はやての鈍足はやぶさ置き換えと大宮6時発新青森行きはやぶさ運転へ 東北新幹線臨時列車運転(2018年7月~9月夏期間)

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JR東日本盛岡支社は5月18日、プレスリリースにて2018年7月~9月の臨時列車について公表した( 夏の臨時列車のお知らせ )。今回は2018年7月~9月に運転される東北新幹線「はやぶさ」の臨時列車について見ていく。

2018年3月17日全国一斉ダイヤ改正まとめについてはこちら!

1. 大宮6時発新青森行き「はやぶさ」設定へ

 今回の2018年JR東日本盛岡支社夏の臨時列車運転では、東北新幹線「はやぶさ」でも多彩な臨時列車が運転される。

特筆的なものとしては、6月23日・6月30日・7月28日の3日間は北海道新幹線直通の新函館北斗行きとして運転される大宮6時発臨時「はやぶさ101号」が、9月8日に新青森行きとして運転されることである。過去に大宮6時発臨時「はやぶさ101号」がいかに首都圏や仙台から東北地方各都市への移動に重宝されるかを書いたが、それを早速東北地方のためだけに設定したものと思われる。

なお、この大宮6時発臨時「はやぶさ101号」は北上で仙台始発定期「はやぶさ95号」を抜かすため、盛岡や新青森で乗り換えれば新函館北斗に10時05分に到着でき、普通はこだてライナーに連絡することで函館に東京6時32分発定期「はやぶさ1号」利用より39分早い10時46分に到着することができる。また札幌へも定期特急「スーパー北斗7号」を利用することができ、札幌に13時46分に到着することができる。その後の北海道内接続については前回記事に記した通りで、石北本線特快きたみにも連絡することができる。

確かに大宮6時発臨時「はやぶさ101号」を新函館北斗行きとして運転した方が1回乗り換え回数が減るので利便性が高いが、鉄道ファンにとっては「はやぶさ」を「はやぶさ」が抜かす(大抵盛岡発着「はやぶさ」を新青森・新函館北斗発着「はやぶさ」が抜かす)ことは多くはないものの毎日実施されているが、新函館北斗行き「はやぶさ」を新青森行き「はやぶさ」が抜かすという点で新鮮だと思われるし、新青森行きとして運転されても札幌まで東京6時32分発定期「はやぶさ101号」より約1時間早く到着できるのは、貴重な機会だと思う人もいるのではないだろうか。




2. 「はやて」の「はやぶさ」転換進む

 また今回の2018年JR東日本盛岡支社管内での東北新幹線夏の臨時列車運転で目立つのが、臨時「はやて」の「はやぶさ」への格上げである。

下り(新青森方面)では5月4日まで運転されていた東京7時04分発臨時「はやて351号」新青森行き(10時29分着)が東京発時刻も新青森着時刻も変わらず、8月11日より「はやぶさ383号」として運転される。

なぜ東京から新青森までの所要時間を一切変えずに大宮~盛岡間で510円の加算料金をとる「はやぶさ」に格上げされたのかというと、これまでの途中停車駅であった上野、大宮、仙台、一ノ関、盛岡、八戸に加え275km/h運転から320km/h運転にスピードアップした分古川と北上に追加停車することとなったためであり、大宮→仙台間では6分短縮されているものの、東京~盛岡・新青森利用では所要時間が短縮されないにもかかわらず加算料金を取られることとなったのである。ただ、JR東日本としてもこの「はやて」を格上げした「はやぶさ」の設定は、将来的には山形・秋田を除く東北新幹線列車をE5系とJR北海道から直通するH5系に統一する方針であるため目指すべき目標ではあるが、短期的にははばかりがあるようで、前年は期間中15日運転されたにも関わらず本年は2日しか運転されない。その分はどうなったかというと、東京6時56分発「はやぶさ47号」をこれまで北海道新幹線直通新函館北斗行きのみとして運転されていたが、これを新青森行きとしても臨時列車を設定することにより速達性を維持したまま運転本数を確保することとなった。

