JR東日本は2022年3月30日、プレスリリースにて一部区間運転再開に伴い3月22日以降の東北新幹線臨時ダイヤを更新すると公表した( 東北・山形新幹線 4月2日以降東京~福島~新庄間臨時時刻表 東北・北海道・秋田新幹線 4月4日以降仙台~秋田・新青森~新函館北斗間臨時時刻表 )。今回はこれについて見ていく。
4月14日以降の東北新幹線全線運転再開後の臨時ダイヤはこちら!
1. 東京~福島間で臨時ダイヤ設定へ
今回の2022年4月2日より実施の東北新幹線臨時ダイヤ運転では、郡山~福島間の運転再開に伴い東京~福島間で臨時ダイヤで運転する。
これに合わせ東北新幹線では普通車指定席およびグリーン車指定席の発売を再開する。
今回郡山~福島間が復旧したことにより新幹線列車の運転区間を拡大するほか、東京~山形~新庄間の山形新幹線は全線で運転を再開することとなった。
ただ、今回復旧する郡山~福島間は160km/h程度の減速運転を行うため、所定では13分のところ18~20分で運転する。
今回の臨時列車運転で設定するのはすでに運転再開をしている東京〜那須塩原・郡山間の「なすの」のほか、東京〜福島間の「やまびこ」、および東京〜山形・新庄間の「つばさ」を設定する。
なお今回の臨時ダイヤの列車番号は定期ダイヤと異なり「つばさ」が250番台、「やまびこ」が300番台としている一方、「なすの」が400番台から30番台に変更している。「なすの」の列車番号2桁化が不気味に映るのは私だけだろうか?
停車駅について見ていくと、「なすの」は全駅停車なのは定期ダイヤでも同じだが、今回の臨時ダイヤで運転する「やまびこ」も全駅停車のみの運転となっている。このため東京〜福島間の東北新幹線で通過駅のある列車は山形方面の「つばさ」のみとなる。これにより東京~福島間は定期ダイヤでは「やまびこ」「つばさ」ともに約1時間31分~1時間35分で到達できるところ、臨時ダイヤでは「つばさ」は約1時間40分、全駅停車のみ設定の「やまびこ」は約1時間50分での運転となる。
しかも「つばさ」は全列車全区間でE3系7両編成による単独運転となり、E2系との福島での増解結は行わない。前回の2022年3月12日ダイヤ改正に合わせ「つばさ」は全車指定席化を図ったことから、棲み分けは十分できると判断したのだろう。これにより自由席連結の東北新幹線列車は全駅停車しかない。
なお今回の臨時ダイヤ運転で設定する「つばさ」の東北新幹線内の停車駅は、全列車が東京、上野、大宮、宇都宮、郡山、福島に固定しており、定期ダイヤで設定のある大宮〜福島間ノンストップ列車の設定はない。
また「やまびこ」は原則E5系10両編成で運転するが、定期ダイヤと同じ本数である1日2往復は17両編成で運転する。定期ダイヤでは2往復ともE5系またはH5系とE6系を連結した17両編成で運転するが、今回の臨時ダイヤ運転では1日1往復はE5系とE6系の併結となったが、残り1往復は定期ダイヤにはないE2系とE3系を連結した17両編成とした。
なお運転本数は「やまびこ」16往復と「つばさ」12往復となっており、「やまびこ」は概ね毎時1本の運転を確保している。
(2022.4.8追記)なお2022年4月8日より東京~那須塩原間の「なすの」2往復と郡山→東京間の「なすの」2本を普通車全車自由席で増発することとなった。もっとも東京~福島・仙台間の列車本数に変わりはないが、今回設定する「なすの」は全て東京~福島間運転の「やまびこ」の直前に設定していることから、「やまびこ」の混雑分散を見込んでいるようだ。
1.1. 臨時快速列車を増発も航空臨時便も引き続き設定へ!
また今回の2021年4月2日より実施のJR東日本臨時ダイヤ運転では、東北本線臨時快速の運転区間を拡大する。
今回の東北新幹線一部区間運転再開に合わせ東北本線臨時快速は郡山~仙台間から福島~仙台間運転に短縮し、6往復から9往復に増発する。なお臨時快速列車は全車自由席のため、座席の指定はできない。ただ福島~仙台間は東北本線普通電車で1時間20分程度、白石乗り換えの場合でも1時間30分程度で到達できるにもかかわらず、臨時快速列車でもほぼ同じ所要時間の1時間10分~1時間20分程度の運転となっておりあまり所要時間が変わっていない。速達性には欠けると言わざるを得ないだろう。
この東北本線臨時快速列車と東北新幹線「やまびこ」を乗り継ぐことにより、仙台→東京へは東京に9時04分に到着できるほか、東京から仙台への最終も東京20時16分発としている。
ただこの臨時快速列車、E653系7両編成で運転しており通常同区間を運転するE721系や701系の最大6両よりは長いが、混雑が激しいため3月27日より定期普通列車の時刻も掲載する始末である。
そもそもJR各社の時刻情報は販売物であり(ただし急遽作成した臨時ダイヤは除く)、著作権法および関連省令により雑誌である時刻表の最新号は1ページまでしか引用してはならない。もっともJR東日本は時刻の制作元のため雑誌の著作権保有者の1つではあるが、販売物である定期列車の時刻をWEB上に新たに掲載するに当たり各社に許可を得るのが時間がかかったのだろう。
これにより東北新幹線「やまびこ」と東北本線臨時列車を乗り継ぐことで、東京〜仙台間が約3時間~3時間30分程度で到達できるようになる。
なお常磐線は原ノ町~岩沼間で未だに速度規制が解かれておらず、常磐線特急「ひたち」(減速区間は臨時快速)は上野~仙台間を5時間以上かけて運転している。にもかかわらず4月2日以降も通常ダイヤより1往復増発することが解せないのだが。東北新幹線経由で3時間~3時間30分程度で到達できるのでもう常磐線の臨時増発はいらないだろう。
なお羽田空港~仙台空港間の航空機臨時便は引き続き設定する。JAL便は1日4往復のまま変わらないが、ANA便は今回の部分復旧に合わせ5往復から3往復に減便することとなった。
1.2. 山形新幹線運転再開も大幅に本数減へ
また今回の2021年4月2日より実施のJR東日本臨時ダイヤ運転では、山形新幹線の全線で運転を再開する。
先述したように郡山~福島間で160km/h程度の減速運転を行う影響で山形新幹線「つばさ」も所要時間が10分程度伸びることとなった。が、東京駅発着枠と福島駅が11番線しか利用できないのと奥羽本線内の一部単線区間のはざまで調整していることから、福島駅での停車時間が10分以上となっている列車も珍しくない。
もっとも奥羽本線内では普通電車との列車交換もあることから定期列車または臨時列車の時刻に合わせて今回の臨時ダイヤを設定していることが多いが、早朝深夜には定期列車でも臨時列車でもない新たな時刻を引き直して臨時ダイヤを設定しているなど運転時間帯を極力縮小しないような空も見られる。
とはいえ山形新幹線「つばさ」は通常ダイヤでは16往復の運転があるが、今回の臨時ダイヤ運転では全線運転再開したにもかかわらず12往復しか運転を行わない。そもそも使用車両のE3系7両編成は多客期に「つばさ」を毎時2本運転しても足りるように配置しているし、営業区間外である仙台に大量に留置しているなんて考えにくいし、所要時間がたかだか20分しか伸びていないことを考えると、減便しすぎではないかとは思うが。
また奥羽本線内では福島〜山形間では3月19日以降の臨時ダイヤで運転していた10往復から12往復に増発するが、山形〜新庄では8往復から6往復に減便することとなった。
山形新幹線は全線で運転を再開したにもかかわらず運用都合を超えて大きく減便していることを考えると、通年の旅客利用の減少を反映して減便しているように見えるんは気のせいだろうか(もっとも地震後電力事情もあまりよくないので効果的な節電と言われればそれまでだが)。
2. 仙台~秋田・新函館北斗間の直通運転再開へ!
