振られることなり、1~42号が割り当てられることとなった。これは、前回の2017年3月4日ダイヤ改正では1往復の定期化、しかも東京~仙台間の「はやぶさ」のみで北海道新幹線にはなんら時刻変更が行われないにも関わらず号数のみをかえて経費をかさませることは得策ではないと判断したためではないだろうか。
また北海道新幹線では盛岡始発と仙台始発の新函館北斗行き「はやて」「はやぶさ」で1分程度の運転時刻変更を行うにとどまった。
3. 北陸新幹線も臨時列車の定期化へ
また今回の2018年3月17日JR東日本ダイヤ改正では、北陸新幹線でも2015年3月14日ダイヤ改正以来初となる定期列車の増発が行われる。
増発されるのは東京~長野間の「あさま」1往復である。これにより北陸新幹線定期「あさま」は18往復から19往復へと増発されるが、このスジは2017年現在下り(長野・金沢方面)は臨時「あさま」「はくたか」「かがやき」、上り(東京方面)は臨時「はくたか」「かがやき」として運転されるスジである。このうち臨時「はくたか」についてはこのスジが「あさま」として定期化した後でも臨時列車として延長して「はくたか」として運転される日があることから今後も継続して臨時「はくたか」を運転するものと考えられるが、この「あさま」は軽井沢や上田などにも停車するため、全席指定席の停車駅の絞った臨時「かがやき」をこの時間帯で運転することは不可能となりそうだ。
それを考慮してか、JR西日本金沢支社のプレスリリースでは上野行き臨時「かがやき」を終末に運転するとしている。これは「あさま」の定期化によってダイヤを変更せざるを得なくなった臨時「かがやき」が、いざダイヤを立ててみようとしたところ2面4線の東京駅に入線する余裕がなく、やむなく上野行きになったものと考えられ、下り列車も1本定期「あさま」にスジを潰されることとなったから、プレスリリースには記載はないが上野発の臨時「かがやき」も設定されるのではないだろうか。なお上野発着の臨時「かがやき」については、上野・大宮発着の「はやぶさ」同様、グランクラスはシートのみの営業になるものと思われる。
そのほか、平日のみ運転の上越妙高発長野行き臨時「はくたか」2本のうち7時台に運転される1本は今回の2018年3月17日より運転を取りやめることとなった。なお、上越新幹線に関しては最高速度の引き上げは行わず、両数変更などの運用変更に留まり時刻変更は行わない見通しだ。
4. 結び
今回の2018年3月17日ダイヤ改正では、東北新幹線で2年連続臨時列車の定期化が行われたほか、北陸新幹線でも臨時列車の定期化が行われ広がりを見せている。またE5系の増備により「はやて」の「はやぶさ」化も進み、スピードアップに貢献している。
今後E5系が増備され東北新幹線はどうなってゆくのか、北陸新幹線福井・敦賀延伸でどのような変化が訪れるのか、高速試験車ALFA-Xの成果により開発される新型車両が最高速度をどこまで引き上げダイヤ面でどのような効果を発揮するのかなど、将来的にも中長期的に成長が見込まれそうな路線だ。今後どのようなダイヤを組むのか楽しみにしたい。
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