最高速度275km/hへスピードアップも全車指定席化か! 上越新幹線・羽越本線特急「いなほ」ダイヤ改正予測(2023年3月予定)

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最高速度275km/hへの引き上げでスピードアップ! 上越新幹線・羽越本線特急「いなほ」ダイヤ改正予測(2023年3月予定)

JR東日本は2022年6月7日、プレスリリースにて2023年春に上越新幹線の最高速度を引き上げると公表した( 上越新幹線の速度向上により所要時間が短縮します )。今回はこれから2023年3月実施予定の上越新幹線最高速度引き上げに伴うダイヤ改正について見ていく。

1. 上越新幹線がE7系に統一へ!

今回の2023年3月上越新幹線ダイヤ改正では、使用車両をE7系に統一する。

もっとも上越新幹線のE7系統一及び最高速度引き上げは3年前の2019年から公表していたことで、今回のプレスリリースで実施時期を確定したことになる。

もっとも当初から2023年3月ダイヤ改正でのE7系統一及び最高速度引き上げを行う予定だったが、2019年にE7系を北陸新幹線向けに大量に用意しなければならなくなりその分も合わせて増備し予定通り間に合ったことは大きい(もっとも同時に予定していた北陸新幹線敦賀延伸は1年延期することとなったが)。

これまで上越新幹線では200系、E1系、E4系、E2系などを使用してきたが、E1系投入以降は2車種以上で運転してきた。ただ今回のダイヤ改正でE7系に統一することとなった。

これにより上越新幹線は北陸新幹線と同様、全列車12両編成、全列車グランクラス連結の全車全席電源コンセント付き車両での運転となる。

まあ上越新幹線開業当初の1982年11月15日時点では上越新幹線は全列車12両編成だったことを考えると、ある意味原点回帰かもしれない。

ただ、上越新幹線と北陸新幹線でE7系をともに使用しているとはいえ、車両の所属する基地が異なるほか、近年のダイヤ改正を見る限り折返しとなる東京駅発着枠を大きく変えるとは考えにくいことから基本的に北陸新幹線と上越新幹線で共通運用とする可能性は低いのではないだろうか。




2. 上越新幹線で事実上38年ぶりの最高速度引き上げへ!

今回の2023年3月上越新幹線ダイヤ改正では、大宮~新潟間の全線で最高速度を240km/hから275km/hに引き上げる。

プレスリリースでは2023年春と記載しているが、過去の傾向から考えても3月の全国ダイヤ改正実施と同時に行うとみて良いだろう。

今回の最高速度引き上げはプレスリリースでは「サービス品質の向上、交流人口の増加や地域活性化を目的」としているが、実態は国際鉄道連合の規定で貨物列車の運転を行わない路線の場合高速鉄道は主たる区間を250km/h以上で運転することとしており、高速鉄道としての要件を満たしていないことから今回条件に合うよう最高速度を引き上げるものである。

なお上越新幹線は建設時設計最高速度は260km/hであったが、1982年11月15日の開業当初は当時の東海道新幹線と同等の210km/hしか出していなかったほか、1985年3月14日ダイヤ改正で上野乗り入れ開始時と同時に現在の240km/hに引き上げたきりだった。

もっとも大清水トンネル内というごく一部の区間で200系のうちごく限定した4本で下り勾配を利用して最高速度を275km/hに引き上げて運転したこともあったが9年程で取りやめてしまった。その後2013年3月15日に200系新幹線が引退したことにより翌3月16日ダイヤ改正で加速性能の良いE2系やE4系に合わせた時刻で運転できるようになったため所要時間が短縮したが、最高速度は240km/hのまま変えなかった。

つまり今回の上越新幹線の最高速度引き上げは1985年3月14日ダイヤ改正以来事実上約38年ぶりに行うこととなる

この最高速度引き上げによりE7系はこれまで260km/hまでしか出していなかったところ、営業可能な最高速度である275km/hまで出せるようになり性能を十分発揮できる見込みだ。




3. 最高速度引き上げで所要時間短縮へ!