今回の2022年4月4日より実施の東北新幹線臨時ダイヤ運転では、仙台〜一ノ関間の運転再開に伴い、臨時ダイヤを改めて設定する。
運転再開はするものの減速運転を行うため、仙台~一ノ関は各駅停車で所定35分かかるところを46分かけて運転する。
今回設定するのは仙台~新青森・新函館北斗間運転の「はやぶさ」16.5往復に仙台~秋田間の「こまち」14往復のほか、早朝深夜の補完として盛岡・新青森~新函館北斗間の「はやて」3往復、朝夕の仙台~盛岡間の「やまびこ」3往復を設定する。これにより「はやぶさ」「こまち」はそれぞれ毎時1本ずつ運転し、全ての「こまち」が盛岡で増解結を行う。「こまち」は通常ダイヤで15往復の運転の中14往復を運転できているということは、減速運転による所要時間延長の要素を除いてほぼ定期ダイヤと同じ運転本数を確保できていると言っていいだろう。
また今回の臨時ダイヤでは全ての「はやぶさ」「こまち」が仙台~盛岡間で各駅に停車する。くりこま高原や水沢江刺、新花巻から八戸・新青森への直通列車は定期列車では設定がないため、非常に貴重となりそうだ。
もっとも、前年2021年2月の東北新幹線臨時運転では仙台〜一ノ関間復旧時に運転したのは仙台〜盛岡間の「やまびこ」のみであり、秋田や新青森に向かうにも盛岡での乗り換えを必要とした。それに比べれば仙台〜秋田・新函館北斗間での乗り換えがない今回の臨時ダイヤは一歩前進しているといえるだろう。
ただ、全ての「はやぶさ」「こまち」が仙台~一ノ関間で160km/h程度の減速運転をしかつ仙台~盛岡間の各駅に停車するにも関わらず仙台~盛岡間の加算料金最大210円を徴収し続けるのである。もっとも立席利用であれば自由席特急券で済むので加算料金の影響は受けにくいが、長距離利用では回避策がない。
さらに仙台~盛岡間は通常ダイヤなら「はやぶさ」「こまち」がノンストップ39分で結んでいるが、今回の臨時ダイヤ運転では需要が少ないのを想定して全駅停車便しかないため1時間28分もかかってしまうのである。
おかげさまで東京~盛岡間の所要時間は「やまびこ」、東北本線臨時快速、「はやぶさ」「こまち」の乗り継ぎで約5時間もかかってしまうのである。本来であれば2時間10分程度で到達できるが、2倍以上もかかるし新幹線特急料金を2回徴収するため関東地方から岩手・青森方面へ向かうには通常時より割高になってしまう。
このため東北新幹線「やまびこ」と東北新幹線臨時快速列車と東北新幹線「はやぶさ」の乗り継ぎによる利用は栃木県や福島県から岩手・青森へ向かう際に使うべきであって、東京都市圏から岩手への利用は引き続き運航している羽田空港~花巻空港間のJALによる臨時航空便1日4往復を使用した方がいいだろう。
なお北海道新幹線新青森~新函館北斗間は今回の臨時ダイヤ設定開始日である2022年4月4日より平常通りの運転に戻る。
なお乗り継ぎの利便を考慮してかJR東日本の公式WEBサイトでは東京~新函館北斗間の連絡時刻表を掲載し始めている。が、福島~新庄間が邪魔で非常に見づらい。もっとシンプルに作ろうとは思わなかったのだろうか。
2.1. 東京~秋田間の鉄道輸送路も変化へ
今回の2022年4月4日までの東北新幹線の復旧状況により、東京~秋田間の利用手段がさらに多様化する。
鉄道での利用の場合、3月17日の東北新幹線不通以降は上越新幹線新潟乗継特急「いなほ」利用がほぼ唯一の選択肢となっていた。しかし今回の復旧に伴い、山形新幹線新庄乗継奥羽本線普通列車利用と東北新幹線「やまびこ」と東北新幹線臨時快速列車と秋田新幹線「こまち」の乗り継ぎによる利用の2ルートが増えることとなった。
が、上越新幹線新潟乗継特急「いなほ」利用及び東北新幹線「やまびこ」と東北新幹線臨時快速列車と秋田新幹線「こまち」の乗り継ぎによる利用は通しの時刻表を用意しているにもかかわらず、山形新幹線新庄乗継奥羽本線普通列車利用はほとんどアナウンスがない。新庄乗継で行ってくれれば福島~仙台間の東北本線臨時快速も多少は空くかもしれないというのに。
しかも新潟乗継や新庄乗継は同一平面での乗り換えのため乗り換えがスムーズにできるし、仙台を経由するより安いし東北新幹線部分不通の現状では所要時間はどれも約6時間~6時間30分とあまり変わらないというのに。さらに宇都宮や郡山、福島からは上越新幹線経由で新潟利用なんてまず使えないので、実質山形新幹線利用新庄乗継しかないというのに。
もっとも6時間かけて鉄道で行くくらいなら羽田空港から秋田空港まで航空便でひとっ飛びした方がははるかに速いし楽である。が、その航空便が臨時増便をせず定期便のみの運航でままなっているということは、それだけそもそもの需要が落ち込んでいるということなのだろう。
ただ、仙台以北しか運転しない山形県よりも人口が少ない秋田県へと向かう「こまち」が14往復の運転があるのに対し、定期ダイヤでは「こまち」より運転本数の多い「つばさ」が12往復しか運転できないのが理解できない。もう少し「つばさ」は増発すべきではないかとは思うが。
3. 結び
今回の2022年4月2日より実施の東北新幹線臨時ダイヤ運転では、4月2日の郡山〜福島間および4月4日の仙台〜一ノ関間の運転再開に伴い、臨時ダイヤを改めて設定することとした。
今後東北新幹線でどのような臨時ダイヤを組むのか、見守ってゆきたい。
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