また上り(東京方面)では、5月6日まで設定されていた新青森11時32分発臨時「はやて354号」東京行き(14時56分着)が7月16日の運転日より新青森11時28分発臨時「はやぶさ384号」東京行き(14時56分着)に置き換わる。東京着時刻が同じで「はやて」から「はやぶさ」に格上げして新幹線特急料金を510円高くするにもかかわらず、所要時間が4分延びるのだ。これは、2018年春までの「はやて354号」時代は途中停車駅は八戸、盛岡、仙台、大宮、上野であったが、今回の2018年夏の臨時列車運転では途中停車駅に北上と古川が追加されたことによる。なぜ一ノ関に停車しないかというと盛岡始発定期「やまびこ46号」東京行きを2面2線しかなく追い越す際に停車できない一ノ関で抜かすからであるが、仙台以北で停車駅を増やすことで所要時間が一定程度かさんだようだ。これにより仙台→大宮では所要時間が8分短縮されている一方、最高速度260km/hであり「はやぶさ」も「はやて」も速度が変わらない新青森→盛岡間で所要時間が2分延びている。新青森発時刻を2分繰り下げて11時30分発にすることはできなかったのだろうか。なお、8月11日及び8月12日には盛岡始発で東京14時56分着臨時「はやて334号」が運転されるが、E5系運用ながらも仙台まで各駅に停まることとなっている。




これらの臨時「はやて」から「はやぶさ」への格上げにより、前年夏期間には東京・上野~新青森間の臨時「はやて」は5往復あったが、今回の2018年夏の臨時列車運転では4往復に減っている。定期列車のE2系新青森乗り入れは2013年3月16日ダイヤ改正にて消滅しており、既に5年が経過しているが、臨時列車も含めE2系が新青森に乗り入れなくなる日も近いのかもしれない。

これらの臨時「はやて」の「はやぶさ」化への背景は、E5系が順次増備されていくことに伴い運用を代替しつつあるからであるが、現在のダイヤでは仙台~盛岡間のどこかで定期「やまびこ」を抜かさなければならず、待避駅を変更する場合(特に2018年3月17日ダイヤ改正で多かったのが、待避駅の一ノ関から北上への変更)には改めてダイヤ改正を行う必要がある。しかし毎年3月にダイヤ改正を実施していることから春と夏、冬では時刻変更を行うことは難しく、東京~仙台間で所要時間を短縮させ「はやぶさ」としたとしても、東京~盛岡間では所要時間を変えられないので、停車駅を増やすことで利用可能駅が増えるアピールをしつつじつは所要時間を短縮できないことをごまかしているように感じる。今後のダイヤ改正で改善が図られる可能性が高く、一時的なものと思われる。

そのほかの臨時「はやて」も運転日を急速に減らし、周辺の臨時「はやぶさ」の増発につなげている。また東京15時44分発「はやぶさ29号」新青森行きや新青森16時02分発「はやぶさ60号」東京行きが2018年春の臨時列車運転と比べ大幅に増発されることとなった。また、昼間の大宮始発の「はやぶさ」についても継続して設定されることとなり、大宮10時10分発臨時「はやぶさ69号」新青森行き(新青森13時08分着)が7月14日、9月15日、9月22日の三連休初日に運転され、新青森13時30分発臨時「はやぶさ68号」大宮行き(大宮16時26分着)が7月16日、9月17日、9月24日の三連休最終日に運転される。
なお、前回2018年春の臨時列車運転で紹介した「はやぶさ」潰しの「やまびこ」については、東京18時44分発「はやぶさ67号」新青森行きは運転されず、東京18時44分発「やまびこ485号」盛岡行きとして8月10日〜12日まで設定されることとなる。「はやぶさ」のスジを「やまびこ」で完全に潰したようだ。


3. 結び

 今回の2018年7月~9月東北新幹線夏の臨時列車運転では、東北新幹線で「はやて」の「はやぶさ」化が進んだ。特に東北新幹線臨時「はやて」の「はやぶさ」化はE5系が続々投入され専用運用が組みやすくなったというのはあるが、最高速度を引き上げたにもかかわらず途中停車駅を増やすことで臨時「はやて」時代と所要時間が変わらない臨時「はやぶさ」を設定したり、臨時「はやて」時代より遅い時刻設定の臨時「はやぶさ」を設定している。確かに長期的に見れば東北新幹線E2系が全てE5系に置き換われば臨時も含め「はやて」は滅びる運命なので「はやて」の「はやぶさ」化は当然のことなのであるが、それで停車駅を増やして所要時間を同一にしたり遅くしては首都圏~仙台のためだけの速達性となってしまい、北東北向けには純粋な値上げのみとなってしまう。

2018年12月~2019年2月冬期間臨時列車運転までは同じダイヤで臨時列車が組まれるため遅い臨時「はやぶさ」が多数設定される可能性が高いが、今後の東北新幹線ダイヤ改正で臨時列車スジがどのように改良され、臨時「はやぶさ」もどのように所要時間短縮を図るのか、楽しみにしたい。

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