JR東日本は2022年4月8日、プレスリリースにて全線運転再開に伴い3月22日以降の東北新幹線臨時ダイヤを更新すると公表した( 東北・山形・秋田・北海道新幹線 4月14日以降下り臨時時刻表 東北・山形・秋田・北海道新幹線 4月14日以降上り臨時時刻表 )。今回はこれについて見ていく。
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1. 全線運転再開で臨時ダイヤ設定へ!
今回の2022年4月14日より実施の東北新幹線臨時ダイヤ運転では、全線で運転を再開する。
ただ、引き続き郡山~一ノ関間で最高160km/h程度の減速運転を行うことから、最速達の「はやぶさ」の場合東京・大宮~仙台間で通常より40分程度、仙台~盛岡間で通常より20分程度所要時間が長くかかる。主要区間の東北新幹線での所要時間は以下の通り。
2022年4月14日以降の東北新幹線での概ねの所要時間
- 東京~仙台間:約2時間
- 東京~盛岡間:約3時間
- 東京~新青森間:約4時間
- 東京~新函館北斗間:約5時間
- 東京~山形間:約3時間
- 東京~秋田間:約5時間
今回の臨時ダイヤ運転では減速運転による所要時間増大により早朝深夜には新幹線の営業時間帯である6時~24時を超えてしまうことから、一部の列車を減便している。ただ基本的に運転本数は大きく変えていないため、早朝深夜を除いてほぼ通常ダイヤの運転本数を保っている。
このことから「はやぶさ」「こまち」は概ね毎時1本、「やまびこ」は東京~盛岡間で概ね毎時1本、東京~郡山間で各駅に停まる列車は昼間に毎時1本、朝夕は毎時2本以上、「つばさ」も概ね毎時1本で時々仙台発着E2系「やまびこ」を増結することから、今回の臨時ダイヤは定期ダイヤと1時間当たりの運転本数はほとんど変わりがない。
もっとも仮復旧状態なので減速運転は致し方ないし、当初の4月20日頃復旧予定より6日繰り上げている点は非常に努力されていることだと思う。
ただ、5月上旬までの大型連休期間も含め1時間遅れダイヤを継続するというのはいかがなものか。前年の復旧時には全国一斉のダイヤ改正を2週間程度で減速運転区間の縮小を行っているし、減速運転を行えば行うほど通常運転に必要な運用数が増えてしまうため臨時列車の本数に制約が出てしまう。そう考えると、史上初の最繁忙期が始まる4月27日には減速運転区間を縮小し、せめて山形新幹線「つばさ」くらいは通常運転に戻すべきではないかとは思うが。
この運転再開にJR東日本で実施してる東北本線臨時快速列車運転は全日の4月13日をもって終了するほか、羽越本線特急「いなほ」の秋田発着の事実上1往復復便も4月13日を以て終了する。
また常磐線では同日4月14日に減速運転を取りやめ通常速度での運転に戻すことから、定期ダイヤでの運転となる。これにより特急「ひたち」の実質仙台発着の1往復増発も取りやめ、特急「ひたち」の仙台乗り入れは1日3往復のみとなる。
なおJALによる羽田空港~仙台空港・花巻空港間の臨時航空便とANAによる羽田空港~仙台空港間の臨時航空便は4月17日まで実施する。
1.1. 指定席券の一斉発売開始でえきねっとのサーバーダウンへ
(2022.4.14追記)なお今回の臨時ダイヤでの運転に合わせ4月〜5月の大型連休を含むこの臨時ダイヤ運転期間中の東北新幹線の指定席券を4月13日に一斉発売開始したところ、JR東日本のネット予約システムえきねっとがサーバーダウンしたようだ。
おいおい、前年2021年同様2週間ごとに臨時ダイヤを変えていれば、指定席券の一斉発売開始が大型連休を含まない期間で設定できたことからえきねっとが使えなくなることはなかっただろうに。というか前年は実際えきねっと落ちてないし。
もっともJR東日本としては大型連休期間の指定席券をできるだけ早く売り出したかったのだろうが、完全にあだとなったようだ。
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2. 早朝の初列車繰り上げで到達時刻を極力遅延回避へ!
