JR東日本は2020年5月21日、プレスリリースにて2021年7月~9月に運転する夏の臨時列車について公表した( 夏の臨時列車の運転と指定席発売計画について )。今回は東北・上越・北陸・北海道の各新幹線の2020年夏の臨時列車運転について見ていく。
1. 東北・上越新幹線で臨時列車消滅へ
例年7月~9月夏の臨時列車運転では、東北・上越・北陸・北海道新幹線で増発を実施する。
ただ本年2021年の7月~9月夏の臨時列車運転ではJR北海道管内の北海道新幹線では8月12日~8月16日に青函トンネル内で最高160km/hから210km/hに引き上げ所要時間を3分短縮するほか、JR西日本管内では北陸新幹線「つるぎ」を94本増発するとしている。が、今回の臨時列車運転ではJR東日本管内では新幹線の臨時増発を一切行わないのだ。
しかもJR東日本仙台支社のプレスリリースに至っては「今回お知らせする臨時列車はございません。定期列車をどうぞご利用ください。」と書く始末。まあ完全に臨時列車運転可能性ゼロというわけではなく大幅に規制を緩和すれば臨時列車を運転する可能性もないわけではないのだが(と言ってもほぼないに等しい)、2020年は多客期直前に直前に宣言だの規制だのが出てしまいせっかくの増発が空席まみれになっていたものを防ぐために、最初から臨時列車を設定しないこととなったのではないだろうか。おいおい、これまでお盆期間だけでも臨時列車を設定してきたというのに、ますます車両が要らなくなるではないか。
この臨時列車大幅削減で差し当たり本来2021年3月13日ダイヤ改正で消滅するはずだったE4系が運用する上越新幹線臨時列車が減ったので廃車が進みやすくなったのだが、他にも臨時列車に半数ほどを割くE5系やE6系、さらには近い将来置き換え予定の山形新幹線用E3系の運用も大きく減るのである。まあE5系とE6系は走行距離短縮による寿命延長が見込めるので将来的な経費削減になるが、山形新幹線用E3系の運用数を抑えてもあまり効果は大きくないような気はするが…
今回これまでしてJR東日本が新幹線の全臨時列車削減に及んだのは、JR東海やJR西日本が2020年度にそれぞれ2000億円~2500億円の赤字になったのに対し(しかもJR東海は2020年度に四半期単独で黒字になった期があるため、2021年度は黒字の可能性高)、JR東日本は年間で5000億円以上の赤字でJR東海やJR西日本の2倍以上の赤字を計上していることから少しでも経費を抑えなくてはならず、余裕がないからだろう。
2. 結び
今回の2021年の7月~9月夏の臨時列車運転では、JR東日本管内で新幹線の臨時増発を一切行わないため大幅に運転本数を減らすこととなった。
今後2023年の上越新幹線E7系統一化や2024年の北陸新幹線敦賀延伸に向け、東北・上越・北陸・北海道の各新幹線でどのような臨時列車を運転するのか見守ってゆきたい。
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