JR東日本は2023年11月7日、プレスリリースにてにて2024年3月16日ダイヤ改正で上越新幹線で最終列車を繰り上げる公表した。今回はこれについて見ていく。
1. 上越新幹線最終列車繰り上げへ!
今回の2024年3月16日上越新幹線ダイヤ改正では、新型車両E7系運用に統一し最高速度を240km/hから275km/hに引き上げた2023年3月18日上越新幹線ダイヤ改正以来約1年ぶりにダイヤ改正を行う。
今回のダイヤ改正では上越新幹線「とき」「たにがわ」で最終列車を約20分繰り上げる。
最終列車繰り上げと聞くといかにも利便性が悪くなりそうな気もするが、そもそも新幹線の終着駅到着時刻繰り上げは1990年代から行っている常套手段である。これは1990年代より各新幹線が最高速度を引き上げて所要時間が短縮したために、終着駅到着時刻を繰り上げても最終列車の始発駅発時刻が変わらないまたは繰り下げることができたためである。実際に東海道新幹線では220km/hしか出ない「ひかり」から270km/h対応の「のぞみ」に置き換えたことで東京や新大阪などの終着駅到着時刻を23時56分から23時48分、223時45分へとどんどん繰り上げているし、JR東日本でも275km/hしか出せなかった「はやて」から320km/h対応の「はやぶさ」への置き換え時に最終列車の東京着時刻を23時08分着から23時04分着に4分繰り上げている。
このように新幹線では保守にかかる作業量が在来線より多いことから、より長い保守時間を確保するために1990年代から最終列車の到着時刻繰り上げによる営業時間短縮を幾度となく行ってきたのである。
また上越新幹線「とき」は1時間程度間隔があいていることから運転間隔が詰まってより適したっ時間帯に運行することができれば20分繰り上げて帰れるようになるともいえるし、その20分繰り上げで到着駅の在来線終電が遠くまで残ることから新幹線駅から遠地では最終接続新幹線が1本繰り下がってかえって利便性が向上することすらある。
そもそも新幹線の運転時間帯は6時~24時の中としているが、到着駅基準23時以降なんて利用客は少ないのでとっとと駅を閉めたいのである。現にJR東日本の運営する東北新幹線最速達列車「はやぶさ」の東京行き最終列車の東京着時刻は23時04分着だし、JR九州の運営する九州新幹線では年々最終列車を繰り上げている。
東北新幹線最速達列車「はやぶさ」や北陸新幹線最速達列車「かがやき」の東京着最終時刻から察するに、おそらく23時30分ごろまでに新幹線の営業運転をやめたいのだろう。
なお東北新幹線や北陸新幹線では今回の2024年3月16日ダイヤ改正では最終列車をほぼ据え置くとしている。北陸新幹線はJR西日本と直通していることから調整が必要なこと、東北新幹線は新型車両の置き換えや最高速度引き上げとの兼ね合いがあるのだろう。
それでは今回の2024年3月16日上越新幹線ダイヤ改正でどのように変化が出てどのように利便性が向上するのか、上越新幹線の行先別最終列車ごとに見ていこう。
2. 東京発新潟行き最終は東京21時20分発見込みへ!
まずは東京発新潟行き上越新幹線最終「とき351号」新潟行き。
2023年時点では東京を21時40分に出発したあと各駅に停車し、新潟に23時52分に到着する。この3年間の最高速度引き上げで新潟着時刻が4分繰り上がっているが、今回のダイヤ改正で皿に繰り上げる。
ただ、そもそも天下の東海道新幹線の東京発新大阪行き最終「のぞみ265号」が、東京21時24分発新大阪23時45分着であることを考えると、大阪より都市圏規模がはるかに小さい新潟行き最終が東京21時40分である必要性はないし、「のぞみ」の新大阪着より遅い23時52分まで運転する必要もない。
また直前の「とき」は東京20時52分発「とき349号」新潟行きで、48分も間隔が開いている。もし東京から21時過ぎに帰ろうと思っても21時40分発の「とき351号」まで待たねばならず、しかも新潟着23時52分着とかなり遅いのだ。
今回の2024年3月16日ダイヤ改正以降、上越新幹線で最終列車が繰り上がることで東京21時40分発新潟行き最終「とき351号」は東京21時20分発に、新潟23時32分着にそれぞれ繰り上がる見込みだ。これにより23時40分ごろまでに営業運転を終了できるほか、21時過ぎの帰りでも目的地到着が20分繰り上がり利便性が上がる。
また上越新幹線各駅からの最終接続も改善する。終点新潟では現在接続する在来線列車がないが、上越新幹線最終「とき351号」が新潟23時32分着に繰り上がることで、新潟23時40分発信越本線最終新津行きに接続できるようになる。また場合によっては白新線新潟23時33分発新発田行きや越後線新潟23時32分発普通吉田行きも数分繰り下げて接続できるようにしてくれるかもしれない。