今回の2022年4月14日より実施の東北新幹線臨時ダイヤ運転では、早朝の初列車を繰り上げることで到着時刻をできるだけ遅れさせないようにしている。
東北新幹線では最速達の「はやぶさ」は東京や仙台では6時30分以降にしか運転しない。これは競合する航空機の便数が少ないのと中部近畿と比べ東北は人口が少なく新幹線の運転が可能となる6時00分発では集客が十分ではないことから停車駅の絞った「はやぶさ」は6時30分以降に運転を開始している。
まずは下り。「はやぶさ」の一番列車は通常ダイヤであれば東京6時32分発「はやぶさ1号」新函館北斗行きであるが、今回の臨時ダイヤでは東京6時12分発「はやぶさ209号」新青森行きとして設定する。今回の臨時ダイヤでは東京~仙台間で概ね40分の所要時間増大を見込んでいるが、東京発時刻を20分繰り上げることで仙台到着は8時03分から8時18分へ15分の遅れで済んでいる。これにより東京から仙台へ8時30分までの到着が可能となる。
次に上り。通常ダイヤでは「はやぶさ」の一番列車は仙台6時37分発「はやぶさ2号」東京行きであるが、今回の臨時ダイヤでは仙台6時10分発「はやぶさ304号」東京行きに繰り上げる。今回の臨時ダイヤ運転では先述したように仙台~東京間で概ね40分の所要時間増大を見込んでいるが、仙台発時刻を27分繰り上げることで東京到着は8時07分着から8時19分着へ12分の遅れで済んでいる。これにより仙台から東京へも8時30分までの到着が可能となる。
ただ残念なのは、下りの東京6時12分発「はやぶさ209号」新青森行きは仙台以北各駅に停車すること。しかも「こまち209号」秋田行きも連結していることから、北東北へ行くのに時間がかかりすぎる。もっとも田沢湖線内の列車交換との兼ね合いもあるのだろうが、盛岡まではもう少し早く到達できても良かったのではないだろうか。
3. 最終列車は大きく繰り上げへ
今回の2022年4月14日より実施の東北新幹線臨時ダイヤ運転では、最終列車を大きく繰り上げる。
もっとも郡山〜一ノ関間で減速運転を行なっているため所要時間が通常よりかかっており、24時までに営業を終えなくてはいけないことを考えると最終列車の始発駅発車時刻を繰り上げざるを得ないのは致し方ない。
ただ今回の臨時ダイヤ運転では、終着駅の到着時刻を大きく繰り上げて最終列車の時刻を繰り上げている列車もあるのだ。
まずは東京から盛岡への最終。通常ダイヤでは東京20時20分発「やまびこ73号」盛岡行きであるが、今回の臨時ダイヤでは東京19時40分発「はやぶさ507号」盛岡行き(仙台から先各駅に停車)に繰り上げる。
ただ、仙台発でも22時21分発から21時42分発に39分繰り上がるし、盛岡着も23時31分着から23時01分着に30分も繰り上げるのだ。
もっとも前年2021年3月の臨時ダイヤ運転では東京20時16分発の「はやぶさ」を仙台以北各駅停車としたことで、東京から盛岡への最終を4分しか繰り上げなかったのだが、その時とは大違いである。
もし減速運転を行なったとしても、東京20時16分発の「はやぶさ309号」を仙台行きではなく盛岡行きとして設定すれば盛岡に23時37分に到着することができ、仙台→盛岡間では通常ダイヤとほぼ同等の時刻で組めたはずだ。にもかかわらず今回の臨時ダイヤで盛岡終着まで繰り上げたのはJR東日本の怠慢と言わざるを得ないのではないだろうか。
次に東京から仙台への最終。通常ダイヤでは東京21時44分発「やまびこ223号」仙台行きで終点仙台には23時46分に到着するが、今回の臨時ダイヤでの仙台行き最終は東京20時56分発「やまびこ421号」仙台行き(福島まで各駅停車)となり、48分も繰り上がってしまう。
こちらも仙台到着が23時24分となり22分繰り上がってしまう。おいおい、仙台に24時までに着けば良いのなら東京21時24分発「なすの275号」那須塩原行きを福島まで各駅停車の「やまびこ」として仙台まで延長運転することは可能なはずなのだが。こちらもJR東日本の怠慢による大幅な時刻繰り上げの可能性も考えられそうだ。
なお上りの東京着時刻は概ね定期ダイヤと同等に組んでいるため、大きく時刻が繰り上がっていることは少ない。
4. 山形新幹線「つばさ」は引き続き大きく減便へ
今回の2022年4月14日より実施の東北新幹線臨時ダイヤ運転では、山形新幹線「つばさ」はほかの列車と比べ引き続き大きく減便を迫られる、
「つばさ」は13往復しか設定がないし、山形~新庄間に至っては1日7往復しか運転しない。しかも山形~新庄間では4時間も「つばさ」が来ない時間帯ができる始末である。
東京~秋田間を約5時間で運転する「こまち」ですら1日14往復の運転があるのに、利用者も多くそこまで遅れが出ていない「つばさ」の方が運転本数を3往復も減便するのはいかがなものか。
5. 結び
今回の2022年4月14日より実施の東北新幹線臨時ダイヤ運転では、全線運転再開を図ることとなったものの、郡山~一ノ関間で減速運転が必要なため臨時ダイヤを組むこととなった。
今後前年2021年同様減速区間を段階的に減らして少しずつ通常ダイヤに戻すのか、それとも大型連休明けに一気に通常ダイヤに戻すのか、見守ってゆきたい。
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