あおば大量発生と4時間越えこまち設定へ! 東北新幹線臨時ダイヤ運転(2020年5月28日~当分の間)

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JR東日本は2020年5月13日、プレスリリースにて5月28日より臨時ダイヤでの運転を行うと公表した( 発売見合わせ中の新幹線および在来線特急等の運転計画・指定席発売について )。今回はこのうち東北新幹線について見ていく。

同日実施予定の上越・北陸新幹線臨時ダイヤ運転はこちら!

1. 東北新幹線の臨時ダイヤ実施で「あおば」大量発生へ!

今回の2020年5月以降当分の間実施する東北新幹線臨時ダイヤ運転では、利用の大幅な落ち込みにより減便を図る。

そもそも2020年5月のゴールデンウィークは外出自粛もあり、前年の5%程度しか利用がなかった。以前の記事でソーシャル・ディスタンスを取った座席の取り方をしても3分の1程度までの減便ができることがわかっていることから、今回の臨時ダイヤ運転で減便をすることとなったようだ。

今回の臨時ダイヤ運転では運転時刻が変わっていないのに列車番号が変わっている列車があり、ほぼ全面的に臨時ダイヤを組んでいる。

ただ減便しても極力乗車チャンスを残すために、停車駅を増やしている。これにより東京~仙台間運転の各駅停車の「やまびこ」、つまりかつての「あおば」が大量発生しているのだが

もっとも、「あおば」タイプの「やまびこ」は定期列車でもわずかながらに存在する。しかし今回の臨時ダイヤでは大幅に増強している。

特に最強なのは、東京16時36分発「やまびこ305号」盛岡行きと盛岡7時00分発「やまびこ350号」東京行き。なんと東京~盛岡間で各駅に停まる。「あおば」も盛岡発着の設定はあったが、それはあくまで仙台~盛岡間運転の列車。東京~盛岡間の「あおば」なんて東北新幹線38年の歴史で一度もない。つまり今回の臨時ダイヤ運転では史上初の東京~盛岡間で各駅に停車する新幹線を設定したのだ

また山形新幹線「つばさ」が「あおば」同然の「やまびこ」と併結し小山や那須塩原、新白河に停車している列車を設定している。設定するのは東京12時44分発「つばさ39号」山形行きの1本のみだが、東北新幹線内のみならず山形新幹線内も「つばさ」一部停車駅含め全て停車する。各駅に停車する「つばさ」なんて1992年7月1日の山形新幹線運転開始以来ないし、やりたい放題すぎる

この臨時ダイヤで、結果山形新幹線「つばさ」のうち東京発着の列車は20往復から9往復に削減することとなった。

このほか山形新幹線「つばさ」関連では、山形9時03分発「つばさ132号」があたかも福島行きとして記載しているが、折返しの福島始発の「つばさ」がないこと、JR東日本公式の乗り換え案内では東京まで直通することになっているので、併結を書き忘れただけだろう。




2. 「はやぶさ」「こまち」でも停車駅増加へ

今回の2020年5月以降当分の間実施する東北新幹線臨時ダイヤ運転では、「はやぶさ」「こまち」でも減便を図り、停車駅を増加する。

盛岡以北に行く列車は大宮~仙台間の途中停車駅はない。これは「はやぶさ」「こまち」の大宮~仙台間の途中駅発着の場合の料金設定がなく、国土交通省の認可も受けていないためである。逆に言えば山形新幹線「つばさ」にE8系を投入し最高速度を引き上げ料金を値上げすれば「つばさ」の小山、那須塩原、新白河停車は行わなかった可能性が高い。

しかし昼間の「はやぶさ」「こまち」は仙台~盛岡間で各駅に停車することで所要時間が28~32分伸びてしまい、秋田新幹線「こまち」の4時間越え列車が多い。おそらく利用チャンスが減ることにより各駅間の利便性を確保する目的なのだろうが、多客期など「やまびこ」の臨時列車の運転が多ければまだしも、それ以外は盛岡乗り換えでの「はやぶさ」と「やまびこ」の利用は利便性は良くない。そこまで所要時間を延ばしてまで仙台~盛岡間の昼間のノンストップ運転を取りやめる必要もあったのかどうか疑わしいし、停車させるとしても古川、一ノ関、北上の3駅で十分だろう。

4時間越えの秋田新幹線はE6系導入完了後も工事の関係で2019年10月26日~31日東北新幹線臨時ダイヤ運転で行ったことはあるが、それが今後も継続するとなると何のためにE6系を投入して所要時間を短縮したのだろうか…