さらに新潟駅での接続はJR東日本在来線列車だけにとどまらない。新潟交通のバスは深夜バスとして新潟駅前23時32分発萬代橋ライン万代シテイ・青山経由西部営業所行き、新潟駅前23時40分発西小針線万代シテイ経由内野営業所行きなど市中心部へ向かう路線を運行している。このうち西小針線は上越新幹線最終列車から接続できるし、萬代橋ラインも時刻を繰り下げて接続できるようにするかもしれない。新潟駅から新潟市中心部へ上越新幹線最終列車を使って向かうにも徒歩やタクシーではなく新潟交通の深夜バスが使えるようになり、利便性が増すのだ。
このように上越新幹線最終列車繰り上げにより新潟駅での接続も改善する見込みだ。
3. 東京発越後湯沢行き最終も繰り上げへ
次に東京22時28分発「たにがわ417号」越後湯沢行き最終列車の繰り上げ。
この列車を20分繰り上げるとすると、東京22時08分発となり北陸新幹線「あさま633号」長野行きとちょうど当たってしまう。もっともこの長野行きは2021年3月13日北陸新幹線ダイヤ改正で東京22時08分発に繰り下がったもので、また4分戻して東京222時04分発とすれば越後湯沢行き最終列車の枠は生まれる。
もし繰り上がれば越後湯沢23時52分着から23時32分着となり、23時30分ごろに営業運転を終了できるようになる見込みだ。
4. 東京発高崎行き最終も繰り上げへ
そして東京から出発する最終新幹線、東京23時00分発「たにがわ477号」高崎行き。
この列車は1986年11月1日国鉄最後のダイヤ改正で新幹線利用の通勤客のために設けられた上野23時00分発だったが、今でも生き延びている。なお同時に設定した東北新幹線上野23時08分発小山行き最終「あおば」はすでに廃止となっている。
もっともある程度の需要があったから東京23時00分発最終高崎行き「たにがわ477号」は残っていたのだろうが、2020年からの鉄道利用客大幅減少により利用者が減っている。
また東京駅から出る最終の新幹線は、東海道新幹線が東京22時48分発「こだま815号」三島行き、東北新幹線が東京22時44分発「なすの281号」那須塩原行きとなっている。上越新幹線最終高崎行きが20分繰り上げて東京22時40分発ないし12分繰り上げて22時48分発になっても何らおかしくはない。
もし20分繰り上がれば高崎23時37分発両毛線前橋行きに接続できるようになるため、両毛線前橋行き最終である上の22時23分発高崎線前橋行きを高崎行きに短縮し終電を20~25分程度繰り上げることができそうだ。
5. 新潟発東京行き最終も20分程度繰り上げへ!
次に上り列車。新潟21時40分発東京行き最終「とき350号」は、東京23時40分着となっている。もし20分ずつ繰り上がれば新潟21時20分発、東京23時20分着となる。
この列車、2021年3月12日まで新潟21時35分発で設定していたことから、3年前と比べれば15分の時刻繰り上げで済むことになる。
またこの列車は羽越本線特急「いなほ」からの連絡はないため、前の接続列車との兼ね合いも少なく時刻を柔軟に動かせる。
この最終列車の前の列車は新潟20時30分発「とき348号」東京行きで、なんと1時間10分も間隔が開いている。このため新潟に21時に出ようとしても最終の新潟21時40分発しかなく利便性がよくない。このため新潟21時20分発にして20分繰り上げて最終到達駅着時刻を20分繰り上げれば利便性は高くなるだろう。
2021年3月13日JR東日本ダイヤ改正での東海道線終電短縮により東京23時54分発普通小田原行き最終が平塚行きに短縮、急げば7分乗り換えで国府津行き最終に乗れなくはないが小田原行き最終の東京23時39分発には確実に間に合わなくなってしまった。
が、今回のダイヤ改正で新潟発東京行き最終「とき350号」が20分繰り上がれば、東京23時47分発普通国府津行きにしか接続できなかったところ東京23時33分発普通国府津行きや23時39分発普通小田原行きに接続できるようになることから、東海道線鴨宮・小田原、横須賀線北鎌倉・鎌倉・逗子へも最終連絡できるようになる。
また東京都市圏は深夜でも比較的運転本数が多いので、上越新幹線の最終が20分繰り上がれば2本か3本前の電車で最終目的地に到達することができるようになる。これにより利便性が上がるだろう。
6. 新潟発越後湯沢行きは据え置きか
最後に新潟22時23分発「とき480号」越後湯沢行き最終。区間運転列車で新潟県内しか走行しない。
東北新幹線でも区間運転の上り最終列車は多数運転しているが、たいてい23時ごろに最終到着駅に到達する。
新潟22時33分発「とき480号」越後湯沢行きは越後湯沢23時08分着なので、それらの最終列車と同等と思えば数分程度の繰り上げはする可能性はある。ただ10分以上の時刻繰り上は行わないだろう。
7. 結び
今回の2024年3月16日上越新幹線ダイヤ改正では、最終列車を20分程度繰り上げることなった。
一方で接続改善が見込めることから利便性は向上しているところも多い。
新型車両E7系の投入が終わり最高速度が275km/hに引き上がった中、上越新幹線でどのようなダイヤの最終形態を採るのか、楽しみにしたい。
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