今回の2023年3月上越新幹線ダイヤ改正では、最高速度を240km/hから275km/hに引き上げることにより所要時間短縮を図る。

今回のダイヤ改正では上越新幹線で最大で7分の所要時間短縮を見込んでいる。これはあくまで最高速度を維持した運転ができる場合、つまり停車駅が少ない列車での場合であり、停車駅の多い列車はこの限りではない。

なお大宮~高崎間で上越新幹線に乗り入れる北陸新幹線でも最大2分の所要時間短縮を見込んでいる。こちらも「かがやき」は軒並み2分短縮するが、大宮~高崎間で各駅に停車する列車の多い「あさま」はあまり所要時間を短縮しないと見た方が良いだろう。

では運転時刻はどのように変化するのだろうか。まず、上越新幹線で全線運転でもっとも停車駅の少ない列車は途中大宮のみに停車する。この列車は東京9時12分発「とき311号」新潟行き及び新潟9時05分発「とき312号」東京行きの2本があるが、同一距離で全線複線にもかかわらず所要時間は前者は1時間36分、後者は1時間38分と一定していない。

ではどちらの列車で7分短縮した方が楽かというと1時間36分から1時間29分に短縮するより1時間38分から1時間31分に短縮する方が平均速度が遅くて済むから楽なのである。もっとも5分以上の所要時間短縮は見込まれるが、最速の1時間36分運転の列車が7分短縮して1時間29分運転になる保証はない

また大宮しか停車しない一番停車駅の少ない列車は8駅通過で最大7分短縮すること、北陸新幹線「かがやき」は上越新幹線内3駅通過で2分短縮することを考えると、概ね1駅通過につき1分所要時間短縮とみて良いだろう。

そう考えると、昼間に定期列車としてよく運転する高崎~新潟間で各駅に停車する「とき」は熊谷と本庄早稲田しか通過しないため高々2分程度しか短縮できないことから、2時間08分運転が2時間06分運転に短縮するに留まるようだ。もはや各駅に停車する列車なんて東京~新潟間の全線運転でも1分程度しか短縮しないだろう。

このため、上越新幹線で最高速度を275km/hに引き上げたところで東京〜新潟間は最大で7分短縮しても、平均したら2〜3分程度しか短縮しない。基本的に1つ停車駅を増やすごとに4分所要時間が伸びることを考えると、国際鉄道連合から何も言われないのなら停車駅を削ったほうがよほど楽であるし、実際に2018年3月17日上越新幹線ダイヤ改正では実際に行なっている。まあそうなることが分かっていたからJR東日本では上越新幹線の最高速度引き上げに消極的だったわけだが。




3.1. 昼間は主に東京発着時刻を変えずに修正か

では今回の所要時間短縮をどのように反映するのだろうか。2021年3月13日東北・上越・北陸新幹線ダイヤ改正で上野~大宮間で最高速度を130km/hに引き上げ所要時間を短縮した際には、上越新幹線・北陸新幹線にて東京・上野発着列車に限り大宮~新潟・金沢間で軒並み所要時間を1分変更し、東京行きは1分繰り下げ、新潟・金沢方面下りは1分繰り上げることで、各駅の駅営業時間を短縮した。

東京駅発着枠は変更が効きにくいことから今回のダイヤ改正でも大きく変更するとは考えにくい。そう考えると北陸新幹線ではほぼ間違いなく東京駅発着時刻を変更せずに高崎以北にて金沢方面は最大2分繰り上げ、東京方面は最大2分繰り下げて列車を設定するのではないだろうか。これにより東京~金沢間は最速で2時間29分から2時間27分に短縮する見込みだ。

上越新幹線もほぼ同様に東京駅発着時刻を変えずに群馬県内や新潟県内の各駅で時刻修正を行う可能性が高い。これにより高崎〜新潟間を中心に東京行きは時刻繰り下げ、新潟行きは時刻繰り上げを行う見込みだ。