なお奥羽本線内や田沢湖線内では減便はあるものの、時刻変更は行っていない。在来線での時刻変更は列車交換の変更も絡むことから、難しいのだろう。

これにより秋田新幹線「こまち」は16往復(仙台発着1往復含む)から8往復(東京発着のみ運転)の運転に半減した。

また東北新幹線「はやぶさ」のうち東京~新青森間運転は新函館北斗発着を含めて19往復から13往復に減便したほか、北海道新幹線では13往復から東京発着の「はやぶさ」3往復を削減し10往復とした。なお停車駅増加により、昼間は東京~盛岡間で約2時間50分、東京~新青森間で3時間40分かかるようになり、通常時より28~32分程度長くかかるようになる。しかもいわて沼宮内や二戸、七戸十和田の3駅を通過するのに仙台~盛岡間で各駅に停車する「はやぶさ」を設定するんだ、もう謎列車すぎる。なおこの時刻変更により、JR東日本盛岡支社管内では在来線で一部の列車で時刻変更を行い、極力東北新幹線と連絡できるようにする。

これにより初終列車にも影響が出ている。新青森6時17分発「はやぶさ4号」東京行きは通常時は盛岡で増解結を行わず、途中停車駅も八戸、盛岡、仙台、大宮のみの速達列車となっており、東京に9時23分に到着する。しかし今回の臨時ダイヤ運転では後続の新青森6時49分発「はやぶさ8号」東京行きが運休することにより、救済として新青森→盛岡で各駅に停車することとしたほか、盛岡で秋田6時08分発の「こまち」の一番列車の増結待ちを行うため盛岡で14分も停車した挙句、盛岡7時27分発「はやぶさ104号」東京行きも運休させるので仙台まで各駅に停車する。おかげさまで東京到着は10時24分となり、初列車が通常ダイヤより1時間01分遅くなるほか、新青森→東京間で4時間07分もかかってしまっている。なお秋田から東京への初列車も東京9時47分着から東京10時24分着に37分繰り下がっている。もはや秋田や新青森が東京から見て岡山どころか広島より遠くなっているのだが…

ちなみに七戸十和田、二戸、いわて沼宮内から初列車での東京への到着時刻は10時32分着から10時24分着に8分繰り上がっている。停車駅が増えているので所要時間はかかっているのだが、利便性がやや上がっているのは如何なものだろうか。

このほかにも盛岡6時10分発「はやぶさ102号」東京行きを盛岡6時10分発「やまびこ302号」東京行きに格下げし、東京8時56分着から9時24分着に28分繰り下げた。そもそもこの盛岡6時10分発「はやぶさ102号」は仙台まで各駅に停まる列車なので「やまびこ」に格下げしても影響が少ない列車なのだが、おかげさまで通過駅は那須塩原と小山のみとなった。盛岡発着の「やまびこ」が、新白河に停まるのね…

なお盛岡発着の「はやぶさ」の多くは「やまびこ」格下げまたは運休となっているが、一部は「はやぶさ」のまま存続している。

また仙台6時36分発「はやぶさ2号」東京行きを運休することにより、仙台から東京への一番到着の列車が仙台6時06分発「やまびこ402号」東京行きに変わり、仙台を30分も早く出ないと8時30分までに東京に着けなくなってしまう。なお、この仙台6時06分発「やまびこ402号」東京行きは通常ダイヤの「やまびこ202号」と比べ那須塩原に停車することで、各駅停車の「あおば」のように運転するが、所要時間は変わっていない。通常ダイヤではE5系とE3系6両編成を連結した16両編成で運転するが、臨時ダイヤではE5系のみの10両編成で運転し、一部区間で速度を引き上げて所要時間を延ばさないようにするのだろう。

ちなみに仙台からの初列車の次の列車は、1時間05分も空いている。その間の列車4本を完全運休しているためなのだが、流石に間引きすぎだと思うのは気のせいだろうか…


3. 結び

今回の2020年5月以降当分の間実施する東北新幹線臨時ダイヤ運転では、利用の大幅な落ち込みにより減便を行うこととなった。

しかし、列車の削減に伴う乗車チャンスを極力落とさないため、全面的に停車駅が増え、所要時間が大幅に伸びることで高速鉄道としての使命を果たしているのか疑問な内容となっている。

今後どのように東北新幹線のダイヤが戻っていくのか、見守ってゆきたい。

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