3.2. 早朝は時刻繰り下げで利便性向上を図るか

では上越新幹線の早朝深夜はどうなるのだろうか。

まずは早朝。東京行き初列車である新潟6時09分発「とき300号」東京行きは通過駅が3駅あるため、新潟6時11分発程度に2分繰り下げられる見込みだ。

ただ、東京6時08分発「とき301号」新潟行きはこの時刻で必要なのかとは思う。もっとも今回の所要時間短縮で新潟8時12分着から8時10分着に2分程度到着を繰り上げられるのだが、そもそも6時台、特に東京6時20分発まではどの新幹線でも利用が比較的少ないほか、朝は8時20分ごろまでに到着できていればあまり大きな支障はない。

また東京6時30分ごろ発の新潟行きの新幹線の設定がなく、東京6時08分発の次は7時04分発まで1時間程度も開いてしまっているのである。

そう考えると、東京6時08分発「とき301号」新潟行きを多客期のみ運転の臨時列車とし、後続の東京6時24分発臨時「とき355号」新潟行き(新潟8時23分着)を定期化、これまでとほぼ同じ時刻で新潟に到着できる一方で東京発時刻を16分繰り下げることで利便性を拡大すべきではないだろうか。

もっとも東京6時24分発臨時「とき355号」新潟行きも今回の最高速度引き上げにより停車駅を変えなければ新潟に8時20分ごろに到着できる。が、東京6時08分発「とき301号」が停車する浦佐を通過するため、救済として浦佐に停車させるとなると現状通り新潟8時23分着で組むのではないだろうか。

もし東京6時24分発「とき355号」新潟行きを定期化すれば、概ね10時ごろまで新潟行きが40分間隔で来るようになり、利便性は上がりそうだ。




3.3. 深夜はほとんど時刻変更なしか

次に深夜。新潟行き最終は東京21時40分発「とき351号」新潟行きで、上越新幹線の全ての駅に停車する。つまり、今回の最高速度引き上げで所要時間を短縮したとしてもせいぜい1分で、まず効果はないと言って過言ではない。

また新潟21時36分発「とき350号」東京行きは熊谷と本庄早稲田を通過するので一見2分程度短縮できそうに見える。が、この列車前回の2022年3月12日ダイヤ改正で越後湯沢21時41分発「たにがわ416号」東京行き廃止の救済として「とき350号」新潟行き最終を上毛高原に停車させることとした。が、この際に本来停車時間および加減速として4分確保しなければいけないところ、新潟→東京間の所要時間を変えずに余裕時分を削ることで上毛高原への停車時間を確保したのである。

そう考えると今回の上越新幹線最高速度引き上げでまずやらなくてはならないのは、新潟21時36分発「とき350号」東京行き最終は最高速度を引き上げることで余裕時分を確保しに行く可能性が高い。つまり所要時間の短縮は見込めそうにない。

そう考えると終列車の時刻調整は新潟行きの新潟着時刻が23時55分から23時54分に1分短縮する程度で、あとはほとんど所要時間短縮効果は見込めなさそうだ。




4. 特急「いなほ」も時刻変更で酒田までの所要時間短縮へ!

今回の2023年3月羽越本線ダイヤ改正では、上越新幹線に新潟駅発着時刻の変更に合わせ羽越本線特急「いなほ」を中心に時刻を変更する。

羽越本線特急「いなほ」は2018年4月15日の新潟駅在来線ホーム一部高架化により上越新幹線11番線と羽越本線特急「いなほ」5番線が対面乗り換えできるようになるのに先駆け新潟駅での乗り換え時間を短縮するべく2018年3月17日ダイヤ改正で運転時刻を変更したほか、E7系を初めて投入し全ての羽越本線特急「いなほ」が上越新幹線「とき」と対面乗り換えできるようになった2019年3月16日ダイヤ改正で残る5往復も新潟駅での乗り換え時間短縮を図るために時刻変更を行った。これにより東京~酒田間の到達時間が短縮している。

今回のダイヤ改正で上越新幹線では最大7分所要時間を短縮する一方で東京駅の発着時刻は原則変えない。そう考えると上越新幹線の新型駅発着時刻が最大7分変更するのに合わせ、羽越本線特急「いなほ」の運転時刻も変更する可能性が高い

もしこの時刻調整が行われるのであれば、東京〜酒田間の平均到達時間も短縮できる。もっとも羽越本線特急「いなほ」と連絡する上越新幹線「とき」は先述した途中大宮しか停車しない列車をはじめ比較的停車駅の少ない「とき」が多い。このことから、連絡時間の短縮によっては東京〜酒田間は最大7分短縮することは言うまでもないが、平均しても3〜4分程度の所要時間短縮が見込める可能性もありそうだ。




5. 最高速度引き上げと新車置き換えで全車指定席化か!

今回の2023年3月上越新幹線ダイヤ改正では、最高速度を引き上げる。

今回の最高速度引き上げに合わせ吸音板の設置や防音壁かさ上げなどを長距離にわたって行っている。が、運用数も減らない中かかった費用はどこから捻出するのか。

常磐線特急ではE657系に統一したことにより2015年3月14日ダイヤ改正以降の特急「ひたち」「ときわ」として全車指定席化したほか、中央線特急では定期列車をE353系に統一したことにより2019年3月17日ダイヤ改正以降に特急「あずさ」「かいじ」で全車指定席化した。つまり上越新幹線で今回のダイヤ改正で全列車E7系に統一するということは上越新幹線でも全車指定席化を図る可能性がある

もし全車指定席となれば全車で座席指定料金を徴収できるようになることから普通車自由席と比べ通常期で530円、多客期に設定している最繁忙期で930円の増収が狙える。また自由席での検札が不要となり人員を削減できる。これにより増収と費用節減で賄うことができそうだ

ただ、上越新幹線と東京~高崎間で線路を供用する北陸新幹線でも「はくたか」「あさま」全車指定席化を図る可能性があるが、確実とは言えない。というのも、当初の予定では2023年3月の上越新幹線の最高速度引き上げと同時に北陸新幹線が敦賀まで延伸する予定だったため、北陸新幹線の全車指定化の口実が所要時間2分短縮のほかにも運転区間拡大をつけることができた。が、敦賀延伸が2024年3月予定に少なくとも1年繰り下がったことから、口実がぶれ始めている。

また上越新幹線の全車指定化と同時に東北新幹線も全車指定化を図る可能性があるが、こちらも違法疑いの座席指定料金是正のために前回の2022年3月12日ダイヤ改正時の山形新幹線「つばさ」の特急料金改定と同時に全車指定席化してしまった。このためもし東北新幹線が上越新幹線と足並みをそろえて全車指定席化を図ろうとしていたのであれば、すでに足並みが外れてしまっているのだ。

そう考えると、上越新幹線の全車指定席化はE7系に統一する2023年3月ではなく、1年程度遅くなってもおかしくはなさそうだ。

このほか上越新幹線のうち少なくとも「とき」が全車指定席化すれば、新潟で連絡する羽越本線特急「いなほ」が全車指定席化する可能性もある。また上越新幹線「とき」のほか北陸新幹線「はくたか」でも全車指定席化すれば信越本線特急「しらゆき」でも全車指定席化する可能性も考えられる。

ただ特急「いなほ」「しらゆき」で全車指定席化を図っても途中指定席券売機のない駅もあることから、もし全車指定席化したとしても車内料金を別途設定して事前料金より割高に設定する可能性は低いし、奥羽本線内の特急「つばさ」や田沢湖線内・奥羽本線内の特急「こまち」のように通常期は530円引きの立席特急券を発売する可能性が高そうな気はするが。


6. 結び

今回の2023年3月上越新幹線ダイヤ改正では、最高速度の引き上げにより所要時間を短縮するほか、全列車をE7系での運転へ統一する一方で全車指定席化を図る可能性がある。

今後上越新幹線でどのようなダイヤ改正を行うのか、楽しみにしたい